過疎化や人口減少など様々な問題への解決策として、国や各自治体が力を入れている、ドライバーがいない未来の移動サービス『自動運転バス』。
北海道上士幌町では12月、自動運転バスの定期運行がスタートしました。もしもの時は乗務員がコントローラーで操作します。
福井県永平寺町では、国内初となる完全無人の自動運転バスを運行。離れた場所から遠隔で3台のバスを見守っています。
こうした動きは関西でも…。
大阪府河内長野市は、地域とテクノロジーでつくる“スーパーシティ”を目指していて、自動運転バスの導入に向けた実証実験を進めています。
道路上に引かれた、電磁誘導線に従い走行する自動運転バス『クルクル』。
ボランティアスタッフ:
「住人はおじいちゃん、おばあちゃんばっかり。買い物するのも大変なようやし、自分はまだ運転できるけど、いずれ車も運転できなくなる。その時、長い間住めるような街やったらええなと思ってたら、こういう話があったから」
今は障害物などがあると、センサーが反応して止まるものの、自動で避けることはできないため、ボランティアがサポートしています。
河内長野市 政策企画課 横山司さん:
「車通りも多い我々(河内長野市)のような開発団地の中を走れる自動運転技術というのはどういうものなのか、これからも課題というか実証実験を進めていく必要があるかなという風に感じているところです」
それぞれの自治体が目指すバスの完全無人化。しかし、いつ何時起こるか分からないのが事故です。不測の事態にどう対処していくのでしょうか。
損害保険ジャパン 新海正史さん:
「人が運転しないでシステムが運転していく、その先事故があった時の対応ということを考えたときに、何を持ってリスク評価していくのか、自動車保険のあり方っていうのは大きく変えていかなきゃいけない」
損害保険ジャパンは開発者や事業者と共に実証実験に参加し、自動運転時代に向けていち早く、新たな保険サービスの提供を始めました。
事故が起こった際には、運転者ではなくシステムが法的責任を問われることになります。
新海さん:
「法制の準備はまだこれからという面があります。(自動運転車を)走らせながら、ベストな在り方をみんなで議論して整えていくものだと思っています」
今年4月に改正道交法が施行されると、自動運転「レベル4」つまり条件付きでドライバーなしの車が走れるようになります。
いよいよやってくる自動運転の時代、これから越えるべき法律的なハードルについて、菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「4月からはレベル4ということですが、自動運転と言っても、どこでも誰でも自動運転車を走らせられるというわけではないんですね。『限られた地域・条件で』というようなハードルが設定されていて、その条件をクリアし許可された事業者のみが走行させることができます。
条件としては、交通量の少ない所とか過疎地とか交通インフラが整備された所とか、いわゆる運行支援サービスの条件が備わっている所だけでのスタートとなります」
――もし事故が起きた場合の法的責任について、次のケースで考えてみます。一般的な人が運転する自動車にレベル4の自動運転バスが追突してしまいました。バスにはお客さんしかいません。遠隔で監視してる人はいました…という場合、事故は誰の責任になるのでしょうか?
菊地弁護士:
「今までは運転中に事故を起こした人間が民事・刑事の法的責任を負っていたわけですが、自動運転ということでドライバーがいないとなると、バスの事業者やメーカー、あるいは遠隔監視者、そういう人たちが法的責任を負うという方向に段々シフトしていくという事になると思います。
ただ、例えばメーカーについては『自動運転車に欠陥があるのでは』ということになると、原因の解明に時間がかかったりお金がかかったりして、その場合は被害者救済をどうしていくのか。それに対して保険はどう対応していくのかなど、まだまだ議論を積み重ねていかなければいけない問題があります。被害者救済が遅れることはあってはいけませんし、なかなか難しいところがあると思います」
(関西テレビ1月4日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)