近年高い水準で推移しているキャラクタービジネスの市場規模。矢野経済研究所の調査では、昨年度は2兆5000億円を超える勢いです。
「カワイイ」だけでなく、受け入れてもらうための巧みな仕掛けもある今どきのキャラクター。生まれるキッカケの変化や、ヒットのヒミツを取材しました。
■SNSで共感を得てヒットするキャラクターたち
大阪最大のキャラクターグッズ売り場「キデイランド大阪梅田店」では…
キデイランド大阪梅田店 五香奈津 ショップマネージャー:
「こちらが今一番人気の『ちいかわ』のキャラクターです。今すごく人気です」
去年、オフィシャルショップがオープンした「ちいかわ」。取材中もお客さんが絶えません。
男性:
「ふてぶてしい態度だけど、それが可愛い」
女性:
「最初はツイッターの漫画で知ったんですけど、意外と漫画の内容が現実味を帯びてるっていうかダークな部分もあって」
ツイッターの漫画から人気が爆発しました。“独特な世界観”は男性にも人気です。
最近はツイッターやLINEなど、SNS生まれのキャラクターが増えているようです。
この現象についてトレンド誌の編集長に話を聞くと…。
日経トレンディ 澤原昇 編集長:
「今はメッセージ性をまとったモノの方が、人々の共感を得やすくなっていて。それがツイッターみたいに文字と共に発信できる媒体といったところと相まって、人気を獲得しているのかなと思います。例えば昨年だとカントリーマアムの『まみれさん』というキャラクターが登場して、これまた情報を意図的に出さなかったことで、このキャラクターなんなの?ってSNS上で考察を呼んで、すごく商品も売れた例もありました」
また、1978年から販売されているビスケット「たべっ子どうぶつ」。
キャラクターの可愛さから派生したのが…。
薄田ジュリアキャスター:
「たべっ子どうぶつのPOP UP SHOP。店内はすごく広いです。これこれ!おやつのパッケージ、ポーチになってるんですか!?しかも裏面もおやつのパッケージそのままのデザイン。かわいいですね」
今全国で「たべっ子どうぶつ」のPOP UP SHOPが展開中。こちらでは約200種類のグッズを取り扱っています。
ヴィレッジヴァンガード 金子渉店長:
「最近だと女子高生のお客様がキーホルダーをかばんに付けたりだとか。キャラクターかビスケットの形をしたマスコットが入っています」
1つ825円ですが、5・6個まとめて買う人もいるそうです。
金子店長:
「一番の高額商品が、こちらの『特大抱き枕 らいおん』。2万9998円となってます」
立派なお値段ですが、触り心地は抜群です。
お菓子メーカーがキャラクターグッズを発売した理由について聞いてみると…
ギンビス 営業本部 吉村萌子さん:
「お子様が(お菓子を)召し上がって、年齢が上がるにつれて、お菓子から離れてしまう時期がありました。そのため若い世代、10代、20代のお客様にも再認知していただけるようにグッズに力を入れました」
人気のヒミツは、やはりSNS。2019年にカプセルトイを発売すると、キャラクターを集めて撮った写真などがSNSで注目されたのです。
グッズ展開に力を入れ、その売り場にお菓子も置くことで、グッズ目当ての10代20代にもお菓子を買ってもらうきっかけが生まれました。
■キャラクターは「救世主でありトップセールスマン」
さらに、大阪発のこんなキャラクターも。
「どうぶつのり」でおなじみの「フエキくん」は、現在グッズが200点以上発売されています。
薄田キャスター:
「シュールなモノ見つけちゃいました。フエキくんのフィギュア。しかもお値段が9万9000円…フエキくんかなり出世してます」
一番人気は、好きな容器を選び、自分で作れるソフトクリーム。ほかにも、ぬいぐるみにトートバッグ、フエキくんの容器に入った綿棒も。
犬がモチーフの「フエキくん」は、のりの発売から33年後、2008年にキャラクター化が決まりました。
不易糊工業 企画開発室 山口学次長:
「『どうぶつのり』ってすごくかわいいし懐かしくていいですよね、というような声をいただくようになってきました」
ファンレターが届いたり、ファンがサイトを立ち上げて妄想のグッズをCGで制作し出したこともあり、会社中で「フエキくん」を盛り立てることに。
不易糊工業 企画開発室 山口学次長:
「たくさんのグッズが展開されていってキャラクター人気が上がっていくことによって、弊社の中でも文具、コスメ商品など新しいものを生み出していけるようになったというメリットがありました」
「どうぶつのり」は学童向け商品のため、少子化の影響で売り上げが落ちてきていましたが、キャラクター人気を活かした「フエキコスメ」が事業の新たな柱に。
海外にも出荷し、会社の売上高もみるみる増えました。
不易糊工業 企画開発室 山口学次長:
「『どうぶつのり』があって、フエキくんになってくれたおかげで、本当にうちの会社が助けられたなという風には感じております。もう救世主であり、弊社の一番のトップセールスマンかもしれません」
■世界観を守りながら展開先ごとに最適化
大阪市に、キャラクターのデザインやグッズ開発をしている会社があります。
クーリア 開発部 桑原園香さん:
「弊社のほっこりモコモカです」
「モコモカ」は、特大のぬいぐるみを30体限定でインターネットで発売すると、5分で売り切れるほどの人気者。
他にも、絵本にもなった「しずくちゃん」や「おじぱん」などを世に出してきました。そして驚いたのが…。
クーリア 開発部 桑原園香さん:
「最近だと『ばなにゃ』はGUCCIとのコラボもありまして、日本だけじゃなくて世界にも出ていけるキャラクターです」
「ばなにゃ」のフード付きスウェットシャツの値段は、なんと13万2000円!
キャラクターをSNSでも展開しているクーリア。グッズ作りとは意識するところを変え、キャラクターの世界観をしっかり守りながらも、展開先に応じて細やかな変化をつけています。
そばに寄り添ってくれるだけでなく、時には企業を救う力もある存在。
今後はどんなキャラクターに出会えるのでしょうか。
(関西テレビ5月10日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)