橋下氏「米価格は上がっていく」 鈴木農水相「需要に応じた生産が原理原則」受け さらに「『お米券』で値下げは“社会主義的”」指摘「増産なければ若い人は入ってこない」“農家の先細り”を懸念 2025年10月28日
臨時国会が開かれる中、高市政権が最重要課題としているのが、物価高対策です。
いまだに高騰が続く米の値段はどうなるのか。新たに就任した鈴木農水相は、「需要に応じた生産が原理原則」と就任会見で話し、石破政権時代に掲げた「増産方針」から転換することを示唆しました。
また高騰する米価格への対応として、備蓄米の放出ではなく、「お米券」を配布して購入費用を補助する考えを示しました。
この方針転換について橋下徹さんは「国家が全面に出すぎ!」と題し、「資本主義社会では、需要と供給=供給量・生産量というのも民間に任せて、価格が低下しすぎて農家の生活が苦しくなった場合のみ国が介入する」と指摘。
今回の鈴木大臣が発表した方針は「米の価格を高いまま維持させるもので、それをお米券で救済するのは社会主義みたいなもの」と持論を展開しました。
■高市政権は『国家が全面に出すぎ!!』橋下徹氏が指摘
【橋下徹さん】「『国家が全面に出すぎ!!』。これ高市さんの特徴なんです。高市さんだけじゃなく、今回自民党と維新の連立合意書の中にも入ってますけども、”自立した国家”なんですよ。
もともと維新は”自立した個人”が一番上で、『国家はその手段で個人が目的だ』なんですけども、“高市さん的な考え方”は、国家がまず目的なんです。
これは自民党の中に考え方が2つ分かれていて、“もっと民間の経済活動を重視していく”という考え方と、“国家が全面に出るべきだ”という考え方が、ごちゃまぜになっていて今、高市さんは国家を全面に出すべきという考え方」
■「産業政策も国が全面に出る政権」
青木源太キャスターが「それは今回の米のみならず、あらゆる面でということですか?」と質問すると、橋下氏はこう答えました。
【橋下徹さん】「だから産業政策についても、とにかくどんどん財政出動して、AIだとかロボットだとか宇宙だとか、国が決めた産業の所に、どんどんお金を入れていくってことなんですよ。
これはステレオタイプ的に民間がいいのか、国家がいいのかということではなくて、あくまでもこのバランスなんですけども、高市さんは今回、国家を全面に出す政権なんです」
■「お米券は社会主義的なやり方」
橋下氏は米政策についても指摘を続けます。
【橋下徹さん】「米についても、確かに価格について、実際は(国が)需要と供給を調整して、生産量を調整して、価格のコントロールに入ってるんですよ。だから価格が上がっていきます。
価格が高くなったら『お米券を配ったらいい』と(鈴木農水相は)言いますが、これって社会主義みたいな国がやることです。
医療でも(費用が)高くなったら”医療券”を出すのか。他の野菜でも何か高くなったら”野菜券”を出すのか、となってしまうでしょう。
高く価格を維持して、あとはクーポンみたいなもので、国民の負担を和らげるというのは社会主義的なやり方なんですよ」
■「資本主義と社会主義の違い」
【橋下徹さん】「本来、資本主義のやり方というのは、需要と供給=供給量・生産量というのも民間に任せておく。
ただあまりにも価格が低くなって、農家さんの生活が苦しくなった場合だけ、『国が出ていきますよ』ということをやる。
高市政権、鈴木農水相のやり方は、そうではなくて全面に国が出てきて、『米の価格は高止まりで維持しますよ』ということを言っているに等しいんです」
■「米は特別な存在」との意見に
ここで青木キャスターが「この番組でも米価格について放送してきて、米って国民にとって特別なものなんだなっていう印象もあって。スーパーにお米がないとちょっと不安な気持ちになります。また、食料安全保障という点でも、米政策を国にちゃんとやってほしいという思いもある」と発言。
橋下氏は「政策はやったらいい」と同意した上で、「高い価格を維持するところまで国がやるべきなのか」と主張しました。
【橋下徹さん】「高い価格を維持するところまで国がやるのかどうかですよね。生産量は、鈴木農水相が言うには、今後10年ぐらい見通して、どんどん増やすだけじゃなくて、日本人が必要な量に合わせた生産っていうんだけど、今まで農水省が、それを把握できてなかったわけじゃないですか。
データが全然いい加減で、これは農業に限らずありとあらゆる分野で、官僚達は自分が予測できると思ってるわけ。
『これ予測できないでしょ』というのが、『市場に任せましょう』という考え方で、僕は鈴木さん(大臣)がちょっと前時代的、古い官僚の考え方だと思う」
■石破前首相の反応
番組ではさらに、“米の増産方針”を打ち出していた石破前総理に、番組開始直前に話を聞いたという、ジャーナリストの鈴木哲夫さんが発言しました。
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「(27日)午後1時過ぎ※に電話しました。ちょうど移動中だったんだけど、電話出てくれて、それで取材したんですけど、どう思うかといったら、『米政策を戻すのであれば、これは米改革の否定だ。ちゃんと説明をすべきだ』と、かなり強い口調で(話した)」
※番組開始は午後1時50分
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「石破さんにしてみるともう10何年、14、5年かけての米改革でしたからね。だからそういう思いも非常にあったし、(米政策について)考える良いチャンスが来たわけですよ、この米不足は。
農家の補償から、(需給の)データなどがもういい加減だと。それから流通をしっかり見直したほうがいいんじゃないか、と。 また安全保障上、備蓄米というのは、こういう時に出すためのものではなく、何か災害があった場合に出すというものだから。
もう少し(生産して)それで輸出もしていく、こんな改革を石破さんは出したわけですよね」
■橋下氏「鈴木大臣は“今の農家さん”しか考えていない。新しい人入ってこない」
さらに橋下氏は若い世代の農家への影響も懸念します。
【橋下徹さん】「鈴木大臣は、目の前の”今の農家さん”のことしか考えてないわけ。増産しない世界に、若い人たちが職業として入ってきますか?
日本の国内の需要は、どんどん減っていくんですよ。それに合わせての生産といったらどんどん先細りしていく。ということはもう農家さん新しい人入ってこなくていいの?と。
自民党が組織として本当に弱まっているのは、これぐらいの180度の転換するんだったら、自民党内でもっと大きな議論をやってやらないと。1人の総理と1人の大臣が変わることによって、パッとここまで変わるってのは、ちょっとこれは日本の政治の弱さを表してますよ」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年10月27日放送)