高市総理の衆議院解散表明を受け、事実上の選挙戦がスタートしました。
ただ、異例の短期決戦となり、投票を準備する現場からは、悲鳴にも聞こえる不満の声が上がっています。
■「間に合わんでしょうね」選挙資材に悲鳴
年明け早々に舞い込んだ”解散風”。
取材班は東大阪市にある選挙ポスターの掲示板を作る会社を訪ねました。すでに大阪市から掲示板設置の相談が来ていて、準備が進められています。
投開票は2月8日になる見通しで、解散から投開票までが16日間となり、これは戦後最短の期間での選挙となります。
掲示板は1つの選挙区につき100カ所近くあるといい、この会社では5つの選挙区に設置したこともあるそうです。
【記者リポート】「本来なら2台の机で作業をしているということですが、肝心のパネルが届いておらず、全く作業が進んでいません」
選挙の日程が決まっておらず、別の業者から必要な量のパネルが納品されていない状況。一方、掲示板を設置するために他の仕事については、取引先に事情を説明し、納期を変更してもらうなどの対応をしているといいます。
ニコニコ工芸社の高橋清代表は「電話かかってきたんが10日ぐらい前ちゃうかな。『大阪市の選挙管理委員会ですけど』って。1カ月ぐらいかかるよ。(本来は)選挙やいうたら。人間の手ですることやから、納期がほしい。(納期に)間に合わすために24時間稼働でせなあかん感じになる。今回(時間)がなさすぎるから、どないなるのか?」と困惑を隠しません。
■さらに大阪市では“ダブル選” ホワイトボードには「間に合わない?」と不安
さらに大阪市では、衆院選投開票と同日に大阪府の吉村知事と、大阪市の横山市長の辞職にともなう”出直しダブル選挙”が実施される予定です。
まさに選挙ずくめの状況となっています。
1月19日、大阪市の選挙管理委員会は選挙に向けての会議を開き、さまざまな対応に向けての協議を行いました。
「仮に衆議院だけであっても、かなりしんどい。期間の問題もありますが、資材をそもそも確保するのが難しい」と選管職員は語ります。
「26日に回線工事は、何とか、ねじ込んでもらえるようお願いした」
大阪府箕面市の選管職員はすでに休日返上で大忙しだといいます。
ギリギリの調整が続く中、ホワイトボードには「間に合わない?」という不安を表す文字も書かれていました。
特に府知事選は、最短で21日の告示で、期日前投票はその翌日から開始。しかし開始日までに投票の案内を全ての有権者に送付することは「難しい」といいます。
■投票箱に仕切りを設ける工夫も
【記者リポート】「こちらの投票箱ですが、中には仕切りが設けられていて、2種類の投票ができるようになっています」
衆院選と府知事選が同日の投開票となれば、衆院で通常必要な3つに加え、府知事選と4つの投票箱が必要になります。
ちなみに大阪市なら市長選もあわせて5つに。仕切りを設けることで、投票箱の不足をなんとか乗り切ろうとしています。
■「絶対にミスは許されない」市長からも懸念の声
箕面市の原田亮市長は「選挙は民主主義の根幹だから絶対に間違いが許されない。すごいプレッシャーが職員にはかかっているのに、しっかり余裕を持たないと、ミスが絶対起きやすくなる。有権者の皆さんが、正しく適正に判断するのにも、やっぱり時間が要るわけですし。こういう(短期的な)やり方はちがうんじゃないか」と懸念を示しています。
■「家でお菓子食べてたら、『えー』って!」とウグイス嬢
電撃解散に振り回されるのは選挙準備の現場だけではありません。
この道36年、これまで300人以上の候補者の車上運動員として、マイクを握ってきた幸慶(ゆきよし)美智子さんも驚きを隠せません。
【車上運動員歴36年 幸慶(ゆきよし)美智子さん】「家でお菓子食べてたら、『えー』みたいな感じです。超びっくりしました、こんな事ないんじゃないですか!?」
すでに1月末から鹿児島県内などで選挙の仕事が入っていて、ほかのメンバーのスケジュールもパンパンだといいます。
【車上運動員歴36年 幸慶(ゆきよし)美智子さん】「1月だけで3つの選挙になった。みんな他のお仕事もしているので、ほとんど足りない。他のウグイス嬢と連絡取ってたんですけど、みんなすさまじく困っていますね」
■受験生も困惑「選挙のことはいったん無視っす」
一方、選挙どころではない有権者もいます。
堺市にある塾では、高校3年生たちが受験のラストスパートを迎えています。
多くの受験生は18歳以上で、選挙権がありますが、この時期は受験シーズン真っただ中。予想される選挙日が受験の日と重なっている生徒も。
【高校3年生】「選挙のことはいったん無視っす。できればもうちょっと後にしてほしいです選挙」
【高校3年生】「難しいっすね。いま受験しか頭になくて、ニュースとかじゃなくて、シス単(英単語帳)開いてる状況なんで…」
【高校3年生】「受験期間だと若い人たちの選挙の投票率下がってくるのかなって思います」
おととしの衆院選では、10代の投票率は39.43%と投票率は低いものの「初めての選挙」に期待を持つ生徒も。
【高校3年生】「(選挙)いきます!18歳なって大人なっていくじゃないですか。その段階で1票でも関わっていこうかなと思う」
【高校3年生】「インフルエンサーとかも行くのが当たり前とか、行ってきたと(SNSに)上げてたり、自分と近い年代の政治に対するの関心高まっていて、(選挙が)結構、急に決まったから、今回はどうなるのかと思った」
■「早すぎる」「いつが良いの?」街の声も分かれる
この突然の選挙について、街の人からはさまざまな声が聞こえます。
「早すぎますよ!何も判断できないでしょ。今やったら、何もまだ決まってないし」(80代女性)
「給料も上がらない、物価が高い、毎日の生活が大変なのに、そんなに選挙にお金使っていいんですかって思います」(80代女性)
「私はいいと思う。逆に言うと、いつ解散がいいのか?ってなりますから。彼女(高市首相)を信頼する方です」(60代女性)
「解散して、野党がちょっと頼んないけど、頑張ってほしいところはある」(60代男性)
急転直下のドタバタ選挙。私たちの生活にどんな影響を及ぼすのか?しっかり見定める必要がありそうです。
(関西テレビ「newsランナー」2026年1月19日放送)