3月8日は国連が定める「国際女性デー」です。女性の活躍と平等を目指すために制定されました。この日に考えたいのは理系に進む女性の少なさ。「女性は数学が苦手」だと無意識に思っていませんか?
大阪・ミナミの戎橋筋商店街では8日、国際女性デーのシンボル「ミモザ」の花のブーケが女性たちにプレゼントされました。
【戎橋筋商店街 久保田光恵副理事長】「女性にぜひ元気になっていただきたいという思いですね」
■日本の女性研究者は全体の18.3% 男女差が大きい現状
女性が自分らしく活躍できる社会を目指す取り組みは年々広がりを見せています。
ことし新たに設けられた「ミモザ賞」もその一つです。大阪に本社がある理容や美容の機器メーカー「タカラベルモント」が、「女性の研究者のキャリアを支援しよう」と創設しました。
対象となったのは、「美と健康」の実現につながる研究をする40歳以下の若手研究者。受賞者には研究費50万円が贈られます。
なぜこのような取り組みを始めたのでしょうか?
【タカラベルモント開発本部 上川裕子さん】「研究者としてキャリアアップするタイミングとライフイベントといったところが重なって、特に女性の方は代わりのきかない役割を一人で二重、三重に担う状況に置かれてしまう。あなたの研究を遂行するために研究外の目的で使ってもかまわないお金です、というのが特徴になります」
日本における女性の研究者は全体の18.3%(※2023年 総務省「科学技術研究調査結果」より)で、男女差が大きいのが現状です。
この原因について、自身も理系分野の研究者である東北大学の大隅教授は、
【東北大学 大隅典子副学長】「これは決して女性が理系に向いてないとか、そういう能力がないというわけでは全くなくって、残念ながら進学の時点でやっぱり女性が理工系に行ってもと断念してしまう『無意識のバイアス』が、女性にも、周囲の方にもある。そこが一番の原因かなと」
「女性は理系に向かない。文系のほうがいいのでは」という無意識の思い込みが影響していると指摘します。
今回の「ミモザ賞」受賞者の一人、梶山十和子さん(36)。
【梶山十和子さん】「ますます今後、頑張っていきたいという思いを非常に強くしました」
3歳と6歳の子を育てながら、東北大学で研究を続けていて、半年前、研究員から助教にキャリアアップしました。
【東北大学生命科学研究科 助教 梶山十和子さん】「子育てなしとかでやっている先生に比べて、自分の研究に使える持ち分がすごい少なくなっちゃってる中で、なかなか成果が出していけないんじゃないかっていう不安だったり、時間がもっとあればって思うことがすごく多いです」
使途に制限のない研究費の使い道については、
【東北大学生命科学研究科 助教 梶山十和子さん】「家事代行とかあんまり使ったことなかったんですけれども、ちょっと使ってみて、実際それで自分の時間だったり、体力がセーブされて仕事の方に加速できるのかっていうところを試してみたいなと思っています」
性差にとらわれず進路選択やキャリアが積めるように社会の変化が求められます。
■理系の女性大学卒業者 日本は38カ国中最下位
理系の女性の大学卒業者というのは、38カ国の中で日本が最下位というデータがあります。京都大学でも理系の女子学生が少ないということで、学部別の女子学生の比率をみると、工学部で9.8パーセント、理学部で8.6パーセントとなっています。
「newsランナー」コメンテーターで京都大学大学院の藤井聡教授は、「私が学生だった30年前は、同級生150人で女性は1人。しかも前後の学年には女性0人。そこから考えると増えているんですね。ただ世界的には低い状況で、大学として女性の学生や研究員を増やそうという取り組みを進めているんですが、なかなか難しいところがあると思うんです。なかなか入ってくれないわけですね。もう高校の時から、女性が受験してくれない」
女性の研究者を増やしていくためにどのようなことが必要なのでしょうか。
【関西テレビ 加藤報道デスク】「高校の段階や親の考えに、もしかしたら本人以上に偏見があって、なかなか理系を選択するよう促すことがない状況になっているのかもしれません。中学、高校の時に『理系って楽しい』よと、STEM(ステム)教育というものが日本でも進んではいるんですけど、もっと力を入れることで、女性でも男性でも理系が楽しいと向かうようになるかもしれません」
「研究において多様性を欠いてしまうと、日本が国際レベルで戦っていけなくなることが懸念されます」
多様性が求められる時代です。選択肢が増える必要があると思います。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月8日放送)