コロナ禍の自粛も緩んでいますが、酒は飲んでも飲まれるな!飲み過ぎが原因の不祥事も。
6月、尼崎市の新型コロナ給付金の支給業務を委託された関係先の社員が泥酔し、全市民の氏名や住所などのデータが入ったUSBメモリを紛失する、前代未聞の事態が起きました。
さらに北海道でも、酒に酔った警察官が住宅に無断で侵入し、現行犯逮捕されています。
「記憶にない」じゃ済まされない…飲酒にまつわる法律について、菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「お酒をめぐっての事案、ポイントとしては『“覚えていない”は通用しない』ということです。覚えていないというと、よく言われる『責任能力』、罪を問う前提としてのものがないんじゃないかという考えがあるかもしれません。
責任能力というのは良い悪いの判断ができて、それに従って自分をコントロールできるという能力です。しかし翌日になって記憶が全くない、『自分には責任能力がなかったんじゃないか』という主張についてはほとんど通用しないんです。
どうしてかというと、現に酔っているその時は何となく電話ができたり、相手と文句を言い合えたり、ちゃんと自分で立っていたりと、当時は判断ができていた状態。それで責任を問われてしまうということがよくあります」
――Q:「飲むと記憶がなくなるかも」と分かっていたということもありますよね?
菊地弁護士:
「そういう事情もありますね。さらにもう一つのポイントとして、ちょっとした言動が罪になることがあります」
――Q:例えば泥酔した状態で、電車で寝たり、道路を千鳥足で歩いたり、また公園で騒いだりした場合は、罪になるのでしょうか?
菊地弁護士:
「電車で寝ている人が、起きて『俺はここで寝るんだ~!』などと騒ぐと業務妨害などになるかもしれませんが、ただおとなしく寝ちゃったということであればギリギリセーフかと思います。
道路を千鳥足で歩くのは、歩道で人に迷惑をかけなければセーフかもしれませんが、車道に出ていってしまい交通の妨害ということになると、道交法第76条で『酒に酔って交通の妨害となるような程度にふらつくこと』は禁止行為と規定されていますので、これに違反する可能性が出てきます。ちなみに酔って道路で寝てしまうというのも、その禁止行為に入っています。
最後の公園で騒ぐということですが、公共の場で騒ぐのは通称“酔っ払い防止法”で禁止されていますので、罪に問われる可能性があります。
“酔っ払い防止法”には『すべての国民は飲酒を強要する等の悪習を排除し飲酒についての節度を保つよう努めなければならない』ともあります。1961年施行ですが、当時、酒に酔ったお父さんを家族が殺害してしまったというような悲しい事件があり、それを契機につくられた法律なんですね」
(関西テレビ6月29日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)