かるたをする“姫”がいる? 「百人一首」の聖地で競技かるた体験 兵動さん思わず「速すぎて怖い」 【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2023年11月01日
【兵動さん】
「京阪三井寺駅前からスタートです。向こう(北)の方に行くと坂本。石垣の有名なところですね。こちら(南東)行くと琵琶湖の大津駅の方に行くという路線ですね」
■立派な装束を着て“札”に向かう人物が写る古い写真
これは1955年(昭和30年)ごろに大津市内で撮影された写真です。どこの風景でしょう。
【兵動さん】
「今日の写真は、何これ?なんかすごい衣装を着てはって、神様にささげる何かがあり。(2人の女性を指し)ここ、何してるの?これ(札)を何かして、かるたみたいなものなのかな?」
聞き込みを開始します。
【兵動さん】
「これ、何をしているところか分かります?同じところで写真を撮りたいんですけど」
【街の人】
「百人一首かな。(有名ですか?)はい、近江神宮で(大会が行われている)」
【兵動さん】
「百人一首で何か覚えてるやつ(和歌)あります?」
【街の人】
「ちはやふる~(その先が出てこない)」
【兵動さん】
「…以上です。ありがとうございます」
写真は近江神宮で開かれた百人一首の大会ではないかとのこと。何人かに聞いてみましたが、皆さんやはり「百人一首」「近江神宮」だと言います。
■「かるた煎餅」が人気 やはり「百人一首」で有名な街
近江神宮へ向かって歩いていく道中、気になるお店を発見。兵動さんちょっとお邪魔することにしました。
【兵動さん】
「おせんべい屋さん。きれいないいお店。ここのお店は長いんですか?」
【大忠堂 代表取締役 森本忠喜さん】
「今年で創業90年になります」
【兵動さん】
「へえ~。(写真を見せて)昔の写真なんですけど、皆さんこれ見ていただいたら…」
【森本さん】
「かるたの写真ですか」
【兵動さん】
「って、みんなおっしゃって。『近江神宮に行ったらいい』『百人一首じゃないか』と言われて」
すると、ある商品を紹介してくれました。
【森本さん】
「人気なのがこちらの『かるた煎餅』です。百人一首のおせんべいです」
【兵動さん】
「こういうおせんべいができるぐらいやから、本当にこの界わいでは百人一首が有名なんですね」
【森本さん】
「そうですね。近江神宮の中に『勧学館』というところがあるんですけど、そこで競技かるたが行われてますね」
【兵動さん】
「よくテレビで見るやつかな。『はあ』って取るやつ。地元ではかるたをする文化はないんですか?」
【森本さん】
「小学校の時にイベントでかるたを体験することはあります。(地元の人は)大体皆さん経験されているのかなと思います」
■近江神宮を目指します
建物に入ってすぐのところに、百人一首関連のグッズがずらりと並んでいます。
【兵動さん】
「『近江勧学館』こちらですね。これ全部、百人一首に関連するものですか?」
【近江勧学館 本郷美由紀さん】
「そうです。『ちはやふる』はご存じですか?」
競技かるたに魅了された主人公を描いた青春漫画「ちはやふる」。アニメ化や映画化もされた話題作で、勧学館には作品にちなんだ商品やフォトスポットがありました。
兵頭さんの目にとまったのは「カルタくじ」。“かるたの札”を引くくじで、当たりなどはありませんが、それまで知らなかった“自分の歌”に出会うきっかけにもなるそうです。
【兵動さん】
「1回やってみよう。『有馬山…いでそよ人の忘れやはする』。これ僕の歌やねん」
■近江勧学館は「かるたの甲子園」とも呼ばれる
【兵動さん】
「ポスターに書いてある。ここ『かるたの聖地』なんや」
【本郷さん】
「『かるたの甲子園』とも言われてます。競技かるたの名人戦、クイーン戦、全国高校選手権、大学選手権もここで行われているんです。(競技かるたの競技人口は?)100万人と聞くんですけど」
競技かるたの頂上を決める、名人戦とクイーン戦。かるたの聖地ともいえる場所に足を踏み入れます。
【兵動さん】
「うわ、すごいな」
【本郷さん】
「(右手を指して)こちらで名人戦、(左手を指して)クイーン戦、真ん中に読手(どくしゅ)さんといって読み手の方が1人いらっしゃる。同じお部屋で同時進行になるんです」
【兵動さん】
「読んだら両方の人たちが動き出すんや」
毎年1月上旬に開催される名人位・クイーン位決定戦は、競技かるた人口約100万人の中から男性・女性それぞれの日本一を決めるビッグイベントです。全国から予選を勝ち抜いた挑戦者が、前年の名人・クイーンに挑みます。
すごいスピード感で行われるという“競技かるた”を実際に見せてもらおうと、近江勧学館を本拠地に小学生からシニアまで約150人がカルタの練習に励んでいる「大津あきのた会」のメンバーに集まってもらいました。吉田美沙子さん(78・読手)、構恵理子さん(20・四段)、五條愛さん(21・五段)にお願いして、その技を見せてもらいます。
競技カルタは、100枚ある下の句の札の中からそれぞれの陣地に25枚ずつを取り、合わせて50枚の中から、読まれた上の句に続く下の句の札を取るゲームです。札に触れるか、陣地の外にはじき出せば「取り」となります。自分の陣地の札を減らしていって、先に自陣の札がなくなった方が勝ちとなります。
全部で100枚ある札のうち、並べられている札は50枚だけですので、半分は並べられていません。無い札を取ってしまうとお手つきになり、相手の陣地から1枚札を送られます。ちなみに相手の陣地にある札を取ったときには、相手に1枚札を送り、自陣の札を減らすことができます。
■兵動さん競技かるたに挑戦!ですが…あれ?
ルールが分かったところで、兵動さんも競技かるたに挑戦します。対するは、五段の五條さん。ハンデとして兵動さんの陣地には1枚だけ。さっきカルタくじで引いた「有馬山…」の一首です。いざ勝負!
五條さんが目にもとまらぬ速さで、まず2枚取りました。続いて読手が「ありまやま~」と読んだ瞬間、五條さんは兵動さんの目の前の札に手を伸ばしたのですが、どうやら一度空振りして、慌てて戻ってきたようです。
【兵動さん】
「今の何やったん?空振ったよね。“ちはやふる”じゃなくて、“空振りふる”。『このじじいの札、取ったんで』と思って、高ぶり過ぎて空振ったんやろ?」
【五條さん】
「はい」
競技かるたを楽しんだところで、写真について聞いてみます。
【本郷さん】
「お正月に『かるた祭(さい)』っていうのが近江神宮でありまして、その時の神事なんです。お二人並んでいるのが『取姫(とりひめ)』なんですけど、2023年に取姫をされるのが五條さんなんです」
■写真は「かるた祭」の神事だと判明
社務所でもっと詳しい話を聞けるということで行ってみました。
【近江神宮 ねぎ 岩崎謙治さん】
「(写真の)これ『かるた祭』といって、神前で儀式的にかるたを取るんです。(競技かるたではなく)神事です」
【兵動さん】
「なぜここが聖地と言われるようになったんですか?」
【岩崎さん】
「百人一首の一番最初の歌が天智天皇の歌で、近江神宮は天智天皇をおまつりしていますので、その関係から百人一首ゆかりの神様と言われています」
「かるた祭」が行われるのは、近江神宮の神楽殿となります。
【兵動さん】
「ちょうどこちらから撮ったんですね。なるほど分かりました。写真を撮りたいのですが、昭和30年の写真と同じ感じで、撮りたいと思います」
2023年の取姫に選ばれた五條さんたちにモデルになってもらい、撮影します。
【兵動さん】
「はい、チーズ」
【兵動さん】
「近江神宮さんがかるたの聖地だということ、勉強になりました。2023年は1月7日に名人戦・クイーン戦で、8日に『かるた祭』が行われまして、この神事は一般の方も見ることができるということです。興味のある方はぜひどうぞ」
(関西テレビ「報道ランナー」 2023年1月6日放送)