東京駐在のカンテレ記者が、キーパーソンに取材するWEB特別レポート。
今回は、日本維新の会で国対委員長を務める衆議院議員の遠藤敬氏です。
高校卒業後、飲食店経営、日本青年会議所大阪ブロック協議会長などを経て現職。現在3期目。
「広域一元化条例」で合理的かつ機動的な動きを実現 府民・市民に迷惑かけることはない
――Q:都構想が否決されて、間もなく半年です。直後に遠藤議員に取材をした際に、「これからどういうニーズがあるのかを探らないといけない」と言っていましたが、半年たって、ニーズは見つかりましたか。
一定の方向性は見出したと思っています。4月1日に施行された「広域一元化条例」が、都構想に代わる部分と考えています。
――Q:いわゆる大阪都構想の代案ですね。公明党との協議の末、消防や救急、防災などの事務は大阪市に残したまま、成長戦略や都市計画を大阪府に委託する形で決着しました。
吉村知事は「今の府市の枠組みの中で考えられるベスト」と言う一方で、都構想に賛成した自民の府議からは「スケールダウンして、しょぼい条例案になった」という声も上がっていました。遠藤議員はどういう評価をしていますか。
スケールダウンとか、しょぼいとか、そういう評価はしていないですよ。
都構想の住民投票で、民意が示されて都構想はやめるということになって、反対をされた方の不安や不信に対応しうる最低限の条例が、今回の一元化条例だと僕は思っています。
今できることを着実に進めていって、目に見える形で都構想というのはこういうことだったのかっていうのを、分かっていただけるような仕掛け作りになっています。維新が目指したものへの理解が深まるのが一元化条例であると僕は思うし、やっぱり肌身に感じてもらわんとなかなか理解されないですよ。
都構想もそうやけど、この一元化条例も贅肉をそいで合理的にやっていくということ。市民・府民に迷惑をかけることは全くないと思っています。合理的にシンプルに機動的に動けるようにしましょうということなんです。大阪府と大阪市の名前が変わるわけでもないし。
――Q:拮抗したとはいえ都構想は否決されました。「一元化条例」での事務委託は7分野にとどまりましたけど、維新の会として実現したいことの最低限は実現にこぎつけたという事ですか。
そうそう。結果が出て、府民市民に分かってもらうまでにやっぱり時間がかかりますよ。4月1日にスタートしただけのことなんで。
――Q:否決を受けて、自治体の形を変えるという方向性を捨てるということは選択肢になかった
形を変えるというか、自治体の在り方を考えることに一石を投じていくのは維新の役割だと思っているからね。
――Q:この条例をどう使って効果を示すかというのは維新の手腕が問われるところ
そうだと思います。
武田大臣と意見交換 “制度的なメニュー“の発信強化を要望
――Q:大阪では条例が成立しましたけど、日本維新の会としては、他の自治体にも広げていきたいというようなことも今後考えているんですか。
それについて、きょう(4月1日)、武田良太総務大臣と話をしました。
これはまさに大阪バージョンというか、大阪が考えたこれからの都市のあり方だと思います。総務省としては、それぞれの自治体が活躍出来て、法に照らし合わして抵触しない限りはどんどん協力したいということでした。
――Q:遠藤議員がきょう武田大臣に申し入れをされた。
申し入れというか、意見交換ですね。一元化条例が施行されたので、同じように他の地方自治体でもできるんだということを、総務省としてももっと発信してほしいということで今日意見交換をしました。
――Q:それについて大臣の反応は。
先進的な事例なんで応援していきたいと言っていましたよ。僕は大阪のことだけを言いたいわけでもなかったんですよね。名古屋には名古屋の事情もあるし、仙台には仙台の事情もあるので、各自治体がどういう形でやれば、一番合理的にスピーディーにニーズに合った行政運営ができるのか検討するためにも、国から制度的なメニューを地方に提示してほしい。そこから組み合わせて、自治体のあり方を検討してもらえるように大臣にも発信を強めてもらいたいと提案しました。