そうめんの街・たつの市 写真に残る“真剣勝負”? 世界にアピール“SOMEN JAPAN” 【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2023年08月30日
【兵動さん】
「今回はですね、兵庫県たつの市の方によせていただいております。後ろにあるのは龍野城という、たつのにお城があった跡地というんですかね。やぐらとかは立派に建っておりますけど、ええとこですね。場所でいうたら姫路と赤穂の間ぐらいでございます。というわけで、たつの市からスタートでございます」
これは昭和初期に兵庫県たつの市内で撮影された写真です。何の風景か分かりますか?
【兵動さん】
「今日の写真は、あ~はいはい。これは、むちゃくちゃええ写真。もう写ってるから“そうめん”ですよね。たぶん」
【兵動さん】
「なんか書いてある字。これ“揖保乃糸(いぼのいと)”。ここ(右側)にもローマ字で“SOMEN JAPAN”て書いてある。えー、昭和初期、何してるとこなんやろ。子どもらがすんごい見てるね。なんかの競技かな?ちょっと聞き込んでみます」
■たつの市は“歴史的なもの”がいっぱい
それでは聞き込み開始です。
【兵動さん】
「たつのは漫才の営業でよく来させてもらうんです。あんまり街は歩いたことないんやけど、めちゃくちゃ風情があって、ええとこ。なんか歴史的なものがバンバンあるねんけど」
「(『三木露風生家』の看板を見て)『ミキロフウ』で合ってますか?ごっつすごいことした人ですよね。(ポスターを見て)これか、『赤とんぼ』。赤とんぼの歌ありますやん。『夕焼け小焼けの…』あの歌を作った方なんや」
たつの市に生まれた三木露風は、ふるさと龍野の風景を歌にしたと伝えられています。
【兵動さん】
「ここも気になんねんな、煙突のとこ。『カネイしょうゆ株式会社』。今はやられてへんのかな?(歩いていた人に声を掛けて)番組で回らせてもろてる兵動いうんですけど、今日は?」
【観光客】
「観光で、しょうゆを買いに来たんです。たつののしょうゆはおいしいと聞いたんで」
たつの市はしょうゆの産地としても知られ、街には江戸時代のしょうゆ蔵が今も残されています。
■写真に写る“そうめん”に関係がある何かに迫る
たつのは何といっても“そうめん”が有名ですが、たつのでそうめん作りが始まったのは約600年前と伝えられています。播州平野の小麦と、揖保川の水車による製粉、近くの赤穂の塩などそうめんの材料がそろい、冬の乾燥した気候がそうめん作りに適していたことから、そうめんの産地となりました。
【兵動さん】
「お邪魔してます。(写真を見せて)これ昭和初期なんですよ」
【街の人】
「写真だけでは建物は分からんな。揖保乃糸やな、たぶんね、そうめん切ったやつをどんだけの速さで束ねられるか」
【兵動さん】
「それを競争してる?」
【街の人】
「たぶんそうやろ思うわ。今やったら機械やけど、昔は手で取って100グラムとか200グラム、もうそれでこの人らは分かるんや。場所は分からない」
【兵動さん】
「やっぱ地元の方は、揖保乃糸ってけっこう食べるんですか?」
【街の人】
「食べますよ。よそのは食べません。そうめんを伸ばして上と下を切るんですよ。そうして残った部分が『バチ』ていうんやけどね、それはよく食べた。みそ汁の中にいれて」
【兵動さん】
「長さが合わへんから、それは地元の人にしかあんま手に入らへんわけや」
【街の人】
「そうそう。売り物にならないから。最近は売ってるみたいよ。それもね」
聞き込みによると、写真はそうめんを束ねる競技なのではないかというヒントをもらいました。
さらに歩いていくと、
【兵動さん】
「パスタ屋さん?これまあまあ物議を醸しださへん?『ようそうめんのとこ(名産地)で、パスタきたな』みたいな。ちょっと聞いてみよか。(扉を開けて)うわーここも風情あるわ。すいません。『newsランナー』って番組で回らせてもろてる兵動いうんですけど。さっき言うてた『バチ(そうめんの切れ端)』が売られてる。そうめんも売ってはんねや。『龍の夢PASTA』。これはパスタって書いてあるけど、どういうこと?揖保乃糸が置いてるの?」
【パスタと気まぐれ料理いちわオーナー 金谷真美さん】
「揖保乃糸のパスタ麺なので」
【兵動さん】
「そんなんあるの?全然知らんかったわ。普通の揖保乃糸のそうめんとパスタのって何が違うの?」
【金谷さん】
「そもそもの原材料の小麦をパスタ用に代えてるのと、使ってる油が違うかったり。ただ手延べのそうめんと全く同じ製法で生産してて」
【兵動さん】
「(細長い棒を上下に動かして)ファーファーいうて、(麺が)くっつかんようにね。のれんみたいな。あの作業はパスタも一緒なんや」
【金谷さん】
「一緒。実家がそうめん屋で、(私自身が)そうめんずっと作ってるんですけど、せっかくやったら、たつのでお店出すし、(パスタに)揖保乃糸使こうたれみたいな」
せっかくなので、揖保乃糸のパスタを試食してみることに。
【兵動さん】
「これが揖保乃糸のパスタ麺。確かにそうめんよりはちょっと太いよね。(麺をすすって)うん、めちゃくちゃおいしい。パスタよりコシがあるというか、かみごたえがある。おいしいソースが入り込んでるやつをかめばかむほどブワーッと(麺から)ゆっくり出てくるというか。パスタは絡める感じやん。これは中に入る感じ。パスタとは違う。そうめんともまたちゃうねん。パスタよりも味が麺に染み込む。これ食べてもらわな分からんねんな」
ここで写真について聞いてみると…
【兵動さん】
「揖保乃糸を束ねる競技ちゃうかと。こういう昔のことがよう分かるところってあります?」
【金谷さん】
「『そうめんの里』っていう建物があるんですけど、その中に資料館があって、昔はこういう作業をしてましたみたいな人形がばーって並んでたりする所があるんで」
■そうめんの歴史を学べる資料館「そうめんの里」でいよいよ核心に迫ります
教えてもらった「そうめんの里」へ行ってみます。
【兵動さん】
「わーすごいな。なんか、。そうめんに見えるカーテンかな、これは。すみません。『newsランナー』っていう関西テレビの番組でよせていただいてる兵動というんですけど」
「そうめんの里」は、そうめん作りの伝統的な製法や歴史などを学べる施設。また、そうめんはもちろん、パスタや中華麺などさまざまな種類の「揖保乃糸」の販売や、レストランでは、いろいろなそうめん料理を味わうこともできるんです。
たくさんあるメニューの中から、兵動さん「そうめん巻きずし(440円)」をいただきました。
【兵動さん】
「この白い所が全部そうめんなの?ほんまに巻きずしの香り。黙って出されたら、ご飯なんちゃうって思うくらいの、ほんまのおいしい巻きずしの味。かんでいけばご飯とは違う跳ね返りというか」
【揖保乃糸資料館そうめんの里 総務部 藤木裕子さん】
「そうですね。揖保乃糸の特徴として、ねじってねじって、そして時間をかけて熟成させながら延ばしていくっていう風に作っていくんですけども、口の中でプチッとしたような食感を楽しんでいただける。それだからこそできる巻きずしです」
【兵動さん】
「買って帰ろうかなと思うぐらいのプレゼン力でしたよ」
そうめんを「ねじって作る」というのはどういうことなのでしょうか?
【そうめんの里 支配人 池上靖明さん】
「これ見ていただいたら分かる通り、ちょっとねじりながら、よりをかけて、麺をしっかり強くするためにやっています。熟成をかけながら、徐々に細く長く延ばしていくんですね。こういった道具を使って、さらに細い所を通して、さらに細くしていく。これを順次繰り返していくんですね。熟成かけてグルテンを形成させて、それを筋状、縦に伸ばしていく。そうすることによって、グルテンというのが形成されてより強い麺になっていくんですね」
【兵動さん】
「湯がいた後、食べるときに弾力が出てくるという。すごいなこれ。ほんで、今はどういう形で作ってるんですか?」
【池上さん】
「今は、ほとんどの作業は機械化されておりますので、機械の方で行っております。ただ、最終的に人が麺同士がさばけているのかというのはしっかりとチェックはしているんですけども」
【兵動さん】
「だから『手延べ』っていうてるのは、手作業の動きを機械が再現している」
【池上さん】
「そうですね。それとまだ手作業で行わないといけない部分も残っていますので」
ここで写真について聞いてみると…
【池上さん】
「実は『素麺神社』というのがございまして、例祭の一部の写真になります。これはそうめんの『束くくり』っていう競技をやっておりまして、普段お仕事をされている方が、このお祭りの時に自分の腕を競い合う、そういった形でやっております」
【兵動さん】
「お祭りの一環なんや。これねローマ字で“SOMEN JAPAN”って書いてたりする、これ何か分かります?」
【池上さん】
「早くから海外に、博覧会に出展したりとか、そうめんをPRしていこうという動きがありましたので、そのあたりから来てるんだと思いますね」
現在でも海外へのアプローチを行っていて、少しずつ認知度を上げているそうです。
それでは近くにある素麺神社へ向かいます。
【池上さん】
「こちらが素麺神社になります」
【兵動さん】
「すごい、ほんまに素麺神社って書いてあるわ。で、写真はどこで」
【池上さん】
「おそらくですね、ステージを特設で組んでると思うんです。どうしても上(境内)だと狭いので、たくさんの観客がいますから。場所はここ」
【兵動さん】
「駐車場のところなんや」
競技自体はいつの頃からか行われなくなりましたが、当時は大きなイベントだったようです。
【兵動さん】
「では、はいチーズ。素麺神社があって、揖保乃糸がいろんな進化を遂げていました。ぜひ一度食べに来てほしいですよね」
(関西テレビ「newsランナー」2023年5月26日放送)