農作物を食い荒らすシカの仲間・キョン。
人に危害を加える恐れもあるカミツキガメ。
さらに、強い毒を持つヒアリ…。
これらは生態系や農林水産業、そして人の命に危険を及ぼす「特定外来生物」。もともと日本におらず海外から入ってきた外来種です。
大阪でもネズミの仲間・ヌートリアや、アライグマなどが見つかっていて、今、淀川にも…。
おおさか生物多様性センター 山本義彦さん:
「このまま、コクチバスやチャネルキャットフィッシュがどんどん増えていくと、淀川が大きく変わってしまう。もともと住んでいた魚を全て、なんとか守っていきたい」
環境農林水産総合研究所によると、淀川にはすでに数種の特定外来生物が存在しているといいます。
実際に調査をすると、アメリカ原産の特定外来生物・オオクチバスや、今増えてきているというアメリカナマズの姿が…。
ほかにもコクチバスや、ブルーギルなども淀川で確認されています。
おおさか生物多様性センター山本義彦さん:
「人間のために持ってきたものが残念ながら野外に出てしまって取り戻せない状態になっている。その魚にとっても、もともとそこにいる魚にとっても全くいいことはないです」
自然界を揺るがす特定外来生物。
原因を作ったのは私たちですが、今後取り組むべき対策について菊地幸夫弁護士に伺います。
――Q:特定外来生物に指定された生き物は2005年に42種類だったものが、現在は156種類と3倍以上になっているんですね。
菊地弁護士:
「実は今回、ついに私たちにも身近なアメリカザリガニやアカミミガメ(ミドリガメ)も特定外来生物に指定しようという動きがあります。馴染みのある生き物ですが、色々と農産物や在来種に対して害を及ぼすような特定外来生物並みの被害がこれまであり議論はされていたんですが、指定には至ってなかったんです。これを指定しようという動きにいよいよなってきました」
――Q:ちなみにアメリカザリガニは1927年にウシガエルの餌として27匹輸入されたのが最初で、これが逃げ出して増えてしまい、日本の固有種を痛めつけてしまっているという状況があります。またアカミミガメは1950年代後半にペットとして輸入され、全国の野外に推定800万匹いるとみられていて、レンコン畑などを食い荒らす被害が深刻だそうです。しかし、これまでは特定外来生物への指定とまではいきませんでした。これはなぜなんでしょう?
菊地弁護士:
「もし指定をしてしまうと大量に捨てられる恐れがあったというのでちょっと二の足を踏んでしまったんです。特定外来生物に指定されると、飼育ダメ、移動ダメ、輸入ダメ、野に放つことももちろんダメなど色んな規制がついてしまいます。その結果飼っている方が『指定されたから、どこかに放しちゃえ』となってはいけないと。実際に飼育されている推定数がアメリカザリガニ540万匹、アカミミガメ160万匹で、それが野に放たれてはたまったものではないので、今までストップがかかっていたんです」
菊地弁護士:
「それを改正するにあたり、一律飼育禁止とすると、そうした大量放棄の恐れがありますので少し緩めて、飼う・無償で譲るということをOKにして、アメリカザリガニとアカミミガメのみ緩和した規制にしましょうという予定になっています。ようは捨てないで下さいと言う所がミソです。もちろん捨てるのは違法行為となります」
(関西テレビ2022年5月4日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)