「“トランプ大統領の機嫌が悪くなってもいい”ぐらいの覚悟を決めないといけない状況」と政治ジャーナリスト青山和弘氏 緊迫するイラン情勢の中で日米首脳会談「早期終結・米中首脳会談の“釘刺し”」確認できるか 2026年03月18日
日本時間の19日に迫った日米首脳会談について、関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に政治ジャーナリストの青山和弘氏が解説。
イラン情勢が緊迫化するなか、高市総理は「1.イラン情勢の“早期終結”を要望」と「2.米中首脳会談への“釘刺し”」という2つのポイントを確認しなければならないと述べました。
いずれもトランプ大統領という交渉相手に対し、「憲法9条」や法律の制約がある中で、高市総理は難しい判断を迫られるといいます。
■「早く終わらせてくれ」だが、その見返りに何を求められるか
まず1点目のイラン情勢については、「とにかく早く終わらせてくれというのが基本」と青山氏は述べます。
【青山氏】「ガソリン価格の上昇が続けば日本の財源は削られ、石油備蓄を放出するにも限度があります」
ただし問題は、その先にあるといいます。
【青山氏】「『早く終わらせてくれ』とお願いする一方で、『じゃあ協力してくれ』。『イラン攻撃そのものを支持してくれ』という話が来る可能性がある。
そのときに高市総理がどこまで『やる』と言うのか、『やれない』と言うのかが非常に難しい」
■“釘刺し”の狙いが崩れた 米中首脳会談の延期
2点目の米中首脳会談への“釘刺し”は、「今回の会談で、一番重要な目的だった」と青山氏は説明します。
トランプ大統領が3月末に訪中する予定だったため、その直前に日米首脳会談を設定することで、「中国と勝手に“ディール”(取り引き)して、東アジアの安全保障を売り飛ばしたりしないでほしい」と釘を刺す狙いがあったということです。
【青山氏】「お願いする以上、トランプさんからお願いされたときにどうするかが難しい」
しかし、この計算が狂い始めています。青山氏は“米中首脳会談は1カ月以上延期される”ことがほぼ決まったといいます。
表向きの理由はイラン情勢の継続ですが、青山氏は、外務省の高官に取材したところ、実際は「中国との交渉がうまくいきそうにないから」ということだと指摘します。
【青山氏】「戦闘が続いているから(会談を)やらないとのは言い訳で、アメリカと中国の間の貿易協議がうまくいっていない。さらに艦船の派遣などを呼びかけても、中国はまったく乗ってきそうもない」
(Q.中国が乗っていたら、延期はなかった?)
【青山氏】「行った可能性はあります。『中国だってこっちの味方だ』と国際社会へのアピールになった。しかしそんな中で、米中首脳会談をやったとしても“かっこ悪い”ことになってしまうかもしれない」
■「戦闘地域には基本的に行けない」自衛隊派遣の法的ハードル
そして日米首脳会談の焦点となるのが、『自衛隊のホルムズ海峡派遣』です。現在日本が輸入する原油のおよそ8割がホルムズ海峡を経由しています。
トランプ大統領は3月14日に自身のSNSで、日本・中国・韓国・フランス・イギリスに対して艦船を派遣するよう呼びかけ。
16日にはさらに踏み込んで「ホルムズ海峡から石油を日本は95%、中国は90%、韓国は35%依存している、欧州諸国もかなりの量得ているので、ホルムズ海峡で協力してほしい」として協力を求めました。
これに対して政府の国会答弁で、高市総理は護衛艦派遣について、「法的に可能な範囲で、何ができるかと精力的に政府内で検討している」と述べました。
そして小泉防衛大臣は自衛隊の派遣要請について、「正式な派遣要請は来ていない。現時点で決まっていることはない」と語っています。
■トランプ大統領の“要請”も日本には「法律上の制約」
青山氏はこうしたトランプ大統領の“要請”について、『法律上の制約』を強調します。
【青山和弘氏】「法律的には、戦闘地域に自衛隊は基本行けない。日本ができることというのは極めて限られているのです。
『調査・研究』という目的で、中東方面に自衛隊が行くことができても、戦闘地域であるホルムズ海峡やペルシャ湾に入ることは難しい。
後方支援と言って、アメリカ軍に燃料補給するようなことはできますが、それもある程度離れた海でやるしかない。そういったことで『許される』のかどうか。
さらに言うと、ほかの国は尻ごみをしています。アメリカが仕掛けた戦争で、『なぜわれわれが自分たちの軍を巻き込まないといけないのか』と。
そんな中で、高市総理が行く。日本はアメリカと同盟国ですから、『ほかの国はやってくれなくても、お前はやってくれるよな』と言われたときに、どうするのか。これが非常に難しい」
なお、トランプ大統領が主張する95%という数字について、青山氏は補足を加えます。
【青山和弘氏】「これは『中東依存度』なのです。(日本が輸入する原油が)全部がホルムズ海峡を通っているわけではない。
トランプ大統領は数字の根拠があいまいなのです。こういう人に、日本の『憲法9条』の話や『存立危機事態は認定が難しい』という話をしても、どこまで理解してくれるかわからない」
■「戦争が終わってくれれば、できることはある」
スタジオから「アメリカの味方をしないなら、“台湾有事”など中国が武力行使に乗り出してきても協力しないかもしれないというのは理解できる面もある」などと指摘が出る中で、青山氏は総理周辺の“交渉方法”の一端を明かしました。
【青山氏】「総理周辺は、“日本ができること”をちゃんと売り込むことで、守りに入らないで、先に、ある意味攻める形でなんとか収めたいと言っている。
『戦争を終わらせてくれれば、私たちもできますよ。掃海活動も、艦船の防護も、(戦闘が)終わっていればできるかもしれません』とはっきり言えるかどうかです。
そこでトランプさんの機嫌が悪くなってもいい、というぐらいの覚悟を決めないといけない状況になってきている」
■「早くやめるよと言ってもらえれば、すごい総理大臣になる」
取材歴の長い青山氏が「ここまで地ならしができていない日米首脳会談はない」と言い切る今回の会談。
共同記者会見を開くかどうかさえ、出発前日の現段階で、まだ決まっていないといいます。
一方で青山氏は、「あえて言えば、腕の見せどころ」と指摘します。
【青山氏】「早期終結を要望して、トランプさんが『じゃあ早くやめるよ』ということになったら、高市さんは大きな存在感を見せることになる。腕の見せどころということも、あえて言えば言えるわけです」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年3月17日放送)