青く澄んだ海…。取材班が向かったのは、沖縄本島の北にある無人島・屋那覇島。
「この島を購入した」という中国人女性の動画が波紋を広げています。
【中国人女性】
「私はいま島の主!34歳、見ているのはつまり自由。なりたい自分になればいい」
1月末、SNSに投稿された動画で34歳の中国人女性が「3年前に購入した小さな島です」とアピール。
島をバックに船の上で自撮りをしたり、島を探索したり…。リゾート目的で購入したのでしょうか。
屋那覇島は沖縄県の北部、伊是名村にある無人島で東京ドーム16個分ほどの広さです。
許可を得て上陸してみると…。
【記者リポート】
「上陸しましたが何もないですね…この辺りが港だというんですが、ボロボロに壊れてしまっています。島全体が雑木林という印象ですね、道はありません。道なき道を進むというところですね、全く整備されていません」
島には電気や水は通っておらず、人が住んだことはないそうです。
【伊是名村の住民】
「キャンプとか釣り人とか、観光客は来ます。綺麗ですから」
島にある観光客向けのキャンプ施設には、隣の島から水を引き、トイレやシャワーがありますが…。
【記者リポート】
「蛇口流しても水は流れません、通ってないようです」
新型コロナの影響で3年ほど前から観光客が減り、今は使われていないということです。
およそ74万平方メートルある屋那覇島。
現在、伊是名村が島の一部を所有し、そのほかは民有地となっていて、登記によると東京都内にある企業が島の半分にあたる約38万平方メートルを取得していたことが分かりました。
【記者リポート】
「屋那覇島の土地を取得していたのは、東京都内のこちらのビルに本社を構える企業です」
土地を購入したのは、中国でビジネスを展開するコンサルティング会社。
ホームページには、「2021年2月に屋那覇島を取得していて現在リゾート開発計画を進めております」と書かれています。
女性とこの会社との関係は分かっていませんが、中国の一部メディアによると女性は「親族の会社名義で島の土地を購入した」と説明しているということです。
村にはこれまで、リゾート開発についての説明は一切なく、隣接する伊是名島の住民からは不安の声も。
【伊是名島の住民】
「2、3日前に聞いてびっくりしています。どうしても違和感ありますね。面白くはないですよ、(島が)将来、中国に取られるかわからない」
一方、中国国内からはこんな声が…。
【北京市民】
「その島は中国の物としてみなしていいんじゃない」
SNS上の声では「彼女は我が国の日本占領の第一歩を実現した」「こっそり中国軍を送り込むことができないか」 などと、中国の領土拡大につながるような過激なコメントもありました。
今回の件について松野官房長官は…
【松野博一官房長官】
「特定の土地の所有者や具体の対応一つ一つについて政府としてコメントすることは差し控えますが、政府としては関連動向について注視して行きます」
また、ヒゲの隊長こと自民党の佐藤正久元外務副大臣は…。
【佐藤正久元外務副大臣】
「外国人の方が島を買うということは安全保障上、絶対懸念がないかと言うと、それは言えないと思います」
今回の件について、法律的な観点から菊地幸夫弁護士に伺います。
【菊地弁護士】
「土地の所有権は確かに買った人のものとなります。基本的に今の日本は外国人であっても日本の不動産は購入できます。東京の臨海地区などにあるタワーマンションなども、外国人の方が買っていらっしゃいますが、あれは部屋だけでなく敷地の何分の1かの所有権も付いてきますので、珍しいことではありません」
「当然、所有権が購入した方のものになれば、さらに売買も可能で、相続や贈与もできます。日本の場合は所有権に期限がないですから、一旦手に入れてしまうと、なかなかそれを『返して下さい』というのは難しくなってしまいます」
「ただ、所有権を外国人の方が取得されても、領土としては日本のままです。ですから当然日本の法律が適用されます。固定資産税など税金もちゃんと支払って下さい、ということになります」
「そして2つ目のポイントとしては、土地の『場所』によっては所有者の好きにはさせず、法律で日本を守りましょうということになっています」
「去年6月に施行された重要土地等調査法という法律がありまして、例えば防衛関係の施設、海上保安庁の施設や原発施設など、その周辺約1キロにある土地、あるいは国境に近い離島などを、重要な場所として国が注視区域・特別注視区域に指定すると、そこの土地を取得した方の国籍やお名前などについて政府が調査できることになりました。万が一そうした土地の不適切利用があった場合には、土地利用の中止など勧告・命令が可能です」
–Q:国は2月1日に注視区域・特別注視区域を指定したそうですが、北海道・青森・東京・島根・長崎の5都道県58区域に限られていて、沖縄は入っていないそうですね?
【菊地弁護士】
「特にかなり西の方の与那国島など、あと宮古島にも自衛隊の駐屯地があると思います。その辺を指定しようかというようなことは恐らく検討対象になってるんじゃないのかなと思います」
「ただ、じゃあなぜこの最初の指定の中に入っていなかったのか。これは私の推測なんですが、やはり安全保障に関わる機微な問題があると。沖縄県を指定することで中国を刺激することはやめようじゃないかとか。あと『調査』とありましたが、プライバシーの侵害になるのではないかということで、地元からの反対意見なども考慮したのかなという風には推測されます」
(関西テレビ2月15日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)