本当にきれいになれる? 美容整形 “美容室”に近い感覚で気軽に 10代の若者「メイクの延長」 自信ついた人もいる一方で…後悔やトラブルになった人も 手術する前に大切なことは『熟考』と『情報収集』 2022年09月30日
今やタブーではなくなりつつある「美容整形」。
【SNS上のツイート】
「高校行く前にはきっと整形してるから。顔変わってるからみんなの反応楽しみだな」
「せっかく整形するならついでに目の幅広くしたいな!ってノリで下瞼拡大44万+目尻切開27.5万つけてみた」
【YouTuber 美容整形ちゃん】
「美容室みたいな感覚…とまではいかないかもしれないけど似たような感じ」
一方で、安易に考えているとトラブルも…
【整形失敗経験のある女性】
「お肉が中の方にギュッと引っ張られる痛さで鏡を見たらすごいへこんでいた」
【SNS上のツイート】
「小鼻縮小の傷跡が気になって病んでる。表情を変えるたびに鼻が痛い」
かつて大手美容外科で勤務し実情を知る医師は…
【実情を知る医師】
「(大手の多くは)現状(客を)お金だと見てて」
その整形、本当に大丈夫?リスクを減らすために知ってほしい美容整形のリアルをツイセキしました。
■自らの整形経験公開 YouTuber「美容整形ちゃん」 美容室に近い感覚で手術
自らの美容整形経験を公開しているYouTuberがいます。その名も美容整形ちゃん
【YouTuber 美容整形ちゃん】
「例えば雑草ときれいなお花どっちが好きですかっていう話だと思うんですけど、きれいなお花、わざわざみんな見に行くじゃないですか。やっぱりきれいな花みたら『きれいだね』となる。きれいだねっていう反応に勝手に周りがなる。人間もそんな感じで、私が整形することによって勝手に周りの反応が良くなって自分にも自信がついて」
これまでに繰り返した手術はおよそ30回。
整形手術の様子をYouTubeで公開しているのは、「美容整形への偏見をなくしたい」という思いからです。
【YouTuber 美容整形ちゃん】
「(整形が)気持ち悪いとかいう人は中にはいます。『その顔変だよ』とか『不自然』とかっていう人はまだまだいるかなと思いますが、かなり少なくなってきました。美容室みたいな感覚とまではいかないですけど、まあ似たような感じかなと思いますね」
ある美容整形外科が独自に行った調査によると、患者数は2015年から、2020年の6年でおよそ7.7倍に増加。
また、今すぐ整形したいと回答したのは男女問わず2割近くいました。
■若年層に広がる美容整形 10代の若者「メイクの延長」
幅広い世代に広がりつつある「美容整形」。10代などの若者からは、「メイクの延長」という声も。
16歳で初めて、親の理解を得て二重の手術をしたAさんは、毎日の準備が楽になったと話します。
【16歳で初めて二重手術したAさん】
「アイプチの時間が面倒くさくてやりたかった。皮膚も伸びてきて痛くて。(周囲では)5人いたら1人か2人は(やっている)」
Aさんは整形したことで、心にゆとりもできました。
【16歳で初めて二重手術したAさん】
「朝、メイクの時間がだいぶ減って、起きるのもゆっくりだったし準備が早くなりました。おしゃれするのも楽しくなりました」
■美容整形なぜ広がる? 背景にSNSや写真加工アプリの流行
Aさんの手術を担当した、大阪みなと中央病院の白川先生も世代の広がりを感じてると話します。
【大阪みなと中央病院 美容医療センター 白川裕二 副センター長】
「最近特にこの4月以降は18歳とかでも結局親の同意が必要ないとかっていう状態になってるから、(若い人が)ちょっと増えましたよね」
ここまで美容整形が広がっている理由は何なのか。白川先生はSNSや写真加工アプリの流行が背景にあるのではと分析します。
【大阪みなと中央病院 美容医療センター 白川裕二副センター長】
「インスタグラムとかアプリで目がくりくりとなって、顎は細くなってる状態をいいと思っている。人から評価されたいっていうところのいわゆるSNSのいいねとかっていうことが、そうなりたいっていう風につながってる可能性っていうのは充分考えられますよね」
■一方でトラブルや後悔も
人生に前向きな影響があったという人がいる一方で、安易な決断はトラブルの元にも…
美容整形ちゃんも多くの手術を経験したからこそ、「慎重な判断が必要」と警鐘を鳴らします。
【YouTuber 美容整形ちゃん】
「結局は自分の体を犠牲にして行うことなので、自分自身がしっかり調べてリスクも説明してもらえると思うんですけれども…自分で情報をかき集めてから挑むべきだと思います」
実際に情報不足のまま決断し、失敗したと感じている人も…
【失敗経験のある女性】
「一カ所ほっぺたのあたりがね、一週間ぐらいして痛くなりだしたんですよ。お肉が中の方にギュッと引っ張られる痛さで鏡見たらすごいへこんでいたんです」
複数回の手術をしているものの、初めての病院で勧められるままに手術をしてしまったという女性は、術後しばらくたってから強烈な痛みを感じることになったといいます。
【整形失敗したと感じている女性】
「私はちょっと小さく(フェイスラインを)あげてほしかったんですけど、頭の上からあげた方がいいと、『これしかないよ』みたいな感じで迫力よく(言われて)。流れに流されたというか…」
ほかにも、大手美容外科で鼻の手術をカウンセリング当日に受けた女性は、別の病院で修正のための手術をしなければならなくなり後悔しています。
【修正の手術をした女性】
「終了して鏡を見てびっくり。左右鼻の形違う!目が殴られたように腫れて右鼻穴から膿も出始めました。ものすごい痛みでした。値段も高額だったし、当日するとは言ったけども持ち帰ってじっくり考えればよかった」
考える時間を持たず、その場で手術をしてしまったことで自分が悪いのでは、と周囲に相談できないケースも多いといいます。
■一部の大手には「客をお金として見ている」実態も 元勤務医が語る
トラブルの原因としてあげられる手術を即決してしまう背景の1つに、一部の大手がウリにする値段の安い手術の広告を見て、実情を知らずに受けてしまう人が多いと、かつて大手の美容外科に勤務していたTクリニックの相良院長は語ります。
【Tクリニック 相良卓哉院長】
「(安い手術は)初心者の先生の練習台みたいな。そこで症例を積んで次のステップみたいな感じの扱いか、(安い手術は)ほとんどやらないで高い手術を勧める。本来であれば患者さんは一生付き合うぐらいのパートナーだと思っているんですけど、(一部の大手の)現状は、(患者を)お金だと見ていて一回きりで終わりみたいな形になっているなって思いますね」
■「その日にやっちゃう」がトラブルの原因に 大事なのは「よく考えること」
人生をより良くしたいという思いで踏み切る美容整形が、悩みのきっかけにならないように、どんなことに気を付けたらいいのでしょうか。
【大阪みなと中央病院 白川先生】
「大抵のトラブルの一つは、その日にやっちゃうこと。結果として、よく考える時間がないまま進むのが一番良くない」
口コミサイトやSNSでの情報もうのみにせず、“医師の実績を確認する”ことも重要だといいます。
【大阪みなと中央病院 美容医療センター 白川裕二副センター長】
「今のところ美容のランキングとか口コミサイトで100パーセント正確なサイトはないですね。別に大手が駄目とかじゃなくて、(手術を)担当する先生が何年経験しているのか最低限やっぱり見るべき」
白川先生は、その上でトラブルにならないためには「無料のカウンセリング」などの甘い言葉につられないことが大事だと指摘します。
【大阪みなと中央病院 美容医療センター 白川裕二副センター長】
「ある種営業されに行ってるようなものっていう覚悟でやるべきなので。患者さんがそういう風な気持ちになる、と美容医療っていうのは健全化が一気に進む」
受けることに以前ほどの抵抗がなくなった「美容整形」の手術。自信を得て前向きに生きるきっかけにできるなら、素晴らしいことですが、「気軽にきれいなれる魔法」ではなくリスクのある手術ということは変わりません。
(2022年9月29日放送)