【新実キャスター】
「半年ぶりに来たんですが、かつて籠池被告が夢見た小学校になるはずだった建物はそのまま残されています。この土地は再び国有地に戻っているんですが、その使い道は一切決まっていません」
【籠池泰典被告】「神風が吹いたかなと思ったということですから」
森友学園の小学校建設のために、大阪府豊中市の国有地がおよそ8億円も値引きされた問題。
国側は地中の深い所から「新たなゴミ」が見つかり、それを撤去するための費用を値引きしたと説明してきました。
鑑定価格から8億円値引きした売却額は、格安の1億3000万円あまり。
果たしてこの取引は適切だったのか、今もその「謎」は残されたままです。
街でこの問題について聞いてみました。
【街の人たち】
「何もかも分からんまま、あやふやなままで終わってるので」
「言ってない部分があるんちゃいます」
「国民のものなので、知る権利はあるのかなって」
8億円値引きをめぐる国の説明は、真実なのでしょうか?
関西テレビは、8億円値引きの謎を解く「鍵」を独自に手に入れました!
それは、森友学園と国の交渉とみられる音声データです。
【新実キャスター】
「この小学校の下、地中の深い所で“新たなゴミ”が見つかったとされています。しかし、音声データから“口裏合わせ”ともとれるやり取りが明らかになったのです」
疑惑(1)「国と森友学園側が“口裏合わせ”!?」
今から流れる音声データは、小学校の建設が始まった直後の去年3月下旬に録音されたものです。
近畿財務局の池田国有財産統括官など国の担当者、籠池夫妻、弁護士、工事業者らとみられる人物が話し合っています。
<音声データ>
【国側の職員とみられる人物】
「3mまで掘っていますと。土壌改良をやって、その下からゴミが出てきたと理解している。その下にあるゴミは国が知らなかった事実なので、そこはきっちりやる必要があるでしょというストーリーはイメージしているんです」
【工事業者とみられる人物】
「3mより下からは語弊があります。3mより下から出てきたかどうかは分からないですと伝えている。そういうふうに認識を統一すべきなら我々は合わせるが、下から出てきたかどうかは、私の方から、あるいは工事した側から確定した情報として伝えていない」
【池田靖国有財産統括官(当時)】
「資料を調整する中で、どういう整理をするのがいいのかご協議させて頂けるなら、そういう方向でお話し合いさせてもらえたらありがたい」
音声データに残された口裏合わせのようなやり取り。
「新たなゴミが地中深くから見つかった」という国の説明は、口裏合わせによるストーリーだった疑いが出てきたのです。
疑惑(2)「ウソの答弁で事実を隠ぺい?」
8億円値引きについて、財務省の佐川理財局長(当時)は国会の場で「具体的な価格交渉をしたことはない」と明言していました。
【財務省・佐川理財局長(当時)・ことし3月】
「そういう価格につきまして、こちらから価格を提示したことも、向こうからいくらで買いたいと希望があったこともございません」
しかし、口裏合わせの後の交渉とみられる音声データでは、具体的な金額が飛び出していたのです。
<音声データ>
【池田靖国有財産統括官(当時)】
「私ども、以前から申し上げているのは“有益費”の1億3000万円という数字を国費として払っているので」
【諄子被告】「それは当たり前やん」
【池田靖・国有財産統括官(当時)】
「その分の金額ぐらいは少なくとも売り払い価格は出てくる、と。そこは何とかご理解いただきたい」
【籠池被告】
「(池田氏が)言っているような『1億3000が云々』というものよりもぐーんと下げていかなあかんよ」
1億3000万円という価格を基に進められた交渉。
佐川理財局長は国会で「ウソの答弁」をして、事実を覆い隠していたのでしょうか?
この音声データについて街で聞いてみると…
【街の人たち】
Q音声は聞かれましたか?
「だいたい予想通りかな…って。本省が逃げてるなってすごく思う」
「今、安倍内閣が国民に対して丁寧に説明をすると言っているで、その立場を貫くのであれば、しっかりと国民に、国会に対しても説明責任を果たすべきだと思います」
関西テレビは、当時の国の担当者・池田国有財産統括官を直接取材しました。
Q.森友学園に売却された価格は、有益費の1億3000万円、この価格を回収するための金額だったのではないんですか?
「お答えはできません」
Q.そういうことですよね?
「お答えできません」
Q.ゴミの撤去費用8億円というのは、1億3000万円(で売却するため)のつじつまを合わせるために算出された数字ではないんですか?
「国会でお答えしていますので、それ以上は私個人的にはお答えできないので」
疑惑に答えることはありませんでした。
Q.森友の国有地売却問題をめぐって、具体的な価格を出して協議していたことが取材で分かってきています。財務省の国会答弁と異なるが?
【麻生財務相 先月】
「取材が正しいか、我々の答弁が正しいか、取材が正しいと思ったことはありません。私は自分の部下(財務省職員)の話を信じてます」
関西テレビの取材に対して、国側は「担当者が覚えていない」「捜査中なので答えられない」などとして、明確な説明をしていません。
8億円値引きをめぐる国の説明は、大きく揺らいでいます。