「重鎮・麻生氏も関係深い萩生田氏も知らなかった」“衆院解散案”「根回ししないのが良くも悪くも”高市カラー”」と政治ジャーナリスト青山和弘氏 2026年01月14日
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」(13日放送)では、17の政権を取材してきた政治ジャーナリストの青山和弘さんが、衆院解散案の舞台裏を解説しました。
青山さんの取材では、突然浮上した衆院解散案について、自民党内からは「驚いた」という声が相次いでいるといいます。
自民党内の重鎮として知られ、高市総理を総裁選で支援した麻生太郎副総裁や高市総理と関係が深いことで知られる萩生田光一幹事長代行も知らされておらず、高市総理の周辺の官邸幹部だけが握っていた情報だったと明かしました。
■自民党幹部は「全く知らなかった」
青山さんによると、この解散案に対して自民党関係者のほとんどが「驚いた」と話したといいます。
【青山和弘さん】「本当に高市さんの周辺の官邸幹部だけと相談していたようです。選挙するとしたら、自民党でやるわけですから、党側にも一定程度、耳打ちしないといけないのですが、自民党の幹部がほとんど知らなかったと。
『全く知らなかった』と言ってもいいぐらい。そういった状況の中で、報道が先行したということに私も驚きました」
■「政治の安定」を求める2つの道筋
高市総理は「政治の安定」を重視しており、そのための選択肢として「早期解散して自民党で単独過半数を回復する」か「連立を拡大することによって過半数を超えていく」かの2つの道筋があったと青山さんは指摘します。
【青山和弘さん】「衆議院では日本維新の会との連立で過半数をやや超えました。参議院では、まだ超えていないという状況ですが、さらにここに国民民主党を加えることで参議院でも超えることができる。これで安定する」
自民党幹部は「連立拡大で議席を増やす」方針を進めていましたが、結局「早期解散」を選択したといいます。
■年末までは「連立拡大」派が優勢
青山さんによると、去年の年末までは「連立拡大を重視する」方が優勢だったといいます。
【青山和弘さん】「維新の会との連立は継続することなった。これは萩生田さんたちが汗をかいて、維新の会をつなぎとめたんです。
さらに国民民主党にも連立を拡大しようということで、178万円まで所得の壁を引き上げるということを、これは高市さんも思い切った決断をして、麻生さんも後ろで動いて一気に電撃合意したわけです」
国民民主党とは来年度予算案の賛成までは取り付けましたしかし、今年になって国民民主党の玉木代表は連立入りの決断を渋ったということです。
【青山和弘さん】「麻生さんはよい感触を得ていたようなので、麻生さんや、麻生さんの下にいる鈴木幹事長なども期待をしていて、ラブコールを送っていたんですが、玉木さんはどうも『ここはやっぱり連立入らない方が、自分たちにとって得じゃないか』という判断に傾いた」
■早期解散論者の勢いが急増
青山さんは、こうした中で「早期解散論」の勢いが急に増した理由を以下のように説明します。
【青山和弘さん】「まず自民党内の情勢調査で単独過半数を取れそうだという数字が出た。国民民主党が入ってしまうと、実は解散がやりにくくなる。
国民民主党の候補者と、例えば玉木さんがいる香川2区に自民党の候補者を出すのか、出さないのかこういった問題も出てくる可能性がある」
こうした状況を受け、「国民民主党が入らないなら早期解散」へと舵を切ったのが、「割と最近のこと」だったと青山さんは語ります。
■萩生田氏も麻生氏も知らなかった解散案
さらに青山さんは、高市総理と関係が深い萩生田幹事長代行も「解散案」を知らなかったと説明します。
青山さんは、萩生田氏と仕事の予定調整で連絡を取っていたものの、「2月は忙しい」と言われていたため、「解散案浮上」報道があった翌日に「このことですね」と聞いたところ、「いや僕は、これ本当に聞いてない」と話したということです。
【青山和弘さん】「萩生田さんは嘘をつかない人なんです。『聞いてなかったんだ』というので、逆に私は驚いた。 そのあとの取材で、麻生さんも実は知らなくて、『こんな解散なんかできるのか』と言ってると聞いて。
やはりこの辺りは、高市さんの秘密主義というか、悪く言えばあまり”根回しをしない”ところが出てるのかなと思っている」
■なぜ今、解散なのか
青山さんによると、今のタイミングで解散に踏み切る理由の1つは、「通常国会が始まると予算委員会が長く続き、様々な問題が質問される可能性がある」ということです。
【青山和弘さん】「これはお金の問題もそうですし、例えば今の外交の問題、さらに言えば統一教会の問題なども、いろいろ指摘される可能性がある。
さらに言えば、予算委員長が野党、立憲民主党の元代表の枝野さんなので、委員会がかなりぎくしゃくする可能性もある」
こうした状況を踏まえ、「政治の安定につながらないんじゃないか。それだったら今、国民民主党も連立に入りそうもないし、人気の高い今なら勝てるから今やってしまいたい。これが高市さんのまさに本音だと思います」と青山さんは分析します。
■選挙で党内基盤を固める狙い
加えて「選挙を通じて党内基盤を固める狙いがある」と指摘します。
【青山和弘さん】「選挙戦では、高市さんの公約を掲げ、高市さんに応援演説に来てもらい、高市総理を勝たせてくださいって選挙をやるわけです。これによって自民党内が一枚岩に近づく、選挙にはそういう効果がある」
これにより、政治の安定につながり、外交などにもパワーを持って臨めるようになるといいますが…
【青山和弘さん】「ただし、議席を減らした場合は高市さんいきなり窮地に追い込まれる可能性もあるので、それは賭けに出たともいえる」
■麻生氏への根回しがなかった理由
今回「解散案」を知らされていなかったという、麻生副総裁は元々「解散は来年でいい」という主張だったと青山さんは明かします。
【青山和弘さん】「国民民主党に連立を拡大して、実績を上げて、来年解散がいいのではないか。なぜかというと、来年にまた総裁選があるから。総裁選に近い方が、高市さんが総裁選で無投票で再選に近づくだろうっていうのが麻生さんの考えだった」
今回、高市総理は麻生氏ではなく、早期解散論者の意見を採用した形だということです。
【青山和弘さん】「麻生さんに相談してしまうと、説得される、反対される、可能性もある。そんな中で別の人たちの意見、冒頭解散論に乗ったので、相談が遅れた」
青山さんは「例えば安倍さんなどは、私も取材しましたけど、麻生さんに『どう伝えようか』というのは、いつも気にしていたんです。副総理でしたからね。そうした姿勢と比べると、高市さんはその辺ドライだなと正直感じるところではあります」と語ります。
■「良い意味でも、悪い意味でも高市カラー」
青山さんは、高市総理のこうした政治スタイルについて「良い意味でも、悪い意味でも高市カラー」と評します。
【青山和弘さん】「こういった“根回し”をしないというのは、夜の飲み会とかもしないのも含めて、新しい政治の形というか、いわゆる水面下の調整とかに頼らないというのは、政治の新しい形という側面もあると思います」
一方で「当たり前の報告であるとか、周辺に対する『配慮が欠けてる』という批判はどうしてもつきまとう」とも指摘します。
「こうしたある意味、高市さんらしいやり方。これが今、実際ハレーションも生んでるわけで、これが吉と出るのか凶と出るのかは、今後の展開次第といえる」と青山さんは締めくくりました。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年1月13日放送)