長年連れ添い、支え合ってきた夫婦。子育ても終わり、老後は2人でのんびりのはずが…。
先週、厚生労働省が公表した調査結果で、2020年に離婚した夫婦の中で、20年以上同居して別れるいわゆる「熟年離婚」の割合が全体の21.5%と、過去最高になったことが明らかになりました。
熟年離婚について、街で聞いてみると…。
女性:
「私も一人なんで、離婚して一人。(熟年離婚した人は)周りにもたくさんいる。洗濯するのが嫌になった(笑)」
別の女性:
「結婚28年で離婚した。うちは嫁姑かな、同居がちょっとしんどかった」
男性:
「悲しいですよね、20年も一緒におって、連れ添って別れていくっていうのは。思い当たる節はないけど」
その息子:
「あるやろ~」
熟年離婚も新たな人生の選択肢の一つですが、なぜその道を選ぶのでしょうか。夫婦の問題に詳しい専門家は…。
男女問題研究家 山崎世美子さん:
「長年の積み重ねですよね、夫婦の歴史。そういう恨みがいっぱい重なってきているんです。夫婦もやっぱりバージョンアップが必要なのに、バージョンアップできてないってところの不満からだと思います」
長年たまったストレスから離婚という道を選ぶことあるということですが、街で聞くと色々と心配事があるようで…。
女性:
「一番は財産分与ですよね。もし奥さんが積み立てて、へそくりがあって、離婚する時にそれは自分のものにしていいのかどうか」
男性:
「例えば持ち家にしても、別れますってなって持っていかれるか、半分になるのかどうなのか」
“熟年離婚にはリスクはつきもの”と専門家は話します。
男女問題研究家 山崎世美子さん:
「今旦那さんがいる煩わしさと、将来ひとりになる寂しさとどっち取るねんって究極の選択だと思いますよ。お金を持っていて稼げる方は、それなりに楽しくやっていらっしゃるけれど、そうじゃない方、パートや専業主婦であればそんなに元気にやっていらっしゃいません。本当にこれで良かったのかなっていう相談もあります」
老後の人生の「自由」と「お金」。熟年離婚を考える時、知っておきたいポイントについて菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「2人の財産を分けるとなると、やっぱりもめてしまいますね。基本的には結婚している間に作った財産を半分ずつにするというのが基本ルールです。預貯金は分かりやすいですよね、電卓ではじけば半分の金額が出ます。不動産については、まずいくら?というところから、ローンが残っていたらどうするのかなど、なかなか難しい問題もあります。
あと退職金ですね。すでに払われて自分のところに来ていれば、それは預貯金等になっていますので、分けるのは分かりやすいです。一方、まだもらっていない場合はどうなのかというと、実はそれでも財産分与の対象になるんです。例えばあと数年で出ると。この会社では規程にもあるし退職金が出ると分かっていれば、中間利息の控除など細かい所もありますが、対象になります。うんとまだ先だとなると、これは対象にならない場合があります。その中間だと、『自己都合退職でいくら出るのか』なんていうのを基礎にして計算するなど、色んなやり方があります」
――街の方で「へそくりが気になる」とおっしゃっていた方もいましたが…
菊地弁護士:
「へそくりもちゃんと半分にしないといけません。ただ分からなかったらそのままになっちゃうかもしれないので、事前の調査が重要です」
――例えば相手が離婚を拒否した場合はどうすればいいのでしょう?
菊地弁護士:
「2年以上の別居が離婚成立のカギになります。モラハラとか性格の不一致とかは、なんとなくフワッとしていて立証が難しく、決定打にはなりにくい。そうならば、別居してしまって、長い期間そうしておくことで既成事実を作るということですね。私の経験では最短2年別居しておけば、裁判所に『これはもう元に戻らないよね』という風に考えていただける可能性が出てくると思います」
――最後に、夫婦生活の中で被った苦痛などについて「慰謝料を請求したい」という場合についてはいかがでしょう?
菊地弁護士:
「長年のストレスは証拠集めが重要となります。言った言わないになってしまうことも多いので、何らかの証拠を残す努力をしていただきたいと思います。録音や録画があると裁判所を動かしやすいというようなことになります」
(関西テレビ8月31日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)