『屋上遊園地』の先駆けが尼崎に 阪神タイガースを熱烈応援する商店街で聞き込み 再開発で生まれ変わった「尼崎の北の玄関口」塚口【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2024年06月21日
【兵動さん】「今回は阪神尼崎(駅)ですね。『尼崎中央商店街』前からスタートです。子どもの時もよく来てましたからね。阪神・尼(あま)といってね、ここで買い物をしていた懐かしいところです」
■建物の屋上に観覧車がある写真 どこ?
これは1979年(昭和54年)に兵庫県尼崎市で撮影された写真です。どこの風景か分かりますか?
【兵動さん】「まぁ分かりやすい感じで言うと、観覧車。この当時、尼崎に観覧車あったんですね」
【兵動さん】「とりあえず聞きこんでみましょう。商店街行こうか、雨やし。ここはでもね、阪神タイガースで有名なところですよ」
そう、日本一阪神タイガースを応援する商店街として、関西では有名です。
早速、男性に声をかけてみます。
【兵動さん】「昔の写真持ってうろうろしてますねん。ちょっと見てもらえません?これ昭和54年の写真ですねん」
【街の人】「梅田ちゃうん」
梅田の商業施設「HEP FIVE(ヘップファイブ)」の観覧車ではないかと言う男性。
【兵動さん】「梅田のHEP(FIVE)の観覧車はもっと大きいと思いますよ。尼崎?ずっと」
【街の人】「60年以上おる。(阪神ファン?)そうならないと怒られるやろ、この辺」
男性と別れて商店街を歩いて行くと…。
【街の人】「あ、あれや!」
「今昔さんぽ」を知ってくれていると思われる女性2人組が話しかけてきてくれました。
【兵動さん】「うれしい。これね、昭和54年の写真やからお生まれになってへんと思うんやけど」
【街の人】「生まれています。行ってます、多分」
【兵動さん】「行っているってここ?尼崎?」
【街の人】「尼崎(市)。阪急塚口駅やと思います。昔は(ビルの)上が遊園地になっていて」
【兵動さん】「屋上が遊園地になっていたんや。これ(観覧車)乗ったことある?」
【街の人】「ある。乗ってました、小さい時」
【兵動さん】「ぶっちゃけ、何年生まれなの」
【街の人】「昭和53年」
【兵動さん】「これ(写真は昭和)54年やねんけど、53年生まれの方が意識(記憶)ある時まであった?いつ頃なくなったとかってのは?」
【街の人】「いつ頃やろう。(Q.高校生くらいの時にデートで行ったとかは?)デートではないけど、まだ(高校生の頃はあった)」
【兵動さん】「小さい子が行くとこ。ほな尼崎の方で、僕ら世代の方は知っている」
【街の人】「知っていると思います」
尼崎市民の間では有名なようです。実際、続いて出会った3人組に聞いてみても…。
【街の人】「塚口でしょ」
【街の人】「『さんさんタウン』の観覧車」
写真の場所は、阪急塚口駅前にある商業施設「塚口さんさんタウン」で間違いないとのこと。
■かつては塚口駅前で盆踊りが行われていた?
早速、移動しようとしたのですが、何やら気になるものがありました。
目の前にあるお店の方に尋ねると、「めでタイガー」という、鯛をモチーフにしたマスコットとのこと。「阪神タイガース」を思わせる、黄色と黒の虎の模様が描かれています。
【兵動さん】「ご無沙汰しています」
兵動さんが声をかけたのは、昭和20年代から営業を続けるおもちゃ屋さん。
実は7年前にもこの番組で訪れたことがあります。せっかくなので少しお話を伺うことに。
【兵動さん】「去年の阪神優勝の時、どうでした?」
【おもちゃの国 ワンワン屋 奥さん】「そりゃすごかったですよ、人が。優勝記念セールもやったから」
【おもちゃの国 ワンワン屋 店主】「安売りしないと仕方ない」
こちらのお店では18年ぶりの優勝を記念し、パズルをなんと18円で販売したんだとか!
【兵動さん】「(阪神に)優勝してほしいですか?」
【おもちゃの国 ワンワン屋 奥さん】「してほしいです」
【おもちゃの国 ワンワン屋 店主】「怖いですよ、そばで一緒にテレビ見てても」
【おもちゃの国 ワンワン屋 奥さん】「今年しんどい試合ばっかりやから」
写真について聞いてみると…。
【おもちゃの国 ワンワン屋 奥さん】「『(塚口)さんさんタウン』。ダウンタウンさん、『この辺でよく遊んだ』ってテレビで(言っていた)」
【兵動さん】「ダウンタウンさんも尼崎(出身)やから。尼崎といえばこの辺(尼崎駅)のイメージやったんやけど、塚口も大きい街?」
【おもちゃの国 ワンワン屋 奥さん】「いや、どっちかというと塚口は、上の方は住宅地ですわ。ただあの当時は駅前にこういう商業ビルあるとこって塚口くらいやった」
1978年に創業した「塚口さんさんタウン」。塚口サンサン劇場という映画館もあり、兵動さんも行ったことがあるとか。
【おもちゃの国 ワンワン屋 奥さん】「そこのお茶屋さんのご夫婦はおうちが塚口の方やから」
ということで、「中村園」さんというお店にお話を聞きにいくことに。
【兵動さん】「すみません、目の前(のお店)から紹介していただいて。もう長いですか?ご商売されて」
【中村園 店主】「128年」
1896年(明治29年)年創業のこちらのお店。塚口で暮らす4代目夫婦に、さんさんタウンについて教えてもらいます。
【中村園 奥さん】「(写真の左側をさして)こっち側がダイエーさん、東側に1番館(の建物)」
東に1番館、南に2番館、西に3番館という3つの建物があったのです。
【兵動さん】「これは何の建物?」
【中村園 奥さん】「(1~3番館は)専門店街ですね」
【兵動さん】「これ(写真の建物)は何番館?」
【中村園 奥さん】「3番館。(Q.だいぶ様変わりした?)コロッと変わった。ここね、陸橋っていうんですか。こう、ぐるっと回ってて、盆踊りをしたイメージが…。ちょうど(1周)回ってこれるんですよ、上で。駅前からぐるっと回って、真ん中にやぐらを立ててはった時もありました」
【兵動さん】「街を挙げてみんなで盛り上がるような場所でもあったんや」
【中村園 奥さん】「その当時はね。(写真をさして)映画館もこっち側に(ある)」
【兵動さん】「映画館も行かれたことあるんですか?」
【中村園 店主】「行ってますね」
【中村園 奥さん】「今もある。(Q.行く時はお子さん連れて?)連れても行ったし、(夫婦)2人で行ったりもした」
映画を見てみんなで泣いたと話すご主人ですが、奥さんは「行ったっけ?」と、記憶がない様子。
さて、満を辞して阪急塚口駅へ移動します。
■2代目が継いだうどん屋さん 実は…
【兵動さん】「さぁ、塚口駅です。立派やね。あれが『さんさんタウン』。話によるとさんさんタウンが何個かあって、残っているのがここ。ええなぁ、昔ながらの店が。ここも味あるよね」
塚口さんさんタウンの2番館の中へ。
【兵動さん】「うどん屋さん、ここは新しいのかな?」
通りかかったうどん屋さんに声をかけてみます。
【兵動さん】「こんにちは。こちら新しいお店?」
【うどん工房 悠々 店主 中山優子さん】「13年。その前に父が、ここのビルが建った時からやってたから、50年近く」
こちらのお店、塚口ではかなりの人気店。2代目の優子さんが店を継ぐ時に父親の味を捨て、ガラリとスタイルを変えたんだそう。
【うどん工房 悠々 店主 中山優子さん】「(父の味も)おいしかったんですよ。はやっていたし。おいしいけど、昆布うどんとか若い人食べないでしょ。今のスタイルのうどんを食べに連れて行ったんですよ。『お父さん、今のうどんはこういうのやで』と。そしたら、あまりにも自分が今まで何十年もやってきたうどんとの違いにびっくりして、『俺はもうあかん。お前が全部やれ』って」
【兵動さん】「その時のお父さんの心情を察するわ、まじで」
お父さんにもお話を聞くため、来てもらいました。
【中山さんの父】「前に来はったよね?ご家族で」
なんと10年以上前に、こちらにプライベートで訪れていた兵動さん。すぐには思い出せなかったようですが…。
【兵動さん】「映画見に行ってん。ご飯食べて帰ろうかと言って。俺10何年前に食べてますわ」
その時に食べたのが、今でも看板メニューとして人気を集める「サラダのかき揚げぶっかけ1200円」。
【兵動さん】「おいしい。弾力がもちもちで。お芋が入っているのか、甘みがすごい」
【中山さんの父】「僕らの時代に(うどんに)野菜という発想は全然ない」
【兵動さん】「いかに、揚げにうまいだしを染み込ませるかどうかやからね。娘さんに(うどん屋さんに)連れて行ってもらって『俺の時代はもう…』」
【中山さんの父】「『終わる』って言いました」
そんなお父さんに、昔の塚口さんさんタウンはどんな様子だったのか聞いてみました。
【中山さんの父】「人がすごかったですよ、この頃は」
【兵動さん】「観覧車に乗ったことは?」
【うどん工房 悠々 店主 中山優子さん】「もちろんあります」
【兵動さん】「なんでそれがここに建ったのか、そういうことが分かるような場所ってあります?」
【中山さんの父】「事務局に聞いたら一番よく分かる」
近くの事務局で聞くと良いとのこと。塚口にこのような商業施設が作られた理由とは…。
【尼崎都市開発株式会社 職員】「尼崎市の再開発事業で、駅前再開発をする時に、塚口が尼崎の北の玄関口ということで、ここをまず再開発しようとなり、(塚口に)『さんさんタウン』が建ったということです」
尼崎を象徴する街としてオープニングセレモニーも盛大に行われました。
【尼崎都市開発株式会社 職員】「当時は屋上遊園地の先駆けというか、すごく大人気だったみたいです」
【兵動さん】「結果的には取り壊されることになったんですか?」
【尼崎都市開発株式会社 職員】「耐震工事をするかという話があって、かなりの費用がかかりますし、少しずつお客さまも減っていたということもあって。(Q.今は何になった?)今は上がマンションになっています。下は店舗が入っています」
3番館は現在の耐震基準を満たせず、2017年に閉鎖されました。
【兵動さん】「(写真をさして)ここのデッキはまだあるんですか?」
【尼崎都市開発株式会社 職員】「まだデッキはあるんですけど、今は上に屋根がかかっているので、こういう(写真のような)オープンな状態ではないです」
それでは写真の場所へ。
【兵動さん】「そうか、ここが2番館でしょ。あっちが3番館。今はきれいなマンションになって、下が商業施設。ええな、ここのマンション。さぁ行きましょう。はい、チーズ」
【兵動さん】「塚口。尼崎の北の玄関ということで『さんさんタウン』ができました。ものすごくいいお店もたくさんありますから、皆さん、遊びに来てはどうでしょうか。塚口、最高でした。ありがとうございました」
(関西テレビ「newsランナー」 2024年6月14日放送)