政府は10月11日から、お得に旅行ができる「全国旅行割」をスタートさせることを発表。
旅行への気持ちが高まりますが、今宿泊にまつわるルールが変わろうしていることはご存知でしょうか。
政府は、新型コロナが流行している時期に、発熱しているにもかかわらず、正当な理由なくマスクをしない客などに対して、施設側が宿泊を拒否できるという法改正を行う方針を示しました。
また、発熱等の症状がある客には感染しているかどうかの報告を求めることもできるようになる見通しです。
こうしたルール変更に観光地・和歌山県白浜町にあるホテルは…。
HOTEL SEAMORE 林英紀副総支配人:
「なかなかお客様に“宿泊拒否”と突きつけるというのは、非常に言葉の使い方も難しいですし。マスクの対応というのは本当に難しいものがありまして、我々も何が正解なのかというのは、恐らく法改正があった後も同じ悩みは続くのかなというふうに感じます」
法律が変わっても、難しい対応を迫られる旅館やホテル。
トラブルは避けたいところですが、関西の事業者にアンケート調査をすると、マスクだけでなく、他にもいくつか頭を抱える客の行為があるようです。
<困った客川柳>
「風呂備品 持ち去り注意で キレる客」
「部屋にある 電気ケトルで 激辛麺」
数々の信じられない迷惑行為…。
一方で、客側が受けた「宿泊トラブル」も結構あるようです。
男性:
「シャワーが出にくいとか、入った時にトイレ汚いとか、ベッドメイキングができてないとか」
女性:
「友達が『浴衣を着たい』って言ってて、浴衣があるホテルに行ったんですけど、行ったら浴衣じゃなくて、布の…タオルみたいな感じやったんで。『浴衣着たかったのに…』みたいなことは言ってました」
別の女性:
「肉寿司の肉が全然HPの写真と違うみたいなのは旅館でありました。それ目当てに旅行したけど、全然違うやん!みたいな」
旅の数だけトラブルが…。知っておきたい宿泊にまつわる法律について、菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「戦後すぐの1948年にできた法律で『旅館業法』というものがあります。当時はそんなに旅館の数がなかったり、もっと公共性が強調されたり、あと旅館の中には山小屋なども含まれるんですが、山小屋で宿泊拒否ということになると、天候次第ではその方の生死に関わるという問題もあります。そうした理由で、明らかな伝染病の場合などを除き基本的には宿泊希望者は泊めなければいけないという規定があるんですね」
――満室の場合はどうなんでしょう?
菊地弁護士:
「満室の場合は、設備がないということで断ることができます。しかし余裕がある場合には泊めなければなりません。
それに対して、現在検討中の改正案では発熱症状のある客にはマスクの着用をお願いしたり、症状の報告を求めることができ、応じない時は宿泊拒否もOKとされています。
今の時代ですと、宿泊施設側もクラスターなどが発生しては困るということで自分を守る、あるいは従業員を守るということも考えなければいけないという流れで、そうした改正案が今練られています。
いかにうまくアナウンスして、お客さん側に納得していただけるかというのがポイントになると思います」
――また旅先での宿泊トラブルについて、街の方からは「肉寿司が写真と違った」という声がありましたが、これは罪になるのでしょうか?また、例えばホテルでベッドメイキングができていなかったり部屋が臭かったりした場合、宿泊代金は返してもらえるのでしょうか?
菊地弁護士:
「あまりにも写真と実物が違うようですと景品表示法違反にもなり得ます。仮に写真の所に『※イメージ』などと記載されていたとしても限界があります。顧客に対して、より優良なものなんだという誤認を与えるような可能性が出てくると、景品表示法違反で改善の命令が出て、それに従わないと罪になるということもあり得ます。さらに、写真と実物の違いがもっと極端になると詐欺にすらなりかねません。
またホテルの話は程度にもよりますが、別の部屋に移してもらうことができず、これは宿泊できないという状況であれば、契約の解除、お金を返してもらえるということも考えられます」
――今回、宿泊事業者に対して行ったアンケート調査では、客側の迷惑行為として、浴衣や枕などの備品を持ち帰った人や、電気ケトルで激辛ラーメンを作った人などがいたという回答がありました。これらの違法性についてはいかがでしょうか?
菊地弁護士:
「備品の持ち帰りは『泥棒』でいいと思います。窃盗罪となる可能性があります。“電気ケトルで激辛ラーメン”については器物損壊罪に当たるかもしれません。例えば臭いが残ってしまう、あるいは色がつくと次のお客さんに出せなくなります。法的に言えば『ケトルの効用を喪失した』という評価になると思います。それはまさに器物損壊ということなんですね。そういう犯罪にもなり得ますので、ご注意いただきたいと思います」
――ちなみにアンケートでは「ケトルでサザエを茹でていた」というものもありましたが、こちらについては…?
菊地弁護士:
「何も跡が残らなければ、『罪』にまではならないかもしれませんが、やめていただきたいですね」
(関西テレビ9月28日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)