自民党の裏金問題。14日、参議院で政治倫理審査会が開かれました。安倍派5人衆の一人、世耕弘成前参院幹事長がまず出席しましたが、どのような弁明が行われたのでしょうか。
■「還付金をもらっているつもりがなかった」と世耕氏は弁明
【自民党 世耕弘成前参院幹事長】「国民の政治に対する信頼を大きく毀損したことについて、清和政策研究会(安倍派)の幹部であったひとりとして深くおわびを申し上げます」
14日、参議院で初めて行われた政治倫理審査会に出席したのは、裏金問題の発覚を受けて参院幹事長を辞任した安倍派の世耕議員。自身の政治団体では、5年間で1542万円のキックバックを政治資金収支報告書に記載していなかったと明かしました。しかし、パーティー券収入のノルマを超えた分が、派閥の所属議員にキックバックされていたことも、それが政治資金収支報告書に記載されていなかったことも「知らなかった」と強調しました。
【自民党 世耕弘成前参院幹事長】「自分が還付金をもらっているつもりがなかったものですから、チェックをしなかったために、ただただ事務局の言うとおりにしていた多くの議員がこの案件に巻き込まれて、頑張って務めてきた役職を辞めるということになった。本当に私自身つらい思いであります」
■蓮舫議員の追及に、世耕氏「分からない」連発
質問に立った立憲民主党の蓮舫議員は、安倍元首相が生前、キックバックをやめるよう指示したにもかかわらず、安倍元首相の死後にキックバックが復活した経緯を追及。
【立憲民主党 蓮舫参院議員】「2022年4月、幹部会、安倍さんに呼ばれて現金によるキックバックをやめる方針となった。これ場所はどこでしょうか?」
【自民党 世耕弘成前参院幹事長】「安倍晋三当時(派閥の)会長の議員会館の部屋であったと記憶しております」
この2022年4月の会合で、安倍元首相は塩谷議員や世耕議員などの幹部に「現金によるキックバックをやめる」と伝えた後、7月に銃撃事件で死亡。翌8月に再び幹部が集まった時に、出席者から「議員はキックバックを政治資金のあてにしている面もある」と指摘があったと言います。その会合でキックバック復活が決まったのではないかという問いに…
【自民党 世耕弘成前参院幹事長】「8月5日の会合で現金いによる還付の復活が決まったということは断じてございません。この時、私は明確に『安倍さんののこした指示なんだから守るべきだ』ということを逆に申しています」
あくまでも、キックバックが続いたことには関与していないと主張しました。
【自民党 世耕弘成前参院幹事長】「誰がこんなことを決めたのかというのは私自身、はっきり言って知りたいという思いであります」
【立憲民主党 蓮舫参院議員】「あなたが知りたいという以前に国民や納税者が知りたいんじゃないですか?その場に居られたあなたが知らない。誰も知らない。でも、継続が決まった」
もうひとつ野党が追及を強めたのは、参議院選挙が行われた年にはパーティー券のノルマ分も、ノルマを越えた分も、全額がキックバックされていた問題です。
【立憲民主党 蓮舫参院議員】「これ、誰が参議院だけ全額キックバックって決めたんですか?」
【自民党 世耕弘成前参院幹事長】「分からない。私は何の相談も受けておりません」
【立憲民主党 蓮舫参院議員】「何も分からないんですね。参議院側の改選時に全額キックバックする、それが選挙に使われたとしたら公選法違反ですよ」
【自民党 世耕弘成前参院幹事長】「このお金を選挙に使うということは基本あり得ないんじゃないでしょうか。収支報告をみんな訂正していますから、それをご確認いたければ」
■「安倍さんがやめろと言ったのに続けた幹部は責任重大」と西田氏
午後の審査では、京都選出の西田昌司参議院議員が弁明に立ちました。西田議員の事務所は、5年間で411万円の還付金を受け取っていましたが、自身はこの事実を知らず、秘書の判断だったと主張。還付金は、翌年以降のパーティー券のノルマの購入にあてられていたと説明しました。
【西田昌司参議院議員】「担当者が独自の判断で行ったことではありますが、私の監督不行き届きであったことを痛感しております」
また、西田議員は、これまで、「幹部が責任を取らないと話にならない」などと、派閥幹部に対し、苦言を呈してきましたが、14日の政倫審でも…
【西田昌司参議院議員】「安倍さんがやめろと言ったのに、それを積極的に続けていた派閥の幹部、これはもう大変な責任重大である。なぜそういう裏金が状態化し続けたのか、ここが一番の問題であり、このことを説明しない限り、私は国民の政治不信は免れないと思っております」
(Q説明責任を果たされているとお考えか?)「全く果たされていないと思いますね」
このあと、5年で約2000万円の不記載があった橋本聖子元オリンピック担当大臣も出席。「裏金だという認識はなかった」としたうえで、還付金については、担当者が、政治活動に適正に使用したと説明しました。
■新たな事実は出てこなかった参院政倫審 下村氏が出席する次回衆院政倫審に注目
安倍派5人衆の一人、世耕弘成前参院幹事長の政倫審での発言をまとめます。
【自民党 世耕弘成前参院幹事長】
・パーティー券販売のノルマ、販売枚数、還付金額、ノルマ超過分の還付方法について関与したこともなければ、報告・相談もうけてまいりませんでした。
・安倍会長が亡くなった後も私が出席している場で現金による還付が始まったり、決まったり、現金による還付を私が了承したことは一切ありません。
質問した蓮舫議員は「政倫審の限界を感じた」と話しました。
政治不信が非常に高まる中で、裏金問題はこれからどう解決に向かっていくのでしょうか。
【関西テレビ 神崎報道デスク】「今日の政倫審、これまで不起訴になっていまして、検察での聴取以上のものが出てこないことは分かっており、通過儀礼的なものでした。注目は、18日(月)に再び衆議院で、下村博文元文部科学大臣が政倫審に臨むということです。
下村さんは安倍派の事務総長を務めた安倍派幹部です。そして2022年4月の『キックバックをやめる』という会合と、2022年8月の『キックバックを続けると判断したんじゃないか』と疑われている会合、ポイントになる二つの会合両方に出ています。8月の会合は発言者によって中身が違うので、下村さんがどう言うのか注目です。
もうひとつ、安倍派の会長を長く務めていた森元首相と下村さんはかなり政治的距離がある。森さんは長く会長を務めていましたので、裏金問題についてかなり知ってるんじゃないかと言われていて、森さんと距離がある下村さんは知っていることを話しやすい状況なのではないか。例えば裏金がいつから始まって、誰がどういう形でやっていたのか、もしかしたら下村さんが知っていて政倫審でしゃべるんじゃないか、期待を持たれて今回呼ばれているわけです。何を発言するかは分かりませんが、来週の政倫審に注目だと思います」
18日の政倫審で新たな事実が語られるのか、注目です。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月14日放送)