「完全犯罪。へへっ。みんなを成功させるためにね」
中高年を集めたセミナーでこう話すのは、会員を増やして金を集めるいわゆる「ねずみ講」を営んだ疑いで逮捕された峯岸正治容疑者(59)。
<峯岸容疑者>
「毎月(お金を)欲しいという人!?欲しいよね。うちは24万3750円を配るんだけど、欲しいっていう人!?その代わり、あるんだよね。1万3900円で卵を買わないと、お給料をもらえませんよ」
峯岸容疑者が運営する「みんなのたまご倶楽部」では、入会金1万円を支払い、栄養価が高いという卵を1万3900円で買ったうえで新規会員を5人紹介すれば月に2万5千円の配当が得られるというのです。
さらに、自分が紹介した会員が新たな会員を紹介していくと最大で月におよそ160万円が受け取れるというなんとも夢のような仕組み。
しかし、これは全てウソのもうけ話。峯岸容疑者はこの手口で、全国およそ1万1000人から3億円以上を集めたとみられています。
<峯岸容疑者>
「これは愛を伝える戦士のビジネス!志士のね!」
国民生活センターには、2021年の11月ごろから、卵をめぐる相談が寄せられていて、大半が中高年からだということです。母親が被害に遭ったという人は…。
母親が被害に遭った人:
「母親が『高級な卵、今度から届くからあげるね』なんていう話から始まって、お友達にお勧めされて、1カ月1万だか2万だか払って。年寄りをだまして本当に最悪ですよね」
街の人も、今回の事件のような怪しい儲け話を聞いたことがあるようで…。
男性:
「飲み会で知り合った人に誘われて、やってみない?みたいな感じで。まぁやって当たり前だよね、みたいな空気で」
女性:
「仲いい子だったらちょっと信じちゃうかもしれないです」
別の女性:
「そんな濡れ手に粟はない!って言う!とりあえず明日食べられたら大丈夫みたいな感じだから、そんな夢みたいな話は信じないね」
ねずみ講に関する相談を受け付けている消費者庁は…。
消費者庁 消費制度課 石田千明第二係長:
「知り合いからお話があって、『副業に興味はないか』とか、あとは『儲かる話があるんだけれども』というような形で誘われて、どうしたらいいだろうかと心配になって相談をしたというような事例が多く見受けられます。お金の配当があって、これはまっとうだと思っていたが、だんだんと配当がなくなり商品も届かなくなりというようなところで、気づくと」
心の弱みにつけ込み悪質な手口で金を集める「ねずみ講」。被害に遭わないために注意すべきポイントを菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「破綻が明確で、実現不可能なこういうシステムのものは法律上バツです。今回は“卵”を介していて、商品をやりとりする場合には別にマルチ商法という別の法律で規制されるものがあるのですが、この卵というのは名目で金銭のやり取りに過ぎないと。こういうことは無限連鎖講防止法で禁止されています。だましのひとつのテクニックですので気をつけていただきたいと思います」
――“ねずみ講”には、さらなる“落とし穴”があるそうですね?
菊地弁護士:
「主催者だけでなく、ねずみ講に関わる行為、例えば会員を下に増やさなければいけないということで会員自身も勧誘行為をすると考えられますが、これも禁止されていて罰則があります。ですから安易にこうした行為に関わらないように是非気をつけていただければと思います。
うまい話はこの世にありません。知っておきたい危険ワードとしては『友達を誘うだけ』とか『家族に内緒ね』あるいは『損はしない』こういうのは全部ダメです。また『無料体験だから』『〇〇に効果的』『あなただけ』『残り少ない』なども気をつけて下さい」
※もし被害に遭ったりおかしいなと思ったりしたら、消費者ホットライン「188(イヤヤ)」へすぐに相談してください。
(関西テレビ12月7日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)