京都の「モミジ」に異変!本格的な紅葉シーズン前に猛暑の影響で枝ごと枯れる ライトアップ遅らせる対応も 春に咲く桜も返り咲き 日本の四季はどうなる 2025年11月12日
秋も深まり、本格的な紅葉シーズンを迎えています。
しかし、その主役とも言えるモミジにある“異変”が起きています。
取材すると、縮んだり落ちたりしたモミジの葉っぱが。 さらに、秋にサクラが咲いているといいます。
日本の四季はどうなるのか?
「newsランナー」徹底取材!いま自然に起きている異変に迫ります。
■秋本番の紅葉シーズン 永観堂では3000本のモミジがライトアップ
11月に入り、気温も一気に下がった京都。
【記者リポート】「京都の永観堂では、ライトアップの準備が進んでいます。いよいよ紅葉シーズン突入です」
今週末からは境内の3000本のモミジがライトアップされ、幻想的な光景が広がります。
まさに秋本番の紅葉シーズンに!しかし…ことしは過去にない異変が起きているというのです。
そこで取材班が向かったのは、紅葉の名所、京都・嵐山にある鹿王院。
足利義満が1379年に建立した臨済宗の寺院で、「鹿王院庭園」は京都市の名勝にも指定されている人気の紅葉スポットです。
この庭を50年以上見てきた吹田さんに案内してもらうことに。
■葉っぱが縮れ、茶色くなったり白くなったり…ライトアップは1週間遅れに
境内には…お見事!真っ赤に色づいたモミジ!かと思いきや…。
【鹿王院 吹田陽子さん】「葉っぱが少し縮れているというか、暑さと雨の少なかったせいで、枝に水分が行き届かずこういう状態に」
(Q.日焼けして落ちる葉も?)
【鹿王院 吹田陽子さん】「ありました。ありました。今でもこれ、落ちてるんちゃいます」
【案内ボランティア 石塚良二さん】「これも病気ですよ。粉吹いたような、白いのが付いている。残念やな」
京都では、ことし猛暑日と熱帯夜がともに60日以上に。
その暑さの影響か、茶色くなったり白くなったりする葉っぱがあり、中にはピークを迎える前に落ちてしまったものも…。
影響があるのは一部の木ということですが、鹿王院では毎年行うライトアップを、1週間遅らせて実施する予定だといます。
【鹿王院 吹田陽子さん】「クリスマスぐらいの時に、きれいに紅葉が見られる時があり、変だなと思いますけどね。自然のことですしね、耐えしのぐしかないね」
■箕面市・名物モミジの天ぷら モミジの収穫量が減少「このまま天ぷら屋さんを持続できるか」
この異変は京都以外でも…取材班が向かったのは、大阪府箕面市。
ここの名物は…食用のモミジを、低温でじっくり揚げた「天ぷら」です。
【客】「しっかり味がついてておいしいです。止まらない。甘みもあるんですけども、塩辛みもあってバランスがとれている」
店主の上原さんにモミジの収穫量について聞いてみると…。
【河鹿荘 上原結香里さん】「(モミジの)取れ高は年々減ってますね」
(Q.去年と比べて?)
【河鹿荘 上原結香里さん】「全然違いますよ。半分までは行かないが、それぐらいは減っている」
お店で使用しているモミジの木を特別に見せてもらうと…。
【河鹿荘 上原結香里さん】「こちらの木になります。黄色くは全然なってないですね。これだけ暖かいと。ぐっと冷え込めば、一気に色づくんですけど」
モミジが色づくには、本格的な冷え込みがまだ来ていないため、色づいていなかったり、すでに枯れてしまったりしたということです。
【河鹿荘 上原結香里さん】「先端がこっちも茶色くなってるじゃないですか。枯れちゃってますしね」
(Q.枯れている、色の変わっているモミジは?)
【河鹿荘 上原結香里さん】「捨てます。使えないので破棄です。見に来てくださってる方が、『きれいやな』って見ていただけて、この子らの役目は全うかな」
天ぷらに使用するモミジは、1年以上塩漬けしてから提供していて、来年以降の営業に不安があると話します。
【河鹿荘 上原結香里さん】「モミジの収穫量も減ってるし、このまま天ぷら屋さん持続できるのかな。モミジがなくなると、必然的に商売ができなくなっちゃうので」
■猛暑の影響で枝ごと枯れたモミジ
なぜ木々にこんなことが起きているのか。
京都府立植物園の樹木医・中井さんに教えてもらいました。
【京都府立植物園樹木医 中井貞さん】「この辺りもちょっと影響が出ているのかな…」
葉が白く枯れた状態のモミジ。強い日差しと猛暑によって、水を吸い上げる根が育たなかったことが原因と考えられるそうです。
そして別の場所では、より深刻な状況も…。
【京都府立植物園樹木医 中井貞さん】「あちらには、だいぶ傷んだ葉っぱが付いてる状態が見ていただけます」
【記者】「確かにしわくちゃになって…」
見つかったのは、枯れたまま枝に残ったモミジの葉。
【京都府立植物園樹木医 中井貞さん】「枝にも影響があって、枝自体が枯れていってると考えられる」
(Q.ここまでなることはない?)
【京都府立植物園樹木医 中井貞さん】「ないですね。かなりひどい状態」
今年の猛暑はあまりにもひどく、落葉樹なのに葉を落とすことができず、枝ごと枯れる現象が見られるといいます。
では、今年はきれいな紅葉は見られないのでしょうか?
【京都府立植物園樹木医 中井貞さん】「きれいになる可能性はあります。大分気温が下がってきてるので、これから傷む葉は少ないと思う。今残ってる葉っぱがきれいに色づくかどうかかなと」
■異常な暑さの影響で返り咲きする桜
そして、気象の変化は日本を代表する“あの植物”にも影響を与えていました。
【京都府立植物園樹木医 中井貞さん】「ことしなんかは、“狂い咲き”してる桜の個体が多いと、随分聞いた」
(Q.京都府立植物園でも咲いた?)
【京都府立植物園樹木医 中井貞さん】「咲きました」
春に咲くはずの桜が、異常な暑さの影響で、この時期に咲くというのです。
■兵庫県で発見 「まさかまさか」“季節はずれの桜”
季節外れの桜は、本当に咲いているのか?
取材班は、桜の名所がある兵庫県西宮市に向かいました。
スタッフが何本もの桜の木を確認しますが、なかなか見つからず、諦めようとしたその時!
【記者リポート】「あっあっありました!1個だけですけど、桜のつぼみが開いてます」
ちょっと季節はずれだなと思いますが…冬に入る前に咲いた桜。
京都府立植物園の中井さんに確認すると「ソメイヨシノで間違いないだろう。“季節はずれの桜”と言っていい」ということでした。
【近くの住人】「あー!咲いてますね。えー知らなかった。まさかまさかです」
【近くの住人】これから寒くなるけど、あったかい気持ちになりますね」
(Q.桜って好き?)
【こども】「さくらしゅき」
秋の紅葉、春の桜、これまでの当たり前の景色が見られなくなる日がくるのでしょうか?
(関西テレビ「newsランナー」2025年11月11日放送)