関西で有名な「商売繁盛の神様」がここにも? 東大阪を代表する街・布施 『えびす顔』の兵動さんが向かった神社には…【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2023年12月15日
【兵動さん】「今回は近鉄布施駅前からスタートです。布施は東大阪市のメジャーな街で、私もよくロケで来ています」
■商売繁盛で知られる“神様”が布施に?
これは1970年(昭和45年)に東大阪市で撮影された写真です。どこの風景か分かりますか?
【兵動さん】「神社っぽいよね。初詣とか?笹を持ってはりますね。笹と言ったら“えべっさん”かな」
兵動さんが笹を見て思い浮かべた“えべっさん”こと七福神の恵比須様は、関西では商売繁盛の神として親しまれています。恵比須様をまつり、商売繁盛を祈願する「十日戎(とおかえびす)」は毎年1月に開催される、年始恒例のお祭りです。その祭りでは、“福笹”という笹の飾りが縁起物とされています。
それでは、早速聞き込みを開始します。
【兵動さん】「こんにちは。布施でね、これちょっと(写真と)同じところ探しているんですけど。(写真を)見て分かります?」
【街の人】「えびすさんの神社ですね」
街ゆく人に尋ねると、すぐさま答えが返ってきました。
【兵動さん】「布施でえべっさん(えびすさん)の神社ってあるんですか」
【街の人】「あります、あります。日本一大きいえびすさんの像があって」
【兵動さん】「日本一大きいえべっさんの像があるんですか?なんでそんな詳しいんですか。行かれたことは?」
【街の人】「あります。毎年」
【兵動さん】「布施とか東大阪の方は布施のえべっさんの方に行かれるんですか」
【街の人】「行きますね。今宮さん(今宮戎神社)よりもこちらですね」
関西で“えべっさん”といえば、一般的には、福娘で有名な「今宮戎神社」か、福男で有名な「西宮神社」を思い浮かべがちですが、東大阪の人にとっては、布施のえべっさんが有名だそうです。
【兵動さん】「東大阪も立派な商店街あるもんなぁ。何商店街か(商店街の名前を)見ようと思ったら、すごいな、あそこ。(商店街のゲートサインに書かれた文字を読んで)“えべっさんの街・布施”って」
布施駅を中心に広がるのが、戦後の闇市を起源に始まった東大阪最大の商店街です。そんな商店街には、至る所にえべっさんのイラストが散見されました。
商店街の中を歩いていると、あるものを見つけました。
【兵動さん】「“福娘コンテスト”。今宮戎でも福娘ってあるけど。司会は安定のタージンさん」
兵動さんが見つけたのは、布施戎神社で開催される福娘コンテストのポスターでした。ぜひ、地元の方に詳しいことを聞きたいところです。
■商店街の中にホテルが誕生?
【兵動さん】「前に寄らせてもらったの、覚えてはるかな」
商店街にある「クローバー化粧品店」というお店を訪ねる兵動さん。過去にロケで訪れたことがあるそうです。
【兵動さん】「こんにちは。昔ここでパックをしていただいた記憶があるんですけど。(別番組の)ロケでね」
お店の方も覚えていたようです。その時の写真が店内に飾られていました。
ここでも今回の写真を見てもらうと、やはり「えびすさん」との答え。
【兵動さん】「えべっさんって、福娘…」
兵動さんが言いかけると、なんと…。
【クローバー化粧品店 店員】「福娘は娘の方」
親子で営んでいるこちらのお店。娘さんが、布施戎神社で福娘をやっていたとのこと。
【兵動さん】「え?福娘やってたの?」
【娘さん】「(福娘をやっていたのは)25年前です」
福娘コンテストは商店街が主催となり、毎年11月に開催されています。選ばれた福娘たちは、翌年の十日戎の前から商店街を盛り上げる活動を始めます。
【店員】「(布施の十日戎には)すごい人が来るんですよ。かき分けないといけないくらい」
これは決して大げさではなく、昨年の十日戎でも、神社に向かってとんでもない長さの行列ができていました。
その一方で、商店街自体は時代の流れにより、以前ほどの勢いがなくなっているという悩みもあるそうです。
【店員】「スーパーができて、お客さんが分散して。昔は映画館もあったけど、なくなった」
【兵動さん】「映画館もあったんや」
【店員】「昔に比べたら少しあれですけど。でも、布施には『世界ホテル』っていうのがあるんです。商店街の空き店舗をホテルにしているんです。それでいろんな方がいっぱい来てくれてね。朝から(キャリーケースを)ガラガラって引きながら商店街をうろうろ(している)というのが、商店街全体がホテルのロビーのような感じで。(ホテルを利用すると)パスみたいなものがもらえて、それで商店街の中でご飯を食べたり(できる)」
新たな形で商店街を盛り上げているという「世界ホテル」を見に行くことにしました。お店から神社に行く途中の道にそのホテルがあるとのことです。
■商店街も含めて「丸ごとホテル」
商店街を歩いていくと、シックな外観の建物を見つけました。ここが「世界ホテル」のようです。
【兵動さん】「すみません、さっき世界ホテルというのがあると聞いて」
【SEKAI HOTEL Fuse スタッフ 北川茉莉さん】「こちらが世界ホテルです」
【兵動さん】「ここは商店街のお店だったんですか」
【SEKAI HOTEL Fuse 北川さん】「そうです。シャッターが閉まってしまったお店です」
かつては菓子店と喫茶店だった建物を、それぞれホテルとして利用しているということです。
2018年にスタートし、現在は商店街の中に19部屋を持つ「SEKAI HOTEL」。ちょうど空いている部屋があるということで、見せてもらいました。
【兵動さん】「めちゃくちゃいいやん。かっこいいわ」
フルリノベーションしたという客室は、洗練された雰囲気がありつつ、天井の古い梁は残してあり、古い建物ならではの趣ある空間になっていました。
見せていただいた部屋は6人部屋で、6人で宿泊した場合の料金は素泊まりで1泊1人5500円からとのことです。
【SEKAI HOTEL Fuse 北川さん】「このホテルは宿泊の機能しか持っていなくて、商店街なので、何でもあるじゃないですか。朝食会場は喫茶店、大浴場は銭湯、夕食には常連さんばかりの居酒屋さんを紹介させてもらって。地域にもお金を落としていただければいいなと思っています」
【兵動さん】「めちゃくちゃいい取り組みやん。この商店街がすでにホテルと聞いていたんですけど」
【SEKAI HOTEL Fuse 北川さん】「そうです。(商店街も含めて)“丸ごとホテル”と言っています」
さらに、お店によっては宿泊者専用のパスを提示することで、ちょっとしたサービスを受けることができるんです。
【SEKAI HOTEL Fuse 北川さん】「当館のパートナーショップです」
商店街の中で北川さんが紹介してくれたのは、お店で作りたての練り物を販売する「三ツ矢蒲鉾本舗」。SEKAI HOTELのパスを持って行き、盛り合わせを買うと玉ねぎ天が1個サービスされます。せっかくなので、玉ねぎ天を試食させてもらいました。
【兵動さん】「すごく玉ねぎのいい香りがする。うまい。ふわふわ!」
揚げたてとあって、そのおいしさは格別のようです。
SEKAI HOTELと提携したことで、お店に変化はあったのでしょうか。
【三ツ矢蒲鉾本舗 店員】「本当に変わってきました。最近は外国の方が来られたり」
英語のメニュー表も用意していて、外国人観光客にも対応しているそうです。
ここで、そろそろ本題へ。商店街と神社の関係を尋ねたところ、商店街の会長が詳しいということで、紹介してもらうことに。布施戎神社で会長に話を聞けることになりました。
それでは、写真の撮影場所と思われる布施戎神社へ向かいます。
■日本一大きなえびす像と対面
神社に到着し、商店街会長の加茂さんに境内を案内してもらいます。
【兵動さん】「日本一大きいえべっさんがこちらですか」
【布施商店街連絡会 会長 加茂守一さん】「これなんです。鋳造で日本一大きい(えびす像)」
“えびす顔”と評判の兵動さん、えびす像の横に並んでみました。
【兵動さん】「似てますかね?」
【加茂さん】「似ておられます」
【兵動さん】「(この神社は)いつ頃から?」
【加茂さん】「昭和29年に商売の街だからということで、西宮(神社)さんからご神体を持ってきたんです。それからまつっています」
1954年(昭和29年)、商店街を盛り上げようとする地元住民の要望により創建されたそうです。
【兵動さん】「福娘(コンテスト)って今宮戎(神社)さんでされていますよね。それを参考にしたということですか?」
【加茂さん】「ある面では参考にさせていただきました」
お祭りに関しては、同じ大阪にある今宮戎神社に習うところが多かったそうです。
【加茂さん】「(1988年に)今宮戎(神社)さんにお願いして『今宮戎さんもご神体をいただけませんか』と」
【兵動さん】「ダブルですか?」
なんと、西宮神社と今宮戎神社、“関西2大えびす”のご神体をここにまつっているとか。
【加茂さん】「20年ほど前から(布施は)“えべっさんの街”ということで看板を上げさせていただいています」
念のため写真を確認してもらったところ、やはり撮影場所はこの神社で間違いないとのことです。
【兵動さん】「はい、チーズ。布施がえべっさんでこれだけ盛り上がっているということ、勉強不足でした。私の兄弟(えびす像)もここに鎮座しておりますので、もし良かったら会いにきてください。ありがとうございました」
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月8日放送)