7月に発生したKDDIの大規模な通信障害。auやUQモバイルなどの携帯電話、最大3915万回線で通話やインターネット接続ができないといった影響が出ました。
大阪の街でも…。
auユーザー:
「“モバイルなんとかができません”とかなんかやねん。電話しようとするやん、メッセージが出てくるねん。不便やなやっぱり」
「困ってる!auの窓口行ったら電話貸してくれて連絡できました」
KDDI 高橋誠社長:
「お客さまには多大なご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます。申し訳ございませんでした」
ことの発端は、KDDIが実施した通信回線のメンテナンスで、古い機械を新しいものに交換する工事に失敗したことでした。
KDDIは、発生からおよそ86時間たった5日、「完全復旧した」と発表しましたが、その影響は、生活のあらゆる場面に及びました。
配達員:
「見ての通りウーバーイーツやってるんですけど、住所が不備でお客さんに連絡する場合は全くかからない」
カラオケ店スタッフ:
「業務用の携帯電話がつながらないというのがあって、お客様から連絡が受け取れない状態になり、クレーム対応だったり、サービス券の対応を臨時的に行った」
また、気象庁の観測データが全国500カ所あまりで配信できなくなる事態も発生。さらには、救急車の要請や、新型コロナの対応などにも影響が出ました。
そして、気になるのが利用者への補償について。KDDIは、「影響範囲を確認し、早急に検討する」と話しています。
今回の補償問題や、7月施行された携帯電話にまつわる法律について、菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「契約時のルール以上の補償は難しいかもしれません。携帯電話とか鉄道や航空機などもそうですが、『約款』という民事上の契約が我々と企業との間にあって、損害があった場合などについて書かれています」
――auの約款を実際に調べましたら、「全く利用できない状態が24時間以上続いた場合に限り補償」とありました。今回は、たまにネットや電話が使えた場合や、ネットだけ使えた場合など、“利用しづらい状況”だった方もいらっしゃったと思います。補償はどうなるでしょうか?
菊地弁護士:
「去年、別の事業者である程度大きな規模の事故がありました。その時は、その事業者が『全く利用できない状態が24時間以上あったわけではない』と言って、補償をしなかったという例があります。ですから、今回もたまに使えたということですと、企業のほうは『補償はなし』という姿勢になるかもしれませんが、今KDDIではどういう風な補償をしようか考えているということもあるようです」
――たまにつながった人もいるし、全くつながらなかった人もいるという中で、どうあるべきなのかすごく難しいですが、先生はどれくらいの補償になると見ていますか?
菊地弁護士:
「今回のケースでは、月額使用料の日割り分程度、1000円前後になるのではないでしょうか。規約の中に『損害を賠償しなければいけないとしたら、このくらいの損害とみなしましょう』という趣旨の事が書かれているんですね。例えば一例として、そういう日割程度が考えられます。
また『その日割だけでは不十分。私は仕事で損害が出たんだ』というような場合でも、約款には、『日割程度の額を損害の限度とする』というようなことが書かれているんですね。実際はそれ以上の補償はなかなか難しいと思われます」
――また携帯電話について、7月から便利なルールになったそうですね。
菊地弁護士:
「事業者は巨大で我々は非常に小さな存在ということで、消費者保護が強化されました。例えば乗り換えなどの際にもちょっと苦労をするような場合がありましたが、そういうことをより簡単にできるように7月1日から、改正された電気通信事業法施行規則の新たなルールが始まりました。
解約しやすい措置や、解約金の制限、また電話勧誘などは書面での説明義務化をするなど利用しやすくなっています」
(関西テレビ7月6日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)