いま空前”メダカブーム“…1匹100万円やペア30万円超の改良メダカも その“裏側”で『メダカトラブル』が…ネット上や無人販売所で相次ぐ 許せない「炎姫」の悲劇とは 2022年11月21日
真っ赤な体に長くきれいに広がるひれ。品種改良を繰り返した末、苦心して作り出されたメダカです。空前のメダカブームの中、一時は高く評価されていましたが…
【品種改良した女性】
「疲れました。楽しくメダカを育てたり売ったり買ったりっていう趣味としてやっていたはずなのに、詐欺みたいなことに使われてしまって」
原因となった男性は…
【書類送検された男性】
「反省して今後は二度とそういうことがないように…」
ブームの裏ではさまざまなトラブルが…深刻な被害の実態をツイセキしました。
■空前のメダカブーム 中には1匹100万円も!
大阪府泉南市の住宅街に、メダカの無人販売所があります。
【無人販売所のオーナー】
「これめっちゃジジババたちが喜んで買っていく。やっぱり水換えが一番大変なんで、朝夜1、2時間、休みの日はずっとやっています」
オーナーは50種類以上のメダカを飼育していて、2021年から副業として自宅の前で無人販売所をはじめました。
【無人販売所のオーナー】
「コロナで収入減があって、何かしら収益を上げたいなと思っていて…月数万ぐらいしかならないですけどね」
こちら、大阪・難波で行われた「大阪めだか祭り」の競りをのぞいてみると…ワンペア1000円からスタートし、最終的にはなんと!2万1000円までに跳ね上がりました。
飼育のしやすさなどから、いまやメダカはペットランキングで犬と猫に次いで3位になるほどの人気。中でも、品種改良を重ねてまるで金魚のような色合いや形のいわゆる改良メダカが人気で、1000種類以上存在すると言われています。
【メダカ屋Me 桃田一成店長】
「ここ2、3年が1番はやっているかと思いますね。『朱光菊』っていう最新作は1番高いときで、ペアで31万7000円」
改良メダカはいまやビジネスにもなっています。「琥珀透明鱗スモールアイサムライメダカ」、通称「信長」というメダカは、何と1匹100万円で取引されました。
■人気の裏でトラブル…無人販売所では
しかし、人気の裏で「メダカトラブル」も相次いでいます。
【無人販売所のオーナー】
「こう顔隠して、こうやってふたを持って物色していましたね」
これは今年7月、この無人販売所で撮影された防犯カメラの映像です。傘で顔を隠しているつもりなのでしょうか。男がメダカの入った水槽を物色しています。その後、男は代金を入れずに持ち去っていきました。
別の日にも、同じ男とみられる人物が3500円のメダカを1000円だけ払って持ち去るという事件も。オーナーによると被害にあったのは「夜桜ゴールド」という人気のメダカだということです。
【無人販売所のオーナー】
「汗だくになって水替えしたり、エサやりしたり、そういう大事に育ててきたメダカをこうやって取られたのは悲しい」
警察は窃盗事件として捜査しています。
■ネットでも広がる悪質なメダカトラブル
さらに、悪質なメダカトラブルはネットでも…
自宅で品種改良して作ったメダカをネットオークションで販売している女性に話を聞きました。
こちらは、およそ3年かけて苦労して作り上げた「炎姫(ほむらひめ)」。
燃えるように赤い体と炎のように広がる長いひれ。そして、上下のひれが同じ形のヒカリ体型といわれる体が特徴です。
【炎姫を作った女性】
「赤くて、ひれが長くて、そういうメダカが飼いたいなっていうのが自分の中であって。尾ひれの広がりとか赤さとかから炎みたいでいいなあっていうところから、そういう名前を付けてあげようかなって」
女性が「炎姫」をオークションサイトで販売したところ…
【炎姫を作った女性】
「一番高い時で1匹1万円くらい。自分が想像していた以上に、価格がすごく高くなって。きれいだからもうワンセットほしいっていって落札してくれた方とか、そうやって喜んでもらえているのはうれしかった」
しかし、ある日オークションサイトで見覚えのないアカウントが、自分の画像を使い炎姫を出品しているのを見つけました。
女性は、画像転載禁止という注意喚起をしたり、サイトを通じて警告文を送ったりしましたが、無断転載はやむことはなく、偽アカウントからの購入者も増えていきました。
しかも、そこで販売していたメダカの卵は偽物だったという疑惑も…
【炎姫を作った女性】
「評価とかを見たら育ったメダカが、かえった稚魚が炎姫の特徴であるヒカリ体系じゃないとか赤くすらないメダカに育ったみたいな話が出ていて…。画像を勝手に使われているだけじゃなくて、安い別の全然違うメダカを偽って売っているんじゃないかっていう」
そして、影響は女性にも。好評だった彼女のメダカの値段がみるみる下がっていったのです。
女性は警察に被害届を提出。大阪府警は、11月10日、著作権法違反の疑いで愛知県に住む28歳の男性を書類送検しました。男性は、複数のアカウントで画像転載を続け、およそ100万円を稼いでいたということです。
女性の警告を無視して、無断転載を続けた男性は一体どのような人物なのか。取材班は男に直接話を聞きました。
【記者】
「(書類送検された)メダカの件で…話を聞かせてください」
【書類送検された男性】
「被害者に言うことは申し訳なかった…自分の利益だけでしかない。反省して、今後は二度とそういうことがないように」
こう語る一方で、「他にもやっている人はいて参考にした」と話しました。
【炎姫を作った女性】
「こんなことになるのだったら世に出さない方が。自分のところだけで世話していた方がよかったんじゃないかと思ったりして」
愛好家たちを悩ませるメダカトラブル。メダカの人気が続くうちは、まだまだ増えそうです。
(2022年11月17日放送)