日清食品の『チキンラーメン』。
商品の“しましまの配色”が、企業のブランドを守るための「商標」として認められました。
商品の名前や企業のロゴなどが一般的な商標ですが、実は色や配色のみでも登録することができて、「色彩商標」と呼ばれています。
なぜチキンラーメンの色彩商標を登録したのか、日清食品に聞いてみました。
日清食品HD 法務部 幸田麻衣子係長:
「商品名にブランド力があるだけではなく、パッケージのデザインも含めて皆さんに広く知っていただいているのではないかと思っていました」
しかし、色彩商標の登録は簡単なものではありませんでした。
発売から64年の長い歴史を誇るため、資料を集めるのも一苦労だったといいます。
日清食品HD 幸田係長:
「チキンラーメンの発売は1958年とかなり古く、社内に保管されていた資料が全部紙でした。目視で一枚一枚資料をめくって提出できるものはないか探すのが大変でした。(商標登録に)非常に注目していただいて大変うれしく思っています」
出願から登録まで実に4年もの歳月がかかった色彩商標。
一体、何のためにあるのか、登録された色を私たちが使うことに問題はあるのかなどについて、菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「まさに“色”が商品なりブランドなりを表すという色彩商標。その色で『アレだ!』と分かると証明することが必要です。外国の例ではティファニーが“ティファニーブルー”の1色で認められていますが、日本の場合は大体何色かの組み合わせになっています。ところが色というのは、各企業の様々なマークなどで使われています。自由に使っていいという中で、限定して独占できるというのはやっぱり認められるためのハードルが高いです。2015年の商標法改正で新設されてから申請563件中、登録は9件だけ」
菊地弁護士:
「しかも日清食品さんは4年もかかったということで。長年の実績や昔からの資料の掘り起こし、アンケート調査の結果などを提出し、何度もやり取りを重ね、簡単には認めない特許庁に『この色はアレ!』ということがやっと認められたということですね」
ー特許庁のスタンスとしては、そんな簡単に色で権利は認めないよということなんですね。
菊地弁護士:
「そうですね。我々の周りには色んなカラーがありますのでね」
チキンラーメンのほかには、セブン-イレブンやファミリーマート、トンボ鉛筆の『MONO消しゴム』やUCCの『ミルクコーヒー』なども登録されています。
一方ドン・キホーテの黒と黄色の縞模様は、特許庁から「世間の認識が足りません」と登録されなかったということです。
ーこの色彩商標に登録されると、具体的にはどうなるんですか?
菊地弁護士:
「商標の色を使って、“同じ土俵”で金もうけをするのが違法になります。既にほかで認められているから、商標的な使い方をするのはダメよということです。それをやってしまうと、商標権の侵害ということで、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金と非常に刑も重いです。例えば今回のチキンラーメンの場合ですと、即席めんで今回の色彩商標と同じ色を使うことがダメとなります。ですから逆に言えばTシャツで装飾的に使うということはOKです。お菓子などでもセーフになる可能性があると思います」
――特許庁が認める対象を絞るのはなぜなのでしょうか?
菊地弁護士:
「色は、我々が自由に企業活動で使えるように、ということなんですね」
(関西テレビ2022年4月27日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)