「最高気温が開園時より9度ほど高くなっている」猛暑で変わる動物園・水族館の夏 暑さ対策 シャチの水槽「水温16度キープ」 ゾウの食事は凍らせて 設計見直す施設も ウォンバット「1000万円」冷温パネル 2026年07月21日
夏休みに家族連れなどで賑わう動物園や水族館のはずが、人がまばらになっています。
さらに…「暑さのせいですかね、オオカミも陰でぐったりしています」「百獣の王も暑さには勝てないのでしょうか」見るからにしんどそうな動物たち。
動物園などの動物たちも、今、厳しい暑さに襲われています。
動物たちを襲う酷暑と異変を徹底取材しました!
■熱中症対策が本格始動 神戸須磨シーワールド
18日から、神戸須磨シーワールド(以下「スマシー」)では熱中症対策が本格始動しました。
来園者向けには大量のミストが噴射され、体感温度だけでなく視覚的にも涼しさを演出しています。
8月からはびしょ濡れになるイベントも予定されており、夏を楽しみながら熱中症を防ぐ仕掛けになっています。
一方、動物たちへの対策も欠かせません。
■「暑さには強い」けど日陰でサポート シャチは水温16度をキープ
南米に生息し「暑さには強い」とされるマゼランペンギンも、日差しを遮るネットの下に集まるようになりました。
飼育員は「今までの日本とはちょっと違って、異常な40度を超える暑さがある。暑さに強いペンギンたちと言えど、サポートとしてこの暑さ対策をしています」と話します。
さらに課題が大きいのが、西日本ではスマシーでしか見られない「シャチ」の管理です。
飼育員によると、「年間を通じて水温を16度に保つように設定しています。プールが大きいので、水温をずっと16度に保つというのは結構大変です」とのこと。
施設にとってかけがえない存在を守るため、スタッフは毎日、気を抜けない状態が続いています。
■「7月は1年で来園者が最も少ない試練の月」
動物の飼育施設は、この酷暑で岐路に立たされています。
大阪・天王寺動物園では、平日に記者が手元の温度計で測ると37.2度を記録しました。
オオカミは陰でぐったりとし、百獣の王と称されるライオンも動きが鈍くなっています。「動物も暑いと思いますよ」と来園者も心配そうに話していました。
天王寺動物園にとって7月は、春や秋と比べて来園者数が3分の1程度まで落ち込む、「1年を通して最も少ない試練の月」です。
こうした状況を受け、園では暑さ対策の費用捻出やサービス向上のため、7月から入園料を一部値上げしました。
■暑さ対策「動物の引っ越し」 京都市動物園
開園当初には考えられなかった暑さに頭を悩ませる動物園も。国内で2番目に古い120年以上の歴史を誇る京都市動物園。
佐々木智子企画調整係長は、「現在の最高気温が開園当時より9度ほど高くなっている」と指摘します。
暑さ対策の一つは「動物の引っ越し」です。
夏の暑さが苦手なシロフクロウは、冷房が効いた類人猿舎に夏の間だけ移動させています。
去年11月に赤ちゃんが生まれたニシゴリラなどは、エアコンが効いた屋内と、ミストで暑さを和らげた屋外を行き来できるようにしています。
「暑さに強い」イメージがあるゾウも、湿度の高い日本の夏にはバテ気味になることがあるそうです。食欲が落ちないよう、エサを凍らせて与える工夫もしています。
さらに、夏の期間だけスタッフが自ら日除けを設置するという手作りの対策も続いています。
■寄付に頼らざるを得ない現場
財政に余裕があるわけではない京都市動物園では、暑さ対策の費用を一般の人からの寄付で賄うこともあります。
南米に生息するアメリカバクには、扇風機や冷風機が寄付され、ほかの動物たちにはミストを出す設備などが寄付で届けられました。
飼育担当の西元千夏さんは、「何もなかった頃は、蒸し風呂のように暑かった。冷たい風が来るので、少しは動物たちも過ごしやすくなっていると思います」と話します。
■暑さ対策をそのまま「見どころ」に 姫路セントラルパーク
姫路セントラルパークでは、暑さ対策をそのまま「見どころ」に変えるアプローチを採用しています。
去年新たに迎えた4頭のアジアゾウのために作られたのが、深さ2メートルの巨大なプールです。
この日の姫路の最高気温は34.7度でしたが、ゾウたちはプールに潜り込み、豪快に水浴びをしていました。「気持ちよさそうで、私も入ってみたかった」と話す来園者もいました。
同園の西角知也園長は、「ゾウたちの故郷はちょっと標高が高いところにあるので、日本の夏の方が暑いんですよ」と説明します。
【西角知也園長】「水に入って体温を下げる効果もあるので、極力体が全部浸かれる大きさのプールを用意しました」
■ナイトサファリでは活発に動く動物の姿
また姫路セントラルパークでは、15年以上前からナイトサファリも実施しています。
昼間は陰でぐったりしているトラや草食動物たちも、夜になると立ち上がり、活発に動く姿が見られます。
■1000万円の設備投資 五月山動物園
さらに取材を進めると、設計から見直す施設があることがわかりました。
大阪府池田市の五月山動物園では、来年度中のリニューアルオープンに向けた工事が進んでいます。
この園のシンボルは、暑さが大の苦手なウォンバット。リニューアルにあわせ、屋内に冷温パネルを1000万円かけて導入しました。
【池田市立五月山動物園 森川愛良さん】、「壁に設置した冷温パネルの中に冷たい水を流して空気を冷やしています。エアコンは風が出るので湿度を保つのが難しいですが、これだと全体的にじんわりと、水の力で温めたり冷やしたりしてくれる」
■人にも動物にも快適な空間づくり
さらに、国内の動物園を多く手掛けてきた大阪芸術大学大学院の若生謙二教授に植栽のデザインを依頼し、人にも動物にも快適な空間づくりを目指しています。
若生教授は、「落葉樹だと夏場は木陰になり、冬場は日なたになる。木陰のある森になっている所に行くと、温度が下がって風が通る」と話します。
【大阪芸術大学大学院 若生謙二教授】「『動物園に涼みに行こう』と言えるような動物園にしたいと思っています」
厳しい暑さの中でも、懸命に生きる動物たちと、逆境を乗り越えようとする職員たち。この夏、熱中症対策を万全にして、会いにいきませんか?
(関西テレビ「newsランナー」2026年7月20日放送)