今、読み方が難しい名前が増えていて漢字と読み方が全く違う「キラキラネーム」と呼ばれる個性的な名前もたびたび話題になる時代。ただ、今これについてどこまで認めるべきかという議論が…。
国は行政手続きのデジタル化を進めるなどを目的に、現在戸籍に記載されていない「氏名の読み仮名」を加えるため、戸籍法の改正を検討しています。
2月2日、法務省の法制審議会は戸籍法改正についての要綱案をまとめました。その中で、今後名付ける子どもの名前について「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」と規定。
つまり、いきすぎた「キラキラネーム」には一定の制限がかけられる可能性が出てきたのです。国が名前の読み方を制限することに街の人は…。
女性:
「ある程度は自由だけど、全く読めない漢字を読ませるのはやめてもいいのかなと」
別の女性:
「あまりにも違いすぎるのは、ちょっと…」
その夫:
「いや、そんなん名前なんて自由や」
男性:
「決まりはなくてもいいのかなと、その人を表す唯一無二の名前なんで」
政府は今国会に改正案を提出する方針で、成立すれば全ての国民が施行日から1年以内に名前の読み仮名を戸籍に登録することになります。
流行りのキラキラネームはどうなるのか、NGな名前の線引きとは…。菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「1つ目のポイントは、連想できないものや混乱を招くもの、そういう名前はダメになってしまうかもしれないということです。
現行の戸籍法では、漢字2999字、ひらがな、カタカナと、字についての制限はあるんですが、読み方については何ら定めていないんですね。ですから例えば卑猥な名前とか、非常に子供につけるのにふさわしくないような名前をつけたりすれば命名権の濫用として自治体が受け取りを拒否するという例はあったんですが、ベースは基本自由なんです。
ただ昨今のいわゆる“キラキラネーム”のブームなどで、『読み方と字の間に一定の関連があるよう規制したほうがいいんじゃないか』という声が出てきたというようなところで、改正という運びになってきています」
――まだ議論の段階ですが、法律が変わるとどんなものが認められなくなる可能性があるのでしょうか?
菊地弁護士:
「難しくなるだろうと言われているのが、字とあまりにも違う、逆の意味。『高』という字で『ヒクシ』と読むことなどです。混乱を招く、あるいは連想できない読み方としては『太郎』で『ジロウ』とか『マイケル』なども難しくなると思われます。一方、検討中とされているのが例えば『光宙』で『ピカチュウ』さん。こうした人名として違和感のあるものはどうするか…というところに今きています」
――国が「どのような読み方でも制限なく認めることについてどう思いますか」とアンケートを行ったところ、反対が47.0パーセント、賛成が17.6パーセント、どちらでもないが35.4パーセント(※法務省調べ)だったということで、この結果もあって制限をかけていこうとなったそうです。例えば、先生は『漢字の本来の読み方だけでいく』ということについてはどうですか?
菊地弁護士:
「私は本来それだと思います。戸籍法に読み方を定めていないのは、『それは当たり前でしょ』ということで書いていないという解釈もできます。例えばピカチュウさんであれば、カタカナで書けばいいだけかなとも思いますね」
――そうした読み方についてのルールを決める前提として、これから戸籍に我々の名前の読み仮名が記されることになりそうですが、そこでもう1つのポイントがあるそうですね?
菊地弁護士:
「はい、放っておくと予期せぬ名前になってしまうかもしれないということです。今まで戸籍には読み仮名がありませんでしたが、マイナンバーの普及などで検索などのために読み仮名をつけましょうと。そのためには、もし戸籍法の改正がされたら、『1年以内に自分の名前の読み仮名を行政に届けてください』となります。
もし届け出がない場合どうなるのかというと、行政の方で『読んじゃいますよ、つけちゃいますよ』ということで、一応『これでOKですか?』という読み仮名確認の通知を出します。そして『行政が読んだ名前が違うんだったら言ってください、一度だけ変更はできます』ということになりそうです。それもさらに放っておくとそのまま読み方として固まってしまうこともあり得ますのでご注意ください」
(関西テレビ2月8日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)