4月、道路交通法が改正され、電動キックボードの規制緩和に向けた新たな「ルール」が設けられることになりました。
ルールによって「何がどう変わるのか」を、専門家に聞きました。
街中で、最近よく見る電動キックボード。
利用者:
「夜間、電車なかったりしたら結構使ってます」
便利な一方で…。
記者リポート:
「横断歩道を電動キックボードが渡ってきます」
――Q:ナンバープレートやバックミラーが付いてないと違法なキックボードになりますが?
利用者:
「あは、そうすか。知らなかったっす」
――Q:どうやって買いましたか?
利用者:
「ネットっすね。通販で」
交通ルールを守らない人や、危険な走行も見られます。
街の人:
「僕は車なんで、横走るのも怖いですし。結構スピード出てるんで」
「便利そうやけど、あんまり交通ルール知らん人が乗ってそうなイメージ」
警察も取り締まりを強化していて、無免許や必要な装備を付けていないなど、4カ月間で304件の違反を摘発しています(全国 去年9~12月・警察庁まとめ)。
そもそも電動キックボードは、使い方によって交通ルールが違います。
シェアリングサービスを運営する会社の男性:
「こちらがシェアリングサービスで使われている電動キックボードの機体です」
――Q:これは市販の電動キックボードとは違う?
「はい、全く別のものですね」
個人で利用する電動キックボードは「原付」の扱いで、ナンバープレートやウインカーなどが必要で、ヘルメットの着用も義務となっています。
一方、国から特例を受けたシェアサービス用は、速度が時速15キロ以内に制限されていて、扱いは「小型特殊自動車」。ヘルメットの着用は任意となっています。
そんな中、4月に道路交通法が改正され、規制緩和に向けた新たなルールができました。
シェアリングサービスを運営する会社の男性:
「法改正されたことによって便利に手軽に乗れる。電動キックボードの選択肢っていうのが増えて、少しでも普及していけばいいかなと思っています」
電動キックボードの新しいルール、一体何がどう変わるのでしょうか。菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「法改正のポイントは、世界に合わせて日本も“自転車より”になるということです。今までの個人の電動キックボードは原付という形で免許も必要です」
菊地弁護士:
「この原付という枠をちょっと広げて、自転車などの軽車両に近い『特定小型原動機付自転車』という新しい区分ができます。これには16歳以上から乗れて、自転車によせたので免許は不要。ヘルメット着用は努力義務となります。車道のほか、自転車レーンも走行可能。条件付きで歩道も走れる…ということになります」
――Q:海外のルールについては、フランスは対象年齢12歳以上で、免許不要、ヘルメットは強く推奨というレベル。アメリカのカリフォルニア州は16歳以上で普通乗用車の仮免以上、18歳未満はヘルメット着用とのことで、カリフォルニアよりも日本の方がゆるいルールということになりますね。
菊地弁護士:
「そうですね。海外で普及し始めているというのが今回の改正の大きなポイントだと思いますが、海外でも必ずしも日本よりゆるいというわけではないということですね。
また2つ目のポイントとしては、『今のキックボードは“特定小型原動機付自転車”としてはそのまま使えない』ということです。今個人でお持ちのものは原付並です。ところが今回の特定小型原動機付自転車の基準は違う内容なんですね。もう少し性能をダウンさせて、自転車に近い形。時速20キロ以下に制御されていて、歩道を走る場合には時速6キロ以下のモード、そして今どちらの速度制御中なのか知らせる表示などが必要となる予定で、細かい所はまだこれから詰めるということです」
菊地弁護士:
「いずれにせよ、今使っているもので『あぁこれから歩道も走れるんだ』ということにはならないので気を付けて頂きたいと思います。今お持ちのものは、これからも原付ということで免許もヘルメットも必要で、車道のみで走り続けなければなりません」
(関西テレビ5月11日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)