「南高梅」が生まれた町、和歌山県みなべ町。
記者リポート:
「みなべ町役場にやってきました。奥に行くと、さすが梅の町。『うめ課』があります」
全国シェア3割を占める梅の産地が2014年に制定した条例が『梅干しでおにぎり条例』。
若者の梅干しの消費が減ってきたことなどを受け、町民の意識を高めて梅干しをPRしていこうと「条例」を制定しました。町民には梅の普及などの協力を求めています。
みなべ町 うめ課 平喜之課長:
「“条例”という言葉の重みが大事だと思います。紀州の南高梅を使用したおにぎりが増えてきているのも事実ですので」
これから収穫シーズンを迎える梅農家。梅干しを作る町民の昼ごはんは、やはり梅干しおにぎり。
うめひかり 山本将志郎さん:
「梅干しは飽きないっすね。ウメ(埋め)込まれてるんで、DNAに」
『梅干しでおにぎり条例』については…。
うめひかり 山本実夢さん:
「学校給食とかでも梅おにぎりの日もあって、子どもたちが食べてくれてるので、すごい良い条例でうれしいです」
条例が施行されてから、毎年6月6日(梅の日)に小中学校などで子どもたちが梅干しおにぎりを握って食べるようになりました。その一方で‥。
「おにぎりは知ってるけど条例は知らんなぁ」
「えぇ~?知らない」
条例のことを知らない人もいる今の状況に、町は…。
みなべ町 うめ課 平喜之課長:
「7年たって、条例が意識として少し薄れてきている部分も感じるので、もう少しPRしていく必要がある時期に来ているのかなと思います」
この他にある、ちょっと変わったご当地条例としては、兵庫県多可町ではお互いを褒め合って空気をよくしていきましょうという『1日ひとほめ条例』が。
また京都市には『日本酒で乾杯条例』などがあり、義務ではないものの条例によって良い雰囲気を街につくろうということも狙いのようです。
菊地幸夫弁護士に、このご当地条例について、法律家としての見解を伺います。
菊地弁護士:
「本来、条例というのは法令の一つということで、私たちの生活に密着した、例えば権利とか義務とか、場合によっては罰則で担保するということもあるものです。
その一方で、守っても守らなくてもどうでもいいとは言いませんが、そうしたPR的なものを条例ということにすると、本来守らなければいけない条例に何となくちょっと重みが感じられなくなり、希薄化するという恐れもあるかなという気がしています」
(関西テレビ6月1日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)