堺市の児童相談所が一時保護した2歳の子どもが5ヵ月近く両親と面会できなかった問題で、外部の検証委員会は、面会を制限する理由はなかったと指摘しました。
児童相談所はどこで判断を誤ったのでしょうか。
【堺市子ども虐待検証部会 才村純部会長】
「保護者との面会を長期間制限しなければならない明確な理由は見受けられず、対応の柔軟性が必要だった」
2019年、当時2歳の長男の首にケガをした痕があったことから、堺市の児童相談所が長男を一時保護しました。
両親は、児童相談所に寝ているときに母親の髪の毛が巻きついた事故だと説明し、両親が鑑定を依頼した法医学者は「髪の毛による事故」と診断しました。
さらに、捜査機関も「事件の可能性が極めて低い」としたにも関わらず、児童相談所はその後も一時保護を続け、親子の面会を許しませんでした。
【母親】
「(児相に)ずっと会わしてほしいと言い続けたけど、理由は危険というだけだった」
面会が許されたのは保護が始まって5ヶ月近く経ってから。
母親は、長男の明らかな変化を感じました。
【母親】
「全然寄ってこないし、ママって来ない。私の顔でママと一致ができなくなっていて、覚悟はしていたけど、すごいきつくて」
結局長男が自宅に戻ってきたのは、保護が始まってから1年後。
児童相談所が長期の施設入所を求める審判を取り下げた後でした。
なぜ、両親は1年も長男と引き離され、5カ月近く面会すら認められなかったのか。
堺市の児童相談所は。
【堺市子ども相談所 菅原誠所長(当時)】(今年2月取材)
「一度預かっているのに、帰してもう一度ケガをするとものすごい勢いでマスコミ批判を受けます。次にお子さんを帰すときは前よりも安全性高まっている確証がいるんですよね」
ーーQ:5ヶ月近く会わせなかったということに理由はあるんですか?
「とらえ方になるんですけど…5ヶ月かかってしまったということですね」
明確な理由を答えることはありませんでした。
今年3月、堺市の永藤市長は、第三者による検証を行う意向を示し、5日、堺市が外部の専門家5人による検証結果を公表しました。
報告書では、一時保護は止むを得なかったものの、両親の面会を制限する明確な理由はなかったと指摘しています。
【堺市子ども虐待検証部会 才村純部会長】
「保護者が我が子に会いたいという心情に沿った対応をしておれば、その後の膠着状態が避けられ、より早期の面会、引き取りも可能であったのではないか」
ーーQ:児童相談所が引き返さなかったというか、両親に歩み寄らなかったことがたくさんあった事案だと思うが、報告書にはそこに踏み込んだ記載がないが。
「そこはおっしゃる通りでですね。我が子の面会を希望する。それを拒んだだけではなく、全体的にもう少し柔軟な対応、発想が持ててもよかったのではないか」
検証結果を受け両親は「私たちは、終始虐待だと決めつけた対応しかしてもらえませんでした。具体的な再発防止策がなく納得できません」と話しています。