江戸時代に始まり今も人気 東寺の“弘法市” 海外のガイドブックにも掲載 おもち、骨董、着物に“切れない刀”まで何でも売ってる名物市 【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2023年08月22日
【兵動さん】
「今回はJR京都駅前からスタートします。観光客も戻ってきてにぎやかになった京都です」
【兵動さん】
「今日の写真、こちらですが…、これもう古いなあ。勝手なイメージだけど戦後感があるみたいな。外で物を売ってる。木がたくさんあって、広場だろうね。これだけで分かるかなあ」
これは1965年(昭和40年)に京都市内で撮影された写真です。どこの風景か分かりますか? 聞き込み開始です。
■いきなり結論「東寺やろ。“弘法さん”」
【兵動さん】
「こんにちは。関西テレビの『newsランナー』っていう番組で回らせてもらってる兵動です。昔の写真と同じところで写真撮るコーナーなんです。これ昭和40年の写真なんですけど…」
【街の人】
「東寺やろ。今日21日でやってるわ。俺、今行ってきてん。“弘法さん”やねん。市が出てんねん。今行ってズボン買うてきた。漬物やら野菜やら。関西の人やろ?知ってるやんか」
【兵動さん】
「情報量が急にすごい。えー分からへんねんなあ。“弘法市”」
【街の人】
「僕は朝7時半ごろから行った。今から用事があるから早めに帰ってきた」
写真は、毎月21日に東寺で行われている「弘法市」ではないかという有力な情報を得たので、京都駅から徒歩15分ほどの東寺へ向かってみることにしました。
世界遺産・東寺は、平安京の遷都とともに創建された寺院。弘法大師空海の真言密教の道場として栄え、木造としては日本一の高さを誇る五重塔でも有名です。
■“弘法市”たくさんのお店に、お客さんもいっぱい 兵動さんテンション上がります
【兵動さん】
「うわーすごい。これはテンション上がるな」
【兵動さん】
「刀売ってますやん。ちなみにこの刀でいくらぐらいするんですか」
【模擬刀の出店者】
「これ模擬刀なので切れません。1本5000円です。たいがいお土産みたいに買っていきますわ。子供にこうてあげたり」
【兵動さん】
「Sorry.Japanese TV.OK? From? (どちらから?)」
【弘法市に来ていた外国人】
「Miami(マイアミ)」
【兵動さん】
「This Market do you Know? (この弘法市は知っていましたか?) Internet?」
【弘法市に来ていた外国人】
「Yes. (はい) Internet (インターネットで)and book. (それとガイドブック)」
【兵動さん】
「本に載ってんねや。This Market?(この弘法市のことが?)」
【弘法市に来ていた外国人】
「In the book,Yes.(この本に載っています)」
【兵動さん】
「おーなるほどな。ここでなんかやってまっせみたいな。ありがとうございます。Thank you.」
お酒を飲める屋台、根付細工、骨董品、おかき… いろんな面白いお店があって、兵動さん先へ進むのに一苦労です。
【兵動さん】
「でてきた五重塔。はあ~これが南大門」
【兵動さん】
「おもち屋さん」
【餅の出店者】
「うち農家やから。三重の方から。これ主人が作ったお米」
【兵動さん】
「もうどれくらいになります、(弘法市に)来て」
【餅の出店者】
「ここの場所で50年です。この南門の中で」
【兵動さん】
「50年!ずっとここの場所で?弘法市って何年ぐらい前やってるんですか?」
【餅の出店者】
「江戸時代」
【兵動さん】
「そんな前から?」
【餅の出店者】
「一番裏に事務局があるから、聞いてみ。江戸時代からや」
■多い時は1200店舗も出店 江戸時代に始まった“弘法市”
弘法市について詳しい話を聞こうと事務局へ行ってみました。
【兵動さん】
「ものすごい盛り上がってますね」
【出店運営委員会 狐島光弘会長】
「今月少ないんです。やっぱ天気の加減もあるか分からんけど、だいぶ少ないですね」
【兵動さん】
「たいたい平均何店舗くらい出てるんですか?」
【狐島さん】
「たいだい1000店舗ぐらい出てます」
【兵動さん】
「1000店舗!」
【狐島さん】
「1月と12月の“初弘法”、“終い弘法”というんですけど、だいたい1200店ぐらいそれぞれ出ますね。1月、12月は特別多いんです。人も20万人入ると言われています」
【兵動さん】
「20万人。1日で?」
【狐島さん】
「1日で。毎月の縁日で出てる店舗数としては、たぶん日本一や思います。東寺は朝5時になると東西南北の門を全部開くんですよ。それと同時に業者さんとか出店される方が車で入ってこられて、だいたい8時ごろにはほとんどの店ができあがっている状態で」
【兵動さん】
「さっき聞いたら、江戸時代からあったんちゃうかという話やったんですど」
【狐島さん】
「そうなんですよ。弘法大師さまが835年に入寂されて、毎年3月21日に供養があったんです。最初は年に1回だけやったんが、だんだんと鎌倉時代に毎月するようになって、人が集まるということで、いろんな商人が出てきて、お茶出したりとか、食事提供したりとか、それがだんだん増えてきて、江戸時代には今のようににぎやかなすごい数になってきたという状態です」
広報担当の山本さんは、若い人に弘法市の魅力を伝えようとインスタグラムで情報発信をしています。
【出店運営委員会広報担当 山本麻衣さん】
「今けっこうネットで、携帯電話1台あれば何でも買える社会ですけども、直接作り手さんと話ができたり、こんな思いを込めてやってるというのを聞きながら買い物ができるのが、すごい新鮮な感じ」
【兵動さん】
「今の答え、100点やね」
■いよいよ写真が撮影された場所へ
1965年(昭和40年)に撮影された「弘法市」の写真。いよいよ撮られた場所に迫ります。
【兵動さん】
「(写真の事を)みなさんに聞くとこちらの弘法市ちゃうかという話になって、場所って分かったりします?」
【狐島さん】
「なんとなく、あそこじゃないかなというのは分かりますね」
【兵動さん】
「それは何を見て分かりはるんですか?手がかりになるもの」
【狐島さん】
「ここに階段あるんですよ。あと屋根ですね。どっかの堂の屋根。おそらく金堂ですわ。おそらくこれ南大門のあたりですわ」
【兵動さん】
「ほなあれですか、門側から撮ってるということですか?」
【狐島さん】
「そうです、そうです。一回行ってみんと分からへんけど、ちょっと合わせてもらたら、たぶんそうかなと思うんですけどね」
狐島さんが「あそこじゃないか」と言う南大門に向いながら、昔と今の市の変化を教えてもらいます。
【兵動さん】
「これね、昔と今って、お店の感じとか、市も変わってきました?」
【狐島さん】
「そうですね、やっぱり骨董品が多いんですけど。東寺は骨董というイメージがあるんやけど、昔と違ってほんまに手作りで一般の方の数がすごく増えましたね」
【兵動さん】
「昔は業者の方が多かった?」
【狐島さん】
「ほとんど業者の方。今は手作りでやってる人が多いですね」
南大門に到着しました。
【兵動さん】
「さ、南大門に来ました。正面に見えるのが金堂。(撮影している)角度的には向こうってことですか?」
【狐島さん】
「位置的にはだいぶあちら側(金堂に向って南大門の右端)から撮ってますよね」
【兵動さん】
「いきましょう。はい、チーズ」
【兵動さん】
「こんだけ楽しい弘法市、毎月21日です。雨降ってもやります。どえらいことになってない限りやってますので、もしよかったら一日がかりで見に来てください。毎月第一日曜日も骨董市やってますんで、ご興味ある方はぜひ。そして広報の方が発信していますんで、そちらの方も見ていただきたいと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2023年7月14日放送)