男女の垣根がない「ジェンダーレス」という考えが広まっています。
ランドセルから化粧品、洋服まで、広がる「ジェンダーレス商品」を取材しました。
■増えるジェンダーレス商品
2021年、土屋鞄製造所から発売されたランドセル『RECO』シリーズ。
「性別の枠にとらわれない自由な色選び」をテーマに、落ち着いた色合いのシリーズを展開し、男女問わず使えると大人気になりました。
また子どもの人形では、男の子でも女の子でも遊びやすいジェンダーレス商品が増えています。
その流れは、化粧品にも。大阪市中央区のスギ薬局心斎橋店を取材すると…。
薄田ジュリアキャスター:
「すごい大きく『ジェンダーニュートラルコスメ』って書いてありますね」
スギ薬局 ビューティアドバイザー 垣内章吾さん:
「男女兼用で使えるコスメが発売になりました。20・30代の肌悩み、毛穴とか肌荒れとかの悩みに特化した商品です」
4月1日、スギ薬局から発売された「ジェンダーレス化粧品」。
洗顔や化粧水、乳液など、計6種類。20代から30代の男女に共通する肌悩みに特化した商品です。
男性も気軽に買えるよう、スタイリッシュなデザインに。
垣内さん:
「最近、男性の美意識が高まっているので、男性用のスキンケアがあると立ち止まりやすいし、使用感もさらっとしてるので、男性の方でも使いやすいと思います」
ジェンダーレス化粧品の発売と同時に、男性の美容部員も増員していく予定だそうです。他にも…。
薄田キャスター:
「ありました。こちらの商品、フェイスパウダーなんですけど、これも男女兼用で出されている商品です」
ナリス化粧品が販売している薬用スキンケアパウダー。
実はこれ、最近発売したわけではなく、1996年からある定番商品なんです。
■中身が同じでも売上が“前年比291%”
2021年にパッケージをリニューアルすると、爆発的な大ヒット商品に。
一体、なぜそこまで注目されているのでしょうか。
ジェンダーレス化粧品の開発の裏側に迫るべく、大阪市福島区にあるナリス化粧品の本社へ。
ナリス化粧品 広報 横谷泰美さん:
「これが今の一つ前のパッケージデザインです」
薄田キャスター:
「受ける印象が全然違いますね。この見た目は女子向けですよね」
横谷さん:
「元々はニキビに悩む女の子が楽しくケアしましょうっていう考え方のブランドとしてデビューしたんですね」
元々は、20代の女性を意識した肌荒れ防止のフェイスパウダーとして販売していました。
可愛らしいデザインから、シンプルなデザインへ変更した裏には、意外なエピソードが…。
横谷さん:
「実はお客様相談窓口にですね、男性の方から『こういうピンクのパッケージにしちゃうと男の子が使いづらい』っていう意見が。私たちは、女の子のことしか考えて商品を作っていなかったので、男の子が使ってくれてるんだっていう驚きの方が多くて、その後もそういう声が何件かありまして、調べ始めたんですけど、7%ぐらい男の子が使っているっていうことが分かったんです」
そこで、男性も手に取りやすいデザインへ変更したところ、中身は同じにもかかわらず、売り上げが前年比291%にまで急増。
ジェンダーレスでエイジレス、誰もが手に取れるパッケージにする事で、一躍主役商品となったのです。
デザインを担当した女性社員にこだわりを聞くと、ヒットの秘密が隠されていました。
ナリス化粧品 デザイングループ 藤澤祐樺さん:
「白い十字架が目に入ると、薬効感があるものなんだっていう所が分かりやすく伝わるかなと思いまして。肌を直してくれそうな機能面を前面に。『具体的にどういう事をします』っていうのを誠実に描いた方が。あとは、QRコードを入れることですね。若年層の方ってパケ買いっていうよりも情報収集して買われているお客様が多いなと思っているので、その場で調べられるようになってまして。『ユニセックスパウダー メンズにも!』っていう言葉を入れることで、メンズの方でも手に取るハードルがこれによって下がればいいなと」
また、この商品を発売する上でもう一つ行っている大事なことが、男性社員へのヒアリング。
男性の肌にも馴染む商品なのか、徹底的に検証したうえで販売しているのです。
男性社員:
「実際使ったことがなくて恥ずかしさも最初はあったんですけど、いざ使ってみると実際の商品の良さであったりっていうのが実感としてあります」
別の男性社員:
「マスク文化を通して、顔をもっときれいにした方がいいな、清潔感持った方がいいなっていうのはより感じるようになりましたね」
横谷さん:
「男性の意見は新鮮な意見もあって、女性以上に男性が毛穴を気にしてるということが分かるなど、たくさん発見がありました」
また、2022年2月には男女兼用のUV乳液も発売。
男性も手に取りやすい、無機質なデザインが特徴です。
■商品開発を“着る人を限定しない服”からスタート
そして、ジェンダーレスの流れは、化粧品だけではありません。
薄田キャスター:
「無印良品の店舗にやってきました。こちらの洋服、タグを見てみますと男女兼用と書かれています。洋服そのものがユニセックスの商品として販売されているんです」
大阪市北区の無印良品グランフロント大阪。
2019年からジェンダーレスの洋服を販売していて、トップスやボトム、デニムや靴など、およそ70アイテムが揃っています。
無印良品 スタイリングアドバイザー 石堂智美さん:
「“着る人を限定しない服”という所から商品開発がスタートしております。サイズもゆったりとしたものになっています」
ゆったりしたデザインのため、トップスのサイズは3種類。
男女の区分けなく、どんな体系の人でも馴染む作りになっています。
売れ行きも前年比130%と好調だそうです。
男性客:
「購入しました。先週ここで買って、もう2~3枚欲しいなと思って同じものを。ずっとシャツを着てたんですけど、これだとフォーマルで色んなお仕事で着ていても失礼がない服装だと思いました。朝から晩まで何も考えずこれを着て、仕事にも買い物にも行けます」
女性客:
「ザクっと着られるので、あまり気にせずに色んな所に着ていけるかなと思って。服って結構たまるんでね、着回しができればいいかなと思います」
別の男性客:
「メタボ体型なので、それを補えることもありますし、優雅な感じで着させて頂いてます」
ジェンダーレスであり、エイジレスな商品。今後も、さらに人気が広がるかもしれません。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年4月12日放送)