夏祭りの写真をたどると… 実は「交野市」は七夕伝説発祥の地 そして平安貴族のリゾートだった 【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2023年08月17日
【兵動さん】
「さあ今回は交野市です。こちらJR星田駅前からスタートです。交野市といえば枚方と寝屋川の間ぐらいに位置するんですかね。星田駅、駅の向こうが今すごい開発されていまして、マンションもいっぱい建って、ショッピングセンターも建つという。今注目の星田駅前からスタートでございます」
■写真に残る“短冊が飾られた夏祭り” 「七夕」でしょうか?
【兵動さん】
「今日の写真おくれ。あ~なるほどね。なんかの祭り、夏祭りよね」
これは1985年(昭和60年)、星田駅かいわいで撮影された写真です。どこの風景なのでしょう。
【兵動さん】
「ほんまに時代を表すよね、登場人物のみなさん。おニャン子クラブが全盛期ぐらいじゃないですか」
【兵動さん】
「あと、こういう“おかん”いっぱいおったんですよ、つっかけで近所の神社にお参りするという。夏の香りがする、いい写真でございます」
聞き込みを始めた兵動さん、まずお母さんと娘さんで出かけていた親子に声を掛けました。
【兵動さん】
「ちょっとだけ写真見てもらうって無理ですか。親子さん?」
【母・娘】
「そうです」
【兵動さん】
「むちゃくちゃ似てますね。ほんまに。うちの娘がぼく似なんですよ。なんで笑てんの」
「えーあのね、これ1985年なんです。これお祭りやと思うんです。交野でけっこうお祭りってあります?夏祭り」
【母】
「あるよね。七夕のお祭りがある。天野川の方」
【兵動さん】
「『天野川』いうのがありますの? 川? これはもうかなり“七夕”やんか」
淀川へと続く一級河川「天野川」。地図でみると、交野市から枚方市を縦断するように流れているようです。
■星田駅前のお店で立て続けに“親切なご夫婦”に出会う
さらに情報を求めて、星田駅前のカフェで聞き込みです。兵動さんが入ったカフェは、星田駅前で1996年にオープンした「ソレイユカフェ」。名物の「星田ワッフル」は軽い口当たりがうりで、これを目当てに訪れる人がいるほど。さっそく今回の写真について聞いてみると…
【兵動さん】
「天野川があるから、七夕なんちゃうかみたいな」
【ソレイユカフェ 西口寿万夫さん】
「うん、七夕祭りしはる。星田神社もしてんのかな。妙見さん(星田妙見宮)いうてな。そこでやったのかな」
【兵動さん】
「七夕には力入ってるんですか、この交野は」
【西口寿万夫さん】
「入ってるな。天野川があるだけに」
【兵動さん】
「ね、天野川。ほんで今、誰を呼んでいただいたんですか?」
【西口寿万夫さん】
「うちの嫁はん。あいつはよう知っとるからな」
【兵動さん】
「織姫さんを、彦星さんが呼んでくれはったんや」
しばらくして織姫さん(奥様)登場です。
【西口弘美さん】
「あ~兵動さんや~。お父さんが大ファンやねん」
【兵動さん】
「織姫様ええリアクションや。うれしい、うれしい。お父さん、そんなんみじんも出してませんでしたよね。」
【西口弘美さん】
「織姫さん来たんです。(写真を見て)これ妙見さんじゃないな。機物(はたもの)神社。妙見さんの一番上かな?」
「星田妙見宮」と「機物神社」というキーワードが出ましたが、どちらも交野市内で、七夕祭りが行われているとのことです。
さらに地元で愛されるお茶屋で写真について聞いてみると…
【宇治銘茶かをり園 平井清隆さん】
「七夕飾りの写真ですね。交野には七夕伝説がありますねん」
実は、「七夕伝説」発祥の地と呼ばれる交野市。天野川にかかる逢合橋(あいあいばし)で、織姫と彦星は年に一度の再会を果たすと言われています。七夕月には機物神社と星田妙見宮のほかに、さまざまな場所で七夕祭りが行われているのです。
【平井清隆さん】
「うちの商店街もね、6月の末頃から7月7日まで七夕飾りをつけて、星田妙見宮で短冊をいただいて、子どもさんにみんな願い事書いていただくんです。ほんで7月7日に星田妙見宮に持っていって、願い事を天まで届けという願いを込めて祈願していただくんです。交野は星が降りたという伝説が昔からありますんで」
【兵動さん】
「星が降りたという伝説があるの。星が降ってきたということ?」
【平井泰子さん】
「隕石ですけどね」
【兵動さん】
「身もふたもない。おれも隕石やろなと思いましたけども」
さらに星田妙見宮には、かつてこの地に星が降ってきたという伝説が残っていて、今も七夕の織姫をまつる石があるとのことです。
【平井清隆さん】
「交野の観光のことは、前の会長さんの佐藤さん。連絡とっておきますので、行っていただいたら。星田妙見宮を…」
【平井泰子さん】
「待ち合わせ行っていただいたら、いてはるように…」
【兵動さん】
「(ご夫婦)両方ものすごい一生懸命言ってくれる。分からへんなるくらいめちゃくちゃ教えてくれる。お茶買うときはここやで」
そんなこちらのお茶屋では、織姫の名がついた店主自慢の逸品があります。
【兵動さん】
「織姫玉露、織姫小町、織姫の甘い誘惑。これどんな味すんねん」
兵動さん、一杯いただきます。
【兵動さん】
「(ご主人)おれより先に飲むんですか?」
【平井清隆さん】
「味見しとかな」
【兵動さん】
「いや、おいしい。これはええお茶ですね。誘惑してくるわこれ。お茶のうま味もするけど、不思議な感覚」
【平井泰子さん】
「甘み成分がふわ~って広がりますでしょ」
【兵動さん】
「これおいしい。ぜひ買いに来るか、問い合わせしていただきたいと思います」
■交野の“七夕伝説”の由来 そして写真の場所が明らかに
おいしいお茶で一息ついたところで、七夕伝説と星の伝説が残る星田妙見宮へ。伝説に詳しい観光協会の佐藤さんに会うことができました。
【兵動さん】
「これね、1985年の写真でね、あの七夕なんです。七夕の伝説と星の伝説はまた別なんですか?」
【佐藤義也さん】
「別なんです。あとからくっついてます。あとからくっつくちゅうのもおかしいですが、難しい言葉で言ったら“習合”するいう」
さらに交野市一帯が七夕伝説で有名になった理由は平安時代にあるそうです。
【佐藤義也さん】
「平安時代にこの辺りは、さくら狩り、たか狩りの名所になって、(貴族の)リゾート地で遊びに来ていた。天野川が流れているから、在原業平いう歌人が歌をうたってくれた」
「狩り暮らし たなばたつめに 宿からむ 天の河原に われは来にけり 在原業平」
狩りをしているうちに日が暮れてしまったので今宵は織姫さまに宿を借りよう、というこの地をうたった和歌が、“七夕の町”の名を世に広めたのです。
【兵動さん】
「平安時代の一つの歌から始まって、ずっとその七夕の町というのがいまだに続いているということ。これで謎が解けたというかですわ。ほなこれ(写真)は?」
【佐藤義也さん】
「これはおそらく機物神社さんだと思います。ここ(機物神社)はここで、自分ところの神さんは七夕姫やと守護しておられる。また関係なしに、こっち(星田妙見宮)はこっちで天から降ってきた大きな石を七夕姫と呼んでいる」
【兵動さん】
「見たないですか、その降ってきた星(石)。それあるんですもんね」
【佐藤義也さん】
「(石があるのは上のほうで)階段を登っていただいたら。225段」
【兵動さん】
「225段あるか」
【兵動さん】
「ここか、上見えへんわ。いや、ここを上がって行くからご利益がある。行こか」
「やばいな太もも。うわぁ、乳酸たまる。やっぱり225段ですね。終わりや思てたんですが、まだあります。ここを登れば。あ~気持ちええ、しんどいけどすっとする。あ~こんにちは。一つお聞かせ願いたいんですが、もうそこで到着ですか」
【星田妙見宮宮司 佐々木悠介さん】
「もうちょっとだだけ」
【兵動さん】
「(景色を見て)うわあ、きれいですね。絶景やな。一望できますやん」
【佐々木悠介さん】
「これが『交野が原』と言われています」
見渡す景色一帯が平安貴族のリゾート地と言われた「交野が原」です。さらに本殿へ向かい、御神体とされている「織女石(たなばたせき)」を見せていただくことにしました。
【佐々木悠介さん】
「正面に岩が2つあります。その向こうにもう1個あるんですけども。昔からこの岩を御神体にしまして」
【兵動さん】
「御神体がここから見えるということですね」
織姫をまつる石からパワーをもらったところで、写真について聞いてみました。
【佐々木悠介さん】
「たぶん機物(神社)さんの写真ではなかろうかと思いますね」
【兵動さん】
「なるほど。じゃあまずここで参拝させていただいて、またこちら(機物神社)の方へ向かいたいと思います」
■写真は「機物神社」の「七夕祭り」でした
交野市内で撮影された七夕祭りの写真ですが、写真の場所は星田妙見宮からおよそ2.5キロ離れた「機物神社」ということで向かってみました。
【兵動さん】
「立派やね。すごいわ。こんにちは、よろしくお願いします。七夕祭りいうのをやられてるんですよね」
【機物神社宮司 中村武弘さん】
「はい、やってます。ここに8メートルぐらいの竹ササが30本立ちます」
【兵動さん】
「え、ここに。何年前からやっているんですか?」
【中村武弘さん】
「ずっとですね、昭和55に復活しましてから。(間が)開いてましてね。古文書から(昔にやっていたということが)出てきましてね。七夕祭りいうのが出てきまして、これはせなあかんなと」
織姫をまつる機物神社の七夕祭り。約5万人が訪れると言います。今年は屋台なども出店し、3年ぶりに完全復活です。
【兵動さん】
「これ1985年の写真です」
【中村武弘さん】
「かなり古いですね。間違いないですね。そちら側から、こう撮られてますね」
【兵動さん】
「交野市はすごいですね、いろんな伝説があるんです。星が降ってきたっていう伝説があったり、七夕伝説があったり。こうやって祭りが復活して地元の人とか、ものすごい楽しみにしている状況です。みんな来はるという。すばらしいですね。ありがとうございました」
(関西テレビ「newsランナー」2023年7月7日放送)