10月24日、盗撮の取り締まりを強化するため、法務省の法制審議会で「撮影罪」の新設案が示されました。試案では刑法の中で、対象を性的な盗撮行為とするよう明文化したうえ、罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金とされています。
一方、今回の厳罰化では、盗撮で動画を撮る行為だけでなく、二次被害を防ぐための対策も検討されているということです。
盗撮行為が引き起こす二次被害『デジタルタトゥー』。盗撮された映像がインターネットのサイトやDVDなどを通じて流出し拡散されてしまうのです。
盗撮行為と20年以上向き合ってきた「全国盗撮犯罪防止ネットワーク」の平松直哉代表。盗撮された映像を解析し、撮影場所の特定などを行っています。
平松代表:
「盗撮の市場ってどれくらいの市場だと思いますか?『数百億円市場』って言われてるんですよ」
平松さんによると盗撮犯が撮影した映像を販売するインターネットサイトが1カ所で10億円を売り上げるなど、盗撮の市場は数百億円規模に。
平松代表:
「配信されたものは回収することできないんですよ。悪意をもって裏サイトとか、そういうのでなんぼでも出していけるので、被害者はずっとそれにおびえた生活を強いられるんですね。数百億円市場に対して、今は罪が軽微すぎます」
デジタルタトゥーを防ぐための対策などについて、菊地幸夫弁護士に伺います。
――法制審議会の試案では、わいせつな盗撮画像を提供することを目的にした保管を取り締まる保管罪(2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金)や、他人に提供したり公然に陳列したりする提供罪・公然陳列罪(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金など)、さらにそれらを不特定多数の人に送る罪である影像送信罪(5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金また併料)も検討されているということですが、2次被害の抑止効果はありそうでしょうか?
菊地弁護士:
「盗撮だけでなく、そうした形でいわゆるデジタルタトゥーを防ぐと。もしかすると、『保管だけで処罰するの?人権侵害では?』というような議論があるかもしれません。しかしこれぐらいやらないと、抑止効果は期待できないという現状があるということですね」
――菊地先生はさらなる対策も必要ではないかとみていらっしゃるということですね?
菊地弁護士:
「盗撮画像など放置するサイトの規制も必要なのではないかということです。そういう画像が自分のところのサイトに載っている、それを放置してしまったとなると、サイト運営者側の責任も問うていかないと、デジタルタトゥーはなくならないという面はあるかと思いますね。
また盗撮をする側が、『そんな格好をしているあなたがいけないんだ』という言い訳は全く通用しません。彼女たちが自身のライフスタイルとして、どういうことを楽しみにするのか、それは彼女たちが決めることです」
(関西テレビ10月26日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)