12月に入り、街はクリスマスモードになる中、ある商品を求めて人々が殺到している光景がSNSで話題となっています。
特に爆発的なヒットとなっているのは、懐かしさを感じさせる「シール」。
「かわいいーー!」
「どこの店に行っても買えない…」
多くの人が探し求めているこの商品について、シール販売メーカーは「生産数も過去と比べて300倍ほど。過去に例を見ない反響をいただいております」と驚きの声を上げています。
■お酒の席でシール交換? ”平成女児”だった大人も熱狂
取材班がある「バー」に潜入すると、酒の席で大人たちがシール交換をする驚きの光景が広がっていました。
「小っちゃい頃にやってて、1回途切れて、もう1回新しいのを」
大阪市北区にあるバーでは、ことし9月にお客さん同士がシールを交換できるイベントを開催したところ話題となり、現在では隔週で定期開催を続ける人気イベントになっています。
ことしの流行語大賞にもノミネートされた「平成女児」。平成で流行ったものが、令和の今、再び注目されていますが、中でも人気となっているのが「シール集め」です。
平成9年生まれの女性は「集めて人と交換する楽しさだったり、日常生活でちょっとしたお買い物に出かけたときに、『あ、このシールかわいいな』みたいな。毎日の楽しみができた感じ」と語ります。
平成13年生まれの男性も「自分は(幼い時)あまりシールに興味なかったので、今おもしろいなって感じです。男やからこそ虫のシールとかを貼っていると、女子は持っていないシールとして、交換してもらえたときは、『男がやっていて、いいこともあるんやな』という発見はあります」と話し、男女問わず幅広い人が夢中になっています。
■「たった2分で完売」入手困難なシールとは
取材を続けていくと気になる声が…。
【平成9年生まれの女性】「この間3軒ぐらい回ったけど、どこもなくて。コーナーだけがなんもない状態で空いてるみたいな感じ。友達に聞いたら『入荷時間を聞いて、みんな買いにいっている』って」
どこにもない?入手困難なシールとは一体…?
取材班は、平成グッズを販売するショップに密着しました。
平日の午前11時、開店直後、お客さんが集まり始めると…あっという間に人であふれ、用意された商品は瞬く間になくなっていきます。
【記者リポート】「たった2分で完売してしまいました」
平日にも関わらず、噂のシールは一瞬で完売してしまいました。
【30代・子供6歳】「(買えて)うれしいです。たまたま来たらあって、買いました」
【30代・子供9歳】「きょうですか!?売ってたんですか!?」
【小学生の母】「列見てシール!って思って、並んでる人みたら手にしてたので。急いできたら、もう(完売)」
■ぷっくりキラキラ「ボンボンドロップシール」が300倍の生産量に
今、爆発的なヒットとなり入手困難となっているのが、ぷっくりとした立体的な形が特徴の進化系シールです。
平成ブームの時からシールを集めている女性たちは、「売り切れてないときに集めたやつシール帖です」「前集めてたやつと、最近集め始めたやつで、分けてます」と見せてくれました。
この店では、事前に販売を告知すると多くの人が集まるため、告知せずに販売していますが、それでもすぐに売り切れる人気ぶりです。
「入荷してきても1種類ぐらいしかやっぱりなくって、どこも入荷が難しい状況になってますね」とSPINNSの出崎英さんは語ります。
■製造メーカーでは「全社挙げて増産体制」
なぜ今、注目を集めているのか。特に人気の進化系シールを製造するメーカーに話を聞きました。
「クーリア」広報担当の岡村和昌さんは「反響はすごくてですね、出荷枚数はシリーズ累計1000万枚を超えまして、生産数も去年の今ごろと比較すると、もう300倍ほど、製造しております」と話します。
中に樹脂が流し込まれてぷっくり、キラキラした見た目が特徴の「ボンボンドロップシール」。去年の販売以来、SNSなどで人気が広まり、シールの製造枚数は平成のシールブームをはるかに超えているということです。
【「クーリア」広報担当 岡村和昌さん】「弊社のボンボンドロップシールは、平成レトロは狙ってはいなかったんですけれども、見た目は平成レトロを思い出させるということで、それも合わさってボンボンドロップシールが急激に売れ始めた」
【「クーリア」社長室 倉掛誠一さん】「いまちょっと全社挙げて、増産体制とっております」
(Q.”ボンボン”に全力集中?)
【「クーリア」社長室 倉掛誠一さん】「もう全力集中でございます」
■デジタル時代に貴重なリアルコミュニケーションの場に
このブームの背景にあるのは、「デジタル時代の今、貴重なコミュニケーションの場になっていることだ」と専門家は話します。
世代・トレンド評論家の牛窪恵さんは「家庭や会社や身近な友達とかの、リアル・対面のコミュニケーションを深める場になるので、自己表現とか友達はこういうことを考えてるんだとかということを、シールをきっかけに話題が広がるところは、いろんな意味で、特に異世代に広がる」と解説します。
バラエティ雑貨を扱うショップでは、シールの売り上げが1店舗あたり1カ月5万円から10万円ほどだったのが、ことし7月頃から去年の同月100倍以上が続き、1カ月1000万円を超える店舗も出てきているそうです。
大人も子どもも、男性も女性も、平成世代も令和世代も、一つの小さなシールを通じて新たなコミュニケーションの輪が広がっています。
(関西テレビ「newsランナー」2025年12月8日放送)