今や喫茶店、パティスリーのほか、中国料理店やバーなどいろいろなお店が提供するようになっている“パフェ”。最近は夜に営業を開始する『夜パフェ専門店』が増えています。
取材してみると、店が増える裏側にはさまざまなヒミツがありました。
■起源は札幌・すすきのから始まった“シメパフェ”文化
大阪・心斎橋にある夜パフェ専門店『パフェテリア パル 心斎橋店』。午後5時に開店し深夜まで営業していて、訪ねた日は平日の夜9時でほぼ満席です(日によって営業時間は異なります)。
札幌が発祥で、去年5月に関西へ初上陸。旬にこだわったパフェを提供していて、アルコールを使った大人テイストのものもあります。
そもそも夜パフェとは、札幌・すすきのから始まった、お酒を飲んだ後のシメとしてパフェを食べる“シメパフェ文化”が起源。現在は「一日の最後を締めくくるパフェ」を指しています。店内も本家・札幌を感じられる空間づくりを意識しているそうです。
パフェに使うパーツは全て店内で手作り。ジェラート等19種類のパーツからできたパフェもあり、こうした味や見た目への細部までのこだわりが店の強みになっているようです。
客:
「結構甘かったり、しょっぱかったり、お酒の味とかも結構しっかり感じられるところもあって、そういうところが他のパフェと違うなと」
別の客:
「細かい一個一個がめっちゃ豪華で。特別な感じがしてうれしいです」
非日常感のあるパフェで一日を締めくくるご褒美感と、専門店ならではのクオリティの高さが、夜パフェ専門店に人々が集まる理由のようです。
心斎橋に出店した理由は、札幌・すすきののように夜まで開いている店が多いからだそうで、大阪のお客さんからの反響は札幌に通ずるものがあるといいます。
パフェテリア パル 心斎橋店 田所将店長:
「すすきので働いていたんですけど、そちらも大阪と同じように若い方から年配の方までご来店されていて。終電過ぎた後とか、ラストオーダーギリギリにくるお客様もいるので、そういった傾向は北海道に似ているのかなと思っています。飲んだ後とかに、甘いものを食べたいという方もいると思うんです。そういったニーズにうちのお店は合わせられているというのは強みですね」
シメパフェ文化をPRしている札幌シメパフェ推進委員会は、この広がりをどのように見ているのでしょうか。
札幌シメパフェ推進委員会 小林仁志さん:
「もう10年以上前に、札幌では甘いもので一日を締めくくる文化・習慣みたいなのがありました。たくさんのお店と一緒に『シメパフェ』と名付けて、みんなで地域を盛り上げていくというメッセージにして広報活動していったんですね。今度はそれが道外の方からも注目を浴びるようになり、色んなメディアで紹介されるようになりました」
■フランチャイズ制にして急速な店舗展開に成功
さらに調査を進めると、多くの人から名前が上がった店が『21時にアイス』。
あっさりしたミルクソフトクリームに、20種類以上のトッピングを使ったパフェを販売する関西発の夜パフェ専門店です。
社長の森田大志さんが「シメパフェ文化を全国に広めたい」という熱い思いから、2年前、八尾に1号店を出店。瞬く間に現在10店舗以上を展開するまでに急成長。関西でシメパフェ人気を広めたパイオニア的存在といえます。
急速に店舗を展開できたヒミツとは…。
21時にアイス 神戸三宮店 野田隆史店長:
「実は春からフランチャイズ展開しておりまして、たくさんのオーナーさんに手を挙げていただいている状態です。一般的なテイクアウトの飲食店からすると、初期費用を低めに設定しています。導入する機械がソフトクリームサーバーと、冷蔵庫と、冷凍庫ぐらい。大きなものがそれぐらいになってまして」
導入する設備が少なく、内装をシンプルにすることで初期費用が抑えられ、店舗の数を増やしやすくなったそうです。
野田店長:
「2つ目の理由として同一オーナー様が3店舗、多い方で5店舗出店を決定しているところもございまして。仕込みの時間と帰りの準備時間が一般的な飲食経営に比べて格段と短いものとなっております」
トッピングを自社工場から直送するなど、店舗での仕込み時間の削減に成功。従業員は営業時間に加えて、前後およそ1時間の出勤で済んでいるといいます。こうした営業のしやすさが、オーナーの複数店舗出店につながっていました。
■完成度の高さと巧みなSNS戦略で若い世代の心つかむ
出店ラッシュの一方で、ソフトクリームの巻き方やトッピングの盛り付け方など技術面の厳しい研修が行われ、パフェのクオリティを高めています。
野田店長:
「紫芋モンブランです」
薄田ジュリアキャスター:
「うわ~きれい。断面も美しいし、上からみても本当にきれい。これが難しい技術なんですね。確かに写真撮りたくなりますね!」
野田店長:
「お客様が写真を撮って、SNSにアップしやすいような商品や内装を心掛けています」
この“写真を撮りたくなる店のロゴとパフェの見た目”がポイント。こうした巧みなSNS戦略で、繁華街でなくとも駅から遠い所や郊外の住宅街ですら、出店すれば人気を集めるようになったといいます。
野田店長:
「だいたいインスタグラマーさんの投稿や、友達の投稿を見て、店の存在を知ってくれました。それで『行こう』って言ってくれている人が大半なので。SNSがカギになっていると感じております」
初めからSNSに載せることを考慮した商品作りに加えて、発信にも力を入れることで、若い世代に抜群の知名度を誇り、店舗の立地にとらわれない集客に成功しているようです。
野田店長:
「今後100店舗と全国制覇を目指して頑張っていきます。お客様に癒やしと喜びを与えられるように。このままブームで終わるのではなくて、文化として残していきたいなと考えております」
(関西テレビ8月30日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)