“火災の原因になったら損害賠償リスク・更地にして売れなかったら税金が6倍にも"深刻化する「空き家問題」自分や親の家をどうするか?「元気なうちに話し合いを」 2025年12月10日
11月、大分市で発生した大規模火災。被害は187棟にも及び、そのうち約4割が空き家でした。
一般的に放置された空き家は壁や屋根が荒れているため、着火しやすく炎の拡大スピードも高まると言われています。
日本が直面している空き家問題。2023年の調査によると、全国の空き家総数は約900万戸。これは全住宅の13.8%にも上ります。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」ではこの空き家問題の対策について、ファイナンシャルプランナーが解説しました。
■空き家のリスクと問題点
不動産問題に詳しいファイナンシャルプランナーの平井寛(ゆたか)さんによれば、「家じまいに関する相談は年々増加している」といいます。
家を空き家の状態で放置しておくと、様々なリスクが生じます。
【ファイナンシャルプランナー 平井 寛さん】「1つは、家は置いておくと古くなってきます。お金の問題では固定資産税など費用がかかる。火事や、瓦が落ちたり塀が倒れることで損害賠償のリスクも出てくるかもしれません。非常にリスクが多い」
親世代が住まなくなった家を空き家にしないためには、どうすればいいのでしょうか?いくつかのパターンで考えていきましょう。
■パターン1:子供や家族が住む場合の注意点「想定以上の費用がかかる可能性」
まず考えられるのは、親世代がいなくなった後、子どもや家族が住むというパターン。
もったいなくないので良い選択肢のように思えますが、代々の家であればリフォームや修繕費がかかるという課題があります。
特に注意すべきなのは「想定以上の費用がかかる可能性」です。
【ファイナンシャルプランナー 平井 寛さん】「建物が古くなってくるとシロアリが食っていたり、いざ工事を始めてみると予想外の問題が見つかることもあります。また耐震基準を満たす形にしようとするとそれなりの費用がかかります」
築年数が高くなるほど費用はかさみますが、自治体からの補助金もあるので調べておくといいでしょう。
■パターン2:建て替える場合の盲点「狭くなったり建て替えできない土地も」
家が古い場合は建て替えて、土地をそのまま活用するという選択肢もあります。
もちろん解体費と新築工事費が必要ですが、さらに注意すべき点があります。それは「今より狭くなったり、建て替えできない土地もある」ということです。
【ファイナンシャルプランナー 平井 寛さん】「都市計画法や建築基準法などさまざまな法律があり、建ぺい率や容積率の関係で、同じ土地の上に同じ建物が建てられなくなることがあります。また接道条件といって4メートル以上の道路に2メートル以上接するなどの条件があり、それを満たしていないと建て替えられない場合もあります」
昔は細い道でも建築できましたが、建築基準法が改正され、救急車や消防車が通れるように規制が厳しくなりました。
今の状態なら問題なくても、建て替える場合は、今の法律に適合させる必要があるので、建物が狭くなったり、最悪の場合は建て替えができないこともあるのです。
■パターン3:家ごと売却する場合「買い手が現れない恐れ」
住まないなら売却という選択肢が考えられます。
土地と家をそのまま売るのが一番楽かもしれませんが、「買い手が現れないかも」という問題があります。
【ファイナンシャルプランナー 平井 寛さん】「古い建物が建っていると、見た目のイメージが良くないので、なかなか売れにくいことがあります。また個人ではなく不動産業者が買い取る形になると、どうしても価格が安くなることもあります」
■パターン4:更地にして売る場合の落とし穴
売るために一旦更地にするという方法もありますが、ここにも注意点があります。
【ファイナンシャルプランナー 平井 寛さん】「更地にすると見た目が良くなり、売りやすくはなりますが、絶対に売れるとは限りません。特に同じ家でも立地によって大きく違います」
そして最も大きな問題は「更地にしたのに売れなかった場合、固定資産税が最大6倍になる」ということです。
これは住宅用地の特例というもので、住宅が建っていると固定資産税が6分の1になる制度があるためです。
この問題を避けるために古い建物をそのまま残す人も多いのですが、近年では「特定空き家」や「管理不全空き家」といった制度ができ、ほったらかしにしていると建物があっても税金が6倍になる可能性があります。古い家を単に残しておくのはやめましょう。
■家じまいに欠かせない遺品整理 4時間半でトラック約2台分の荷物
何より“家じまい”をする際に欠かせないのが、中の整理です。
今回は、約70年前に建てられた7DKの一軒家の整理に密着。依頼主は2年前に亡くなった叔母の遺品を整理するため、業者に依頼しました。
遺品整理業者はスタッフ9人で作業し、1階のキッチンと4部屋、2階の3部屋に残された家財道具を整理していきました。
作業開始から約4時間半で、2トントラック約2台分の荷物が運び出されました。費用は作業量と荷物の量から計算され、買い取り可能だったテレビと掛け軸の代金を差し引いて、トータル80万円でした。
少々値段は張りましたが…
【依頼者】「プロに頼んだら早いなと。『こんなに広かったんだな』と感じました」
【スタッフ】「自分でするとなると、大変ですもんね」
【依頼者】「とてもじゃないけど無理です」
整理後の家は今後、レンタルスペースとして貸し出す予定だそうです。
■自分や親の家について 今から考えたい家じまい
自分や親の家について、将来どうするか元気なうちに家族で話し合い、適切な対策を取ることが重要です。
リフォームするか、建て替えるか、売却するか、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、計画的に進めていきましょう。
皆さんも家じまいのこと、一度考えてみませんか?
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年12月9日放送)