癒やしに多様性など、気になる美しい髪のために生まれた新たなニーズ。それに応えるため、ヘアケア市場が今変化しています。
話題となっているのは頭を浸して浴びると書く「頭浸浴」。取り入れている大阪・北区の美容院『Si』では…。
薄田ジュリアキャスター:
「奥のシャンプー台は頭浸浴です。ちょうど今かけ流しているところですね」
5分間、生え際に炭酸が入ったお湯をかけ流しながら、頭全体をお湯に浸すという新しいメニュー。ヘッドスパやトリートメントと組み合わせて、プラス2000円前後の料金のところが多いそうです。(『Si』では1650円【税込】)
頭浸浴をすることによって、髪の毛の不純物や頭皮の老廃物がとれて、トリートメントやヘッドスパの効果が上がるそうです。利用するのは2回目だという客は…。
利用客:
「水の音と水圧がすごい心地よくてそれで癒されたのでもう一回行きたいと思いました」
使うのは1台およそ15万円の頭浸浴専用の機械。導入する美容室が急増していて、去年の秋に発売されてからたった半年で、全国で1000台以上売れました。
美容院を経営する喜多川賢慈代表取締役:
「客単価が上がるので売上がアップするというのもあるんですけど、カットとかの技術だけじゃなくて、こういう空間でリラックスしたいという思いで来られるお客様も多いんで。そういう意味では頭浸浴はめちゃくちゃそのイメージとあってるかと思います」
この頭浸浴の機械を作っているのは大阪の老舗美容機器メーカー『タカラベルモント』。体験させてもらうと…。
薄田キャスター:
「今ちょうど生え際のところきてますね。ギリギリのところ」
最大の特徴は、生え際を狙ってお湯をかけることができる、カーブを描いた形状。頭部全体をお湯で包み込むことで、とても気持ちよくリラックスさせてくれます。
薄田キャスター:
「心地いい水圧がかかり続けて温められる感じで、目の周りが冴える感じがして、今すごくスッキリしています」
■“累計100万個”売れたヘアケアグッズも
そして、人気なのは美容室でのケアだけにとどまりません。街で聞いてみると、皆さん色んなヘアケアグッズを使っているようで…。
女性たち:
「枕の摩擦が悪いと聞いて、髪に優しいタオルとか枕に敷いて寝たりとか」
「ブラシはイオンが入ってるの使ってます。2~3000円ぐらいの。静電気防止で」
「(ドライシャンプーの缶を取り出し…)これだけでさらさらになるタイプ。前髪とか特に固まるじゃないですか、夕方になったら」
「ツンツンしている、剣山みたいな。あれ使ってシャンプーのときに洗ってます」
そのうちの1人の女性が使っているというスカルプブラシ「ケンザン」。硬さに4つのバリエーションがあり、累計100万個も売れています。
購入した女性客:
「黒がこれ合わせて2個と、一番硬いやつ持ってます。朝起きた時に、髪の毛がペシャンコになることが少なくなりました」
「ケンザン」を販売するuka渡邉弘幸CEO:
「ずっといつまでも強い髪を育んでいくには頭皮をきれいにしてあげて。ちゃんと健やかな髪が生えてきやすい環境を整えてあげるのが重要です」
■悩みを解決したい…貪欲な研究を経て商品多様化
高まるヘアケア商品へのニーズを捉えようと、シャンプーやトリートメントのヘアケア商品だけで去年およそ100億円も売り上げた企業が大阪の『ミルボン』。その大ヒットブランドが「オージュア」で、販売できるのは提携している美容院のみです。
美容室 ラ・ブレス 池田美穂副社長:
「ホームケアの商品がものすごく売れまして。コロナ期間はコロナ前よりも(オージュアの売上は)3倍から4倍になり、今はさらに伸びています」
実は、シャンプーやトリートメントは500mlでおよそ5000円~8000円と高額ですが、「オージュア」では髪の状態や、それに対応する商品についての知識を持つ人をソムリエと認定。
悩み別にシャンプーは17種類、トリートメントは16種類からかけあわせることで約1600通りもの組み合わせの中から、それぞれの悩みに合ったものが選ばれているのです。
オージュアソムリエ 櫻岡舞さん:
「触らせていただいた感じ、根元から中間まですごい指通りなめらかなんですけど、強いて言えば毛先の5cmほどが少し負担はかかりやすくなってるかなと思います」
触診のほかにも「くせ毛」や「広がりやすい」など、悩みを聞き取ってもらい、選んでもらったトリートメントをしてもらうと…。
薄田キャスター:
「指通りなめらかで自分の髪じゃないみたいです」
選ばれたのは、髪がうねるのを抑える効果があるという髪の毛の水分のバランスを整えてくれるものでした。家でもケアできるようにと、同じ種類のシャンプーもおすすめされました。そして、こんなうれしいことも…。
薄田キャスター:
「実は私ずっとショートで、ショートにしてたのは髪がまとまらないから、広がるからっていうのが大きな理由だったんですけど、これなら伸ばせますね」
オージュアソムリエ 櫻岡舞さん:
「サロンに来てサロンケアトリートメントをしてもらうのも勿論いいんですけど、毎回のことというよりかは、毎日使ってもらうほうが効果はすぐ実感してもらえます」
どうしてここまで種類が増えたのでしょうか。
ミルボン開発本部 坂内理英さん:
「ヘアケアは軽くてさらさらのタイプと、重くてしっとりするタイプと中間の3ラインが一般的だったんですが、それだけでは対応しきれていないお客様がたくさんいます。幅広いお客様に悩みを聞いたら、全部で134の悩みがあると分かってきたんです」
そういった悩みを解決すべく、日々頭皮や髪の毛を研究して商品を開発。最近は加齢とともにうねり毛が増えてくることに着目していて、次のような研究も…。
ミルボン開発本部 研究開発部 古田桃子さん:
「私、今31歳なんですけど、やっぱり表面にうねうねした、若い頃20代の頃には無かったような毛が出てきたなというのが感じているところがあるので、それをちょこちょこと切って集めて、いつか実験に使おうと思って取りためていますね。これが、いずれ年齢とともにうねる毛を収めるケアにつながると信じているので、嫌な反面ちょっとすごくキツいうねりがあると『しめしめ…』と思いながら切っています」
少しでも気になることがあれば研究対象にする。その貪欲さが多様なラインナップの秘訣かもしれません。
ヘアケアの幅が広がってきた今、癒やされたり、悩みを改善したりと、思い描いた自分になれる環境が整っていました。
(関西テレビ10月11日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)