「外国人政策」各党が注力する理由 有権者から「規制強化」求める声 「絶対不可欠な労働力」製造業の現場からは戸惑いの声も【衆院選】 2026年01月28日
27日、公示された衆議院選挙で、消費税政策と並ぶ争点として浮上した「外国人政策」。
これまで表立った議論が少なかったテーマが、なぜ今回の選挙で各党が力を入れる政策となったのでしょうか。外国人労働者の受け入れをめぐる賛否両論の声を取材しました。
■「規制強化」を求める声が相次ぐ
今回の衆議院選挙では、外国人政策が重要な争点となっています。街頭で有権者の声を聞くと、規制強化を望む意見が多く聞かれました。
【20代】「(外国人の受け入れはいったんストップで、もうちょっと日本人に目を向けた政策をしてもらって。まったくゼロっていうのは難しいと思うんですけど、基準を上げるとか、何かしらはしてほしい」
【70代】「働く若者が少ない。そしたら(外国人は)必要なのかなとは思います。でも、ただ単にもう受け入れたらいいというだけでは、やっぱチェックしないといけない」
【20代】「移民(受け入れ)に対しては、規制するべきかなと思うんです」
こうした声の背景には何があるのでしょうか。政治ジャーナリストの青山和弘さんは、争点化の経緯をこう解説します。
【青山和弘さん】「参政党が『日本人ファースト』という政策を掲げて、選挙期間中からSNSなどを中心に非常に関心を集め始めたんですね。SNSなどを中心に重点政策、関心事項、争点に上がってきた」
去年の参議院選挙で参政党は外国人政策をアピールして保守票の受け皿となり大きく躍進。その後に発足した高市政権も規制強化の考えを示し、一気に重要争点として浮上しました。
青山さんは「日本は移民は受け入れていないから移民に向けた政策や法整備は必要ないとされてきましたが、実質上働きに来ている人もいる、ビザを取ってくる人もいる中で、厳しくする部分がなかなか追い付かず、ある意味政治が怠慢だった部分があった」と指摘します。
■各党の「外国人政策」は
【自民】
・土地取得における法的ルールを整備
・不法滞在者ゼロ、不法就労助長の撲滅
【中道】
・日本人と外国人が互いを尊重し、多文化共生社会を目指す
【維新】
・外国人比率の上限設定の検討
・土地取得の規制強化
・帰化取消制度の創設
【国民】
・投機目的の不動産取得に対して追加の税を課す
【共産】
・極右・排外主義の政治に反対
【れいわ】
・現行の“移民政策”に反対
・外国人労働者の待遇改善
・技能実習制度の廃止
【参政】
・移民の受け入れ総量と運用を厳格化
・不動産取得の規制強化
・オーバーツーリズム対策
【ゆう連】
・現時点で言及なし
【保守】
・入管難民法の改正と運用の厳格化
・特定技能2号の家族帯同を大幅制限
【社民】
・包括的な差別禁止法を制定
・政府から独立した人権救済機関の設置
【みらい】
・外国人旅行客の免税見直し
・非居住外国人の固定資産税引き上げ
■「絶対不可欠な労働力」製造業の現場 「やみくもに厳しくやるということじゃない」
一方、外国人労働者に支えられている現場からは別の声も聞こえてきます。
取材班が向かったのは、スピーカー製造や金属加工などを手掛ける滋賀県の日野精機。この会社では全体のおよそ2割にあたる33人の外国人を雇用しています。多くが専門的な知識やスキルがある人を対象とする在留資格を持って働き、複雑な作業にも取り組んでいます。
日野精機の福田弘社長は「我々レベルの中小企業にとっては、労働力の不足っていうのは本当に重大な問題となってるんですね。我々にとってはもう絶対不可欠な労働力という認識を持っています」と話します。
厚生労働省によると、日本で働く外国人はおよそ230万人と統計開始以来過去最多を更新。このうちの多くが人手不足にあえぐ製造業や小売店で働いています。
外国人政策が熱を帯びることについて、福田社長は「一言では言えないところはあるんですけれども、やみくもに厳しくやるということじゃない。お互いに協働で競争していくという形の制度をなんとか見直していただきたい」と語りました。
■ベトナム出身の技術者は永住権取得を目指しているが…衆院選では争点の1つに 不安の声を漏らす
日野精機で働くエンジニアのニュウさんは、ベトナム出身の技術者です。来日して7年目、現在は社宅で暮らしています。結婚を機に妻のヒエンさんも3年前に来日し、その後、娘のラムちゃんが誕生しました。
取材陣が訪れた日、家族は故郷を感じることができるベトナム料理で昼食をとっていました。ニュウさんは将来について「私は永住権をもらって、仕事いっぱい経験もらって、いっぱいお金貯めて、ベトナムに帰って会社を立ち上げたい」と夢を語ってくれました。
しかし、ニュウさんが目指す永住権は現在、政府内で審査を厳格化する案が浮上していて、衆院選では争点の一つとなっています。こうした規制強化について、ニュウさんは不安の声を漏らします。
【ニュウさん】「ちょっと気持ち好きじゃない。外国人、いい人もいる、悪い人もいる。ベトナムでもいい人いる、悪い人もいる。全部悪くはない、まだいい人いっぱいいる」
■「『マルかバツか』『0か100か』ではなく冷静に見比べることが重要」青山和弘さん
国論を二分する外国人政策。青山さんはこう警鐘を鳴らします。
【青山和弘さん】「気をつけて両論ちゃんと見てみる。そこには絶対に『マルかバツか』、『0か100か』ではなくて、それぞれの言い分にそれぞれの理があるんですね。それを冷静に見比べた中で、『私はどっちかと言えばこっちだ』、『私はこっちだ』というふうに選んでいく、こういった姿勢が非常に重要かと思うんですね」
政策研究大学院大学の安田洋祐教授は「日本の労働力不足は深刻で、今後AIなどの新技術導入が進むと、ホワイトカラーの仕事はある程度無人化・省力化が進むと言われる一方、製造業や小売業などのブルーカラーの分野ほど人不足問題は長期化する。そこに現段階でも外国人労働者が貢献している現実を忘れずに、バランスよく外国人政策・移民政策を考えていくべき」と指摘しました。
急浮上した外国人政策。今後どのような方向に向かうのか、慎重な選択が必要です。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年1月27日放送)