"違法な逮捕・勾留で自白迫られ…精神的な苦痛を受け摂食障害に 体重が20キロになって餓死" 障害者施設で働いていた当時16歳の女性の母親が国と兵庫県に損害賠償求め提訴 「ほかの利用者に噛みつこうとした利用者止め」暴行容疑で逮捕も不起訴 2026年06月18日
障害者施設で働いていた当時16歳の女性が、違法な逮捕・勾留で自白を迫られるなど精神的な苦痛を受けた結果、摂食障害となって死亡したとして、母親が国などに対し、国と兵庫県におよそ1億円の賠償を求め裁判を起こしました。
訴えによると、当時16歳のるなさん(仮名)は去年2月、家族で経営する障害者支援施設で利用者が別の利用者に噛みつこうとするのを止めたところ、4カ月後に暴行の疑いで逮捕されました。
るなさんは無実を訴えましたが、勾留が二度延長される中で摂食障害となり、不起訴後も、体重は20キロまで減って去年12月に死亡していました。
■障害者施設で働いていた当時16歳のるなさん利用者への暴行容疑で突然逮捕
家族が経営する障害者施設で働いていた当時16歳のるなさん(仮名)は、突然、逮捕・勾留されて精神的ショックを受け、体重が20キロに減って亡くなりました。
【るなさん(仮名)の母】「彼女は障害のある子たちが大好きで、あの子たちがいるときの彼女が一番キラキラしていました」
るなさんは家族で経営していた、兵庫県内の障害者支援施設を手伝うだけでなく、一生の仕事にすることを夢見て、難しい資格も取りました。
訴えなどによると、去年2月、施設で開催したバレンタインデーのイベントで、重度の知的障害がある利用者の女性が、別の利用者に噛みつこうとしたため、るなさんと男性スタッフが止めに入りました。
その時に女性のあごに触れたことが虐待ではないかと相談があり、2人とも4カ月後、暴行の疑いで逮捕されました。
【母親】「『暴行疑いがあるので逮捕状が出てます』という話でしたので、急いでこちらに来たら、もういなかったです。娘は連れて行かれた後でして」
■「本当はやったんだろうしょうじきに言え」るなさんのノートに 涙のにじみも残り…
留置場の中で、るなさんが綴ったノートには取り調べの内容などが記録されていました。
【るなさんのノートより】「あごをすうかいたたいたかきかれました 本当はやったんだろうしょうじきに言えなど 私は本当にやっていません」
るなさんは食事を受け付けなくなり、体調は悪化。自由を奪われたことによる精神状態の不調「拘禁反応」とみられますが、勾留は延長されていきました。
取り調べでは「今言ったら楽になるぞ。別に施設をつぶしたいわけじゃないねん。お母さん困らすな」などという発言もあったということです。
【るなさんのノートより】「何にもしてないのにこんなんになるんですか。自由をかえしてほしいです。まけません」
ノートにはるなさんの涙でにじんだ跡が、あちらこちらに残っていました。
■「トラウマがひどくて。『怖い、やめて』ずっと毎日毎日叫んで」
勾留は17日後にるなさんが倒れるまで続き、病院で「脱水症状」と診断されると、すぐに警察署に戻されました。母親は警察署の前で一夜を明かし、翌朝、不起訴が決まって釈放されたるなさんと再会しました。
【母親】「彼女が出てきた時は今でも忘れられないんですけど、逮捕前の姿ではなくて、やせ細った、もう私の知ってる娘ではなく、抱きしめた時に骨がゴツゴツしてたよね」
釈放後、るなさんは医師の指導通りに食事を取っていましたが、体に吸収されずに低栄養状態に。PTSD・心的外傷後ストレス障害と診断されました。
【母親】「いきなりの逮捕でショックを受けて、それのトラウマがひどくて。『怖い、やめて』ずっと毎日毎日叫んで涙流して。
それでも『ここにおる利用者、障害の子たちとは一緒におりたい、頑張りたい』そう言って、ずっと車椅子の上にいながら、病院に助けてもらいながら、そうしてました」
■体重が20キロまで減って死亡…母親が提訴
るなさんは体重は20キロまで減って、去年12月、極度の低栄養状態、「るい痩(そう)」で亡くなりました。
そしてきょう(6月17日)、るなさんの母親は、検察と警察をそれぞれ管轄する国と兵庫県を相手取り、およそ1億円の賠償を求める訴えを起こしました。
母親の代理人弁護士によると、当時イベントには35人がいたのに、警察が事情を聴いたのは虐待の疑いを相談した利用者1人だけ。
その利用者も、るなさんが亡くなった後のことし3月に、「オーバーに言ってしまった」と謝罪したということです。
ほかにも、取り調べで虚偽の内容を伝えるなど、ずさんで違法な捜査だったと主張しています。