全国グランピング協会の発表によりますと、新たに開業予定のグランピング施設は、来年までで200施設以上あり、その市場規模は1000億円に達すると見込まれています。
過熱ぶりが止まらない、右肩上がりの成長を遂げるグランピング市場。
人気のヒミツを取材しました。
■ドッグランや露天風呂付き区画まで
グランピングとは、『グラマラス+キャンピング』の略で「魅惑的」で贅沢なキャンプスタイルのこと。
豪華な食事と手ぶらでも行ける利便性が話題を呼び、2015年頃からジワジワと増加。
最近はコロナ禍の影響で、密を避けられるレジャーとして市場が急拡大中です。
実は今年だけでも、近畿エリアに10カ所以上の新しいグランピング施設がオープンするとのこと。
なぜここまで増えているのでしょうか。
7月にオープンしたばかりの、琵琶湖の湖岸から目と鼻の先にある施設『AFUMI KITAKOMATSU』。
背後には比良山系という絶好のロケーションにある新しいグランピング施設で、全部で11区画が並んでいます。
愛犬のリードを外してのびのびと遊ばせることができる大きなドッグラン付きの区画が2つ、最近では導入するところも増えてきているそうです。
さらに…。
薄田ジュリアキャスター:
「あぁ!露天風呂になっているんですね。夜空を見ながらここでゆっくりお風呂に浸かる」
スタッフが届けてくれる豪華なBBQ食材を心ゆくまで楽しめるのはもちろん、空調や冷蔵庫まで完備のドームテント内でゆっくりと湖の景色をみながら贅沢な時間を過ごせます。
これぞグラマラスなキャンプ、グランピング。お値段は1人2万5000円からです。
グランピング初体験だという夫婦は…。
夫:
「スイートルームに来たみたいな、そんなイメージです」
妻:
「もうめっちゃテンション上がりました、(ドームテントに)泊まってみたかったし」
抜群のロケーションと、贅沢なサービスを融合した最新の施設です。
■国立公園から道の駅まで続々開業
他にも様々な特色を打ち出したグランピング施設が続々と開業中です。
5月、和歌山県白浜町にオープンした関西初の国立公園内にある施設『In the Outdoor 白浜志原海岸』。
ラグジュアリー志向が多い中、改めて“アウトドアの醍醐味”にスポットを当て、干潮の時だけ行くことができる巨大洞窟への散策も楽しめます。
また西日本最大級の道の駅「丹後王国『食のみやこ』」に併設されている1日1組限定の施設では、動物の餌やり体験や滑り台など、子供向けのアトラクションが充実しています。
さらに、都市部から近い奈良県生駒市にも。創業は大正5年という老舗旅館『門前おかげ楼』の中を進んでいくと、旅館の裏側、斜面にへばりつくように建てられたドームテント。
この場所にした理由は…。
門前おかげ楼 小川雅巳さん:
「テント2張だけなんですけども、気軽に旅館のプランのひとつとしてコロナもまだ収束には行ってないですけども、こういう外で楽しめるようなスペースとしてここを利用していただいたらいいかなと思って」
公共の交通機関でも気軽に来られるスポットとして売り出していきたいということです。
■コロナ禍受けた最大1億円の「事業再構築補助金」もアシスト
今、グランピングを盛り上げている会社『ブッキングリゾート』。
これまで全国約70社のグランピング施設の開業を手伝うほか、運営するサイトで施設への集客も支援しています。
ブッキングリゾート 今井裕二取締役:
「(施設が)一番心配なのは開業した後にお客さんが本当に来てくれるのかとか、売り方が悩みになってくるので、そういうところに携わっています。和歌山県の白浜に車で渡れる無人島があるんですけども、そこの中にプライベートビーチやプライベートジャグジーがあるような施設がオープンします。特別な体験というか楽しい体験になるんじゃないかなと」
グランピング施設が増えている理由のひとつに、コロナ禍で始まった「事業再構築補助金」があり、本業の売り上げが減るなどの一定の条件を満たして、新たな事業に挑戦した場合、最大1億円もの補助が受けられるそうです。
これを活用してITや建設業、不動産業などからグランピングへ進出した企業もあるとのこと。実は今井さんの会社ができたのも、元々は異業種からの新規参入がきっかけでした。
■いち早く参入したスーパーは「買い出し客」で相乗効果
薄田キャスター:
「京都府宮津市にあるスーパーに来ました。実はこちらの地域に根ざしたスーパー、グランピングと深い関係があるんです」
客:
「こちらの近くにグランピングをしに来てて」
別の客:
「グランピングの途中で今お昼のご飯とかお菓子とか」
食材やお酒の買い出しに来るグランピング客が絶えない『スーパーにしがき』。
人口減少のあおりを受け、店舗の数も減らすという苦境にあえぐ中、2016年に当時まだ珍しかったグランピング事業に参入したところ、見事追い風に乗りました。
今では天橋立エリアだけで7つの施設を持ち、今年は全国で新たに20の施設をオープンさせる予定です。
この異業種参入のノウハウを活かして生まれたグループ会社が、今井さんが働く『ブッキングリゾート』というわけです。
にしがきが最初にオープンした施設『グランドーム京都天橋立』を訪ねてみると…。
薄田キャスター:
「ドームテントの奥に、え?なんですかこの樽型の?」
スタッフ:
「こちらがバレルサウナですね」
薄田キャスター:
「サウナなんですか?うわ熱い!でも、木のいい香りがする。そして目の前には天然の川ですよ。こりゃ一瞬で整いますね」
競合他社に負けないよう、サウナを追加するなど既存施設のバージョンアップにも余念がありません。
今、にしがきをグランピング業界のトップランナーに成長させた西垣社長に、今後の戦略を聞きました。
にしがき 西垣俊平社長:
「グランピングやリゾート関連の事業のほうが大きくなっていて、伸びている事業に投資していく感じです。都会から来る客が最終目的地のグランピング施設の近くで買い物する相乗効果も出ています。両方をまんべんなくやっていきたいです」
地域に根ざしたスーパーから飛躍したグランピング事業。競合他社も巻き込んで大きなマーケットへと成長しています。
これからもまだまだ進化をし続ける予感がします。
(関西テレビ7月26日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)