『水間の観音さん』に行く電車で「活気とドラマがあった」駅へ 車掌の帽子をかぶって『貴重な体験』に兵動さん興奮! 大阪・貝塚【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2024年03月29日
【兵動さん】「今回は南海・貝塚駅前からスタートです。泉南の下町情緒があるすてきなところです」
■大勢の人が電車を降りる光景?
これは1972年(昭和47年)に大阪の貝塚市で撮影された写真です。どこの風景か分かりますか?
【兵動さん】「すごい人やね。“今昔(さんぽ)あるある”でいうと、“この電車が最後の日”とかは結構あるんですよ。電車の車体に(書いてあるのは)貝塚~水間(みずま)の区間ということか。みんなこっち向いているから、(電車を)降りていっているのかな。ちょっと(街の人に)聞いてみる?」
それでは聞き込み開始!
【兵動さん】「今、作業中ですか?」
【街の人】「10時の休憩」
職人の方たちが休憩を取っているところでした。
【街の人】「僕ら職人は10時、お昼、3時に休憩。(Q.仕事は何時から?)8時から(塗装を)やっている」
【兵動さん】「2時間ごとに休憩?めちゃくちゃええやん。これね、昭和47年の写真やねんけど…(写真を見せる)」
【街の人】「今、ガラガラ」
「電車はあるけど」
【兵動さん】「この電車、今あるんですか?」
【街の人】「水間(みずま)線はここ(貝塚駅)からあるから」
【兵動さん】「『水間線』というのがあるの?」
【街の人】「そうそう。水間の観音さんってあるんですよ。その観音さんに行くのに僕らは子どもの時とかよく乗ったんですけどね」
貝塚駅と水間観音駅をつなぐ全長5.5キロメートルの「水間鉄道」。もともとは大正時代、“水間の観音さん”こと「水間寺」への参拝客のための交通手段として誕生しました。
その後、泉南エリアが繊維工業で栄えたため、通勤・通学の手段としても大人気だったのですが…。
【街の人】「今はもう車に乗るようになってからは乗らないですけどね」
「車ですね、僕も」
「僕も車です」
【兵動さん】「みんな車になっていっているんや。何歳くらいですか?」
【街の人】「僕は50歳です」
【兵動さん】「じゃあ(兵動さんと)同じくらいの世代や。(この方は)乗ったことある。(若い女性に)乗ったことは?」
【街の人】「私1回あります。水間観音行くのに」
写真は「水間鉄道」であるという情報を得ましたが…。
【兵動さん】「水間鉄道というところがあって、貝塚から出てるって言ってたけど。(写真の)ここがどの駅かまでは分かれへんねんな。ちょっと聞きこんでみよう」
■「東洋の魔女」も訪れた老舗の衣料品店
歩いていると、お店を見つけました。
【兵動さん】「ええお店やね。『ニュー松本』。松本さんがニューになったのかな」
お店の方に声をかけてみます。
【兵動さん】「すみません、ちょっとお聞きしたいことがあって。『ニュー松本』さんですよね。昔は違う松本さんだったんですか?」
【ニュー松本 店員】「いやいや…」
兵動さんの思いがけない問いかけに、お店の方は思わず笑ってしまいました。
【ニュー松本 店員】「最初にお商売していて、ここを建てたのが43年くらい前」
【兵動さん】「建て替えたから『“新生・松本”が現れたよ』と」
【ニュー松本 店員】「そうです。でも43年たっても“ニュー”なんです」
前のお店と合わせて60年以上、貝塚で商売を続けているそうで…。
【ニュー松本 店主】「東洋の魔女さん買いに来てくれましたよ」
「東洋の魔女」とは、1964年の東京オリンピックで金メダルを獲得した大日本紡績(現・ユニチカ)の女子バレーボールチームの通称です。
【兵動さん】「え、ユニチカのバレー部の方が買いに来はったんや。今はありますよ、大きい(サイズの)服とか。その当時なんて探すの大変やったやろうし、『松本』行ったら一発やで!みたいな」
【ニュー松本 店主】「ありがたいね」
お店の話を聞いたところで、写真を見てもらいます。
【兵動さん】「すごい人で、電車やな、と」
【ニュー松本 店主】「水間鉄道。“水鉄(すいてつ)”って愛称で呼んでる。水間観音って(寺が)あります」
【ニュー松本 店員】「(写真を指して)終着駅ですわ。水間さんの初詣じゃないの?皆さんお着物着てる」
【ニュー松本 店主】「お正月の。千本づき…、餅まき(をする)」
【兵動さん】「(餅を)ばーっとまいて、みんなそれをもらって帰るねんや。おもしろい。水鉄乗って、お参りに行くのがお正月の習わしみたいな。水鉄乗るのは参拝の時だけ?」
【ニュー松本 店員】「学校の遠足で電車に乗って、お寺の写生に行った」
【ニュー松本 店主】「写生はみんな行きました」
【ニュー松本 店員】「こっちの方の小学生は」
【兵動さん】「デートで乗ったりはしなかったんですか?」
【ニュー松本 店員】「デートで水間線ですか?私はなかった」
それでは、水間鉄道の駅へ行ってみます。
■水間鉄道で「水間の観音さん」へ
【兵動さん】「『水間鉄道貝塚駅』。めちゃくちゃ味あるよね。結構あるよ、(水間線の)駅。終点の水間観音(駅)というところに行ったらええねんな」
駅舎の看板に「水間鉄道貝塚駅」と、駅名が力強い筆字で書かれていました。
【兵動さん】「あれが次出るやつ(電車)?やっぱ電車は全然違うわ。(写真の電車と)変わってる」
終点・水間観音駅までの切符を購入し、乗車します。
車内の乗客の方たちに声をかけてみる兵動さん。
【兵動さん】「昔の写真を持って回ってますねん。(写真を見せて)これはこの電車でしょ?」
【街の人】「昔の電車や」
【兵動さん】「皆さん、今から観音さん行きはりますの?」
【街の人】「家帰る」
【兵動さん】「この線にお住まいなんや。皆さんの生活の足というか」
【街の人】「これ(水間線)がなかったら困ります」
貝塚駅から水間観音駅までの間は住宅街の広がるエリア。昔ほどの勢いはないものの、今も地域住民の重要な交通手段です。
さて、水間観音駅に到着しました。
【兵動さん】「着いた。(切符は)ここに入れたらいいですか?」
【駅員】「ここへお願いします。今日は何(のロケ)ですの?」
【兵動さん】「今日は昔の写真持って(歩いて)、同じところから写真を撮るというコーナーで来てますねん」
【駅員】「よく見てますわ」
【兵動さん】「(写真を見せて)これ、水間鉄道ちゃうかなと思って」
すると、写真を見るなり…。
【駅員】「(人差し指を立てて)正解!」
ユニークな駅員さんに少し面食らう兵動さん。
【兵動さん】「急にキャラ濃い人が…」
【駅員】「“カット”やで!」
【兵動さん】「『カットやで』やあらへん!使わせてや。あのね、ちょっと詳しい話を聞きたいんやけど」
お願いをしたところ、本社にいる担当者の方に来ていただけるとのこと。ただ少し時間がかかるということだったので、「水間の観音さん」こと水間寺へ行ってみることに。
■約1300年の歴史を誇る「水間寺」の恒例行事とは
【兵動さん】「すごいね。これ桜(の木)?」
水間寺は桜の名所としても知られています。
【兵動さん】「きれいなとこやな。歴史的なとこなんやろうなぁ。うわ、すごいな。そりゃ、皆さん来はるわ。これは立派や」
水間寺が創建されたのは744年(天平16年)、実に1300年近い歴史を誇ります。
古くから厄除けのお寺として有名だったのですが、2017年に「恋人の聖地」に選定!恋愛のパワースポットとして若い世代からも注目されています。
ここでも写真について聞いてみると…。
【兵動さん】「これ、やっぱりお正月ですか?」
【水間寺 責任役員 山本利一さん】「これ正月ですね。この当時は駅からお寺へ来るまで(人が多くて)通れないんですよ。(手でよけるジェスチャーをしながら)どいてどいて、ごめんごめんって」
【兵動さん】「それくらい人がぎっしりやったんですか。今はちょっと悲しい話やけど、ここまで(写真ほど)のお正月の活気は出てきてないということなのかな」
【水間寺 責任役員 山本利一さん】「ここへ来たらあります」
【兵動さん】「お寺に来たら(活気は)あるけど、電車からこんなには(たくさん人が降りてこない)」
【水間寺 責任役員 山本利一さん】「そうなんですよ」
【兵動さん】「みんな車で来るから」
お正月に水間寺がにぎわうのは変わっていませんが、写真のように大勢の人が電車から降りてくる光景は、今は見られないとのこと。
【兵動さん】「千本づき?これはちょっと、まだよくピンと来てない」
【水間寺 責任役員 山本利一さん】「千本づきってね、たくさんの餅をつくんですよ。それを振る舞う。昔は餅の中に『“ご縁”があるように』って5円玉を入れて投げていたんですよ。今は5円では値打ちがないので、50円を袋に入れて一緒に投げているんです」
毎年1月2、3日に開催される「千本餅つき」は、8人1組で2組が歌に合わせて餅つきを行い、参拝客に振る舞うという伝統行事。貝塚市の無形民俗文化財に指定されています。
■「ドラマがあった」“水鉄”のさまざまな取り組み
水間寺を見学した後は駅へ戻り、水間鉄道について詳しく話を伺います。
【兵動さん】「いろんな方にお話を聞いたんですけど、昔はもっといろんなお客さんが乗っていて、活気があったということですよね」
【水間鉄道 事業企画部 六尾安都子さん】「私たちの時代のもっと前がすごく活気があって、かなりのお客さんに乗っていただいてました。運転手さんも結構モテモテだったんですよ。車両の点検とかで駅員が歩いていると、前から高校生が来て、手紙を渡して、というのを見たことがございます」
【兵動さん】「通勤、通学でいっぱい人が乗ってて活気があって、運転手さんも手紙をもらうような、なんていうんだろう…」
【水間鉄道 事業企画部 六尾安都子さん】「ドラマです、ドラマがこの駅では繰り広げられていた」
【兵動さん】「今(その面影が)ゼロやないか!」
かつてはドラマが繰り広げられていたというこの駅。ふとホームに目をやった兵動さん、あるものに気づきます。
【兵動さん】「あの吊るしているのは何ですか?」
【水間鉄道 事業企画部 天野・ジャック・隆之さん】「苔玉でして。(なぜ吊るしている?)『苔のむすまで努力しよう』という意気込みを」
実は、水間鉄道は利用客の減少から2005年に一度経営破綻しており、再生後はできる努力は全てしようということで、さまざまな取り組みを行っているんです。
YouTuberとコラボし、水間鉄道貝塚駅を舞台にした謎解きゲームを開催しているほか、貝塚が誇る観光名所「水間寺」ともコラボイベントを開催。毎年秋~冬に「デジタルアートフェスin水間観音」を実施しています。
また、地域の子供達に親しんでもらうための企画には特に力を入れているそうで…。
【水間鉄道 事業企画部 天野・ジャック・隆之さん】「貝塚の小学生に夏休みや春休みに無料パスを配りまして、ぜひそれで乗って、水間鉄道に乗り慣れていただこうと」
「駄菓子列車」という企画や、長期休みに子ども用の無料パス配布も行っているということです。
【兵動さん】「泣いていいですか。水間鉄道、たゆまぬ努力。そういう取り組みをたくさんやっていて、これは目玉というのはあるんですか?」
【水間鉄道 事業企画部 天野・ジャック・隆之さん】「お客さまの自由な写真をヘッドマークに印刷して電車を走らせております」
実際に見てみると、車体に写真が貼られていました。
【兵動さん】「あの丸いの?あんなでっかくやってくれるの!?…やろうか?」
■大人気の企画に兵動さん「ドキドキする」
ヘッドマークサービスはかなりヒットしているそうなのですが、それを上回る人気企画が…。
【水間鉄道 事業企画部 天野・ジャック・隆之さん】「電車の運転体験を実施しております」
【兵動さん】「シミュレーターってありますよね。ああいうので、水間鉄道の風景が見られるということ?」
【水間鉄道 事業企画部 六尾安都子さん】「いや、本物です」
【兵動さん】「いよいよやね。水間鉄道、いよいよ来たよ」
大人気のアトラクション「電車運転体験」を特別に体験させてもらえることに!
運転をレクチャーしてもらいます。
【兵動さん】「これがブレーキを踏んでいる状態」
【水間鉄道 職員】「こちらがアクセルで、ひねると動き出す。メーターが10キロになったら戻して…」
【兵動さん】「めちゃくちゃドキドキするけど、わくわくでもある」
それではいよいよ…。
【兵動さん】「行きますね」
教わった通りにアクセルを動かします。
【兵動さん】「進んだ!すごいな、これ!お~!俺、電車運転してるで、今。ドキドキするけど、楽しい!」
営業用とは別の「車庫線」と呼ばれる約100メートルの線路を3往復できるんです。
この運転体験は、開催が決まると予約がすぐに埋まる人気ぶり。
貴重な体験を終えた兵動さん、少し興奮気味です!
【兵動さん】「電車運転しましたわ!現世で電車を運転することはないと思ってた。すごいな!」
大満足したところで、写真撮影へ。今回の写真は少し上から撮られているものでした。
【兵動さん】「なるほど、こう撮ったのか。はい、チーズ」
【兵動さん】「すごかった、水間鉄道さん。面白いこといっぱいされてますんで。これからも『水間鉄道、とがってるな!』みたいなことをお待ちしてます。ありがとうございました」
ちなみに、「ヘッドマークサービス」を紹介された際に「やろうか?」と言っていた兵動さんですが、なんと実現しました!
「今昔さんぽ」のオリジナルヘッドマークを3月25日から4月17日まで、水間鉄道の電車の車体前面に取り付けて運行されます。ぜひご覧ください。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月22日放送)