罪の重さを判断したり、生活の中で起きた争い事を解決したりする『裁判所』。
ニュース番組等で流れる廷内映像のほか、テレビドラマやゲームなどで登場する場面を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
今回は、その裁判所で戦い続けておよそ40年の菊地幸夫弁護士に、“知られざる法廷の世界”について伺います。
――例えば、裁判官が木槌でトントンとして「静粛に!」と言ったり、弁護士が立ち上がって「異議あり!」と叫んだり、あるいはラフなパーカー姿の検察官が現れたりということは実際の法廷でもあるのでしょうか?
菊地弁護士:
「まず法廷で木槌は見たことがありませんし、聞いたこともないですね。個人的に持っている方がいらっしゃるかもしれませんけども…。でも、それを使っているという話は聞いたことがないです」
――いわば“都市伝説”ということなのですね。「静粛に」ということは…?
菊地弁護士:
「はい、それはありますね。そして次の、弁護士が大きな声で『異議あり!』と叫ぶことはほぼありません。もちろん裁判がヒートアップする場合もあります。例えば弁護士と検察官が鋭く対立して、証人尋問で異議がある時もありますが、通常は傍聴人もほとんどいない中で裁判をやっていますので、そこでいきなり弁護士が大きな声で『異議あり!』などと叫ぶと、裁判官や検察官など他の人たちがビックリしちゃいます。『どうしたの?』って(笑)」
――実際はどんな感じで異議を申し立てるのですか?
菊地弁護士:
「実際は座っていて落ち着いた口調で『あ、異議がございます。誘導尋問です』と。これくらいです」
――ラフな服装の検察官は…?
菊地弁護士:
「そういう検察官に法廷でお会いしたことは一度もありません(笑)」
――禁止されているのでしょうか?
菊地弁護士:
「禁止…ではないのかもしれませんけど、恐らくそういう格好をして裁判所に出廷したら、多分上司が来て、『ちょっと来い』となるんじゃないかと思います(笑)」
本当の法廷、実はかなり“地味”です。
(関西テレビ8月17日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)