「弟が『ふにゃふにゃ』と言っていて」石原伸晃が明かす高市内閣の閣僚人事と論功行賞の舞台裏 高市首相誕生で「政治が右に旋回」か 自民・維新連立の行方と解散総選挙のタイミングを青山和弘氏が分析 2025年10月22日
総理大臣指名選挙が行われ衆議院では1回目の投票で、自民党の高市総裁が過半数を獲得しました。
自民党の元幹事長で、政治ジャーナリストの石原伸晃さんは史上初女性の首相誕生の瞬間について、「高市さんがきのう(20日)、(日本維新の会)吉村さんと合意文章に署名した時は、笑顔でしたけども、選出されたと言われた瞬間、顔がぴゅっと険しい顔になったのが、すごく印象に残りました。責任をこの瞬間、感じられたんだと思いました」と語りました。
■政策協議1週間は『超短期間』 自・自・公連立では『1年近く、あーでもねぇ、こうでもねぇ』
この3週間、振り返れば自民党の総裁選が終わってから、色々な事がありました。
【石原伸晃さん】「10月4日に『働いて働いて働いて』と高市さんが言ったら、10月10日に公明党が、『はいさようなら』。そうして玉木さんに『アイラブユー』とずっと言っていたのに、玉木さんは『え、公明党がいないの?じゃ一緒にやんないよ』。『困ったな私は、総裁になったけど総理になれないかもしれない』という自虐ネタまで」
【青木源太キャスター】「『かわいそうな高市早苗です』というような発言もありましたからね」
【石原伸晃さん】「それからトントントン拍子で1週間ですよ。政策協議に1週間というのは、これ超短期。私の政治経験の中で、小淵内閣の時に、自民党と小沢・自由党と公明党が一緒になった連立を経験してるんですけれども、大体1年近く、『あーでもねぇ、こうでもねぇ』と(政策協議を行った)。
まず自由党の小沢さんと自民党が一緒になって、そこに公明党が入ってきた時の私は、これまで野党ですから、さんざん自民党のこと悪口言ってたやつが来るわけですから、これはね本当にびっくりしましたけど、今度もまた吉村さんのこの1週間のハイテンションに驚きました」
■1回目の投票で過半数を超えた意味
首相指名選挙の投票結果(1回目)はこのようになりました。
自民・高市総裁 237票
立憲・野田代表 149票
国民・玉木代表 28票
高市氏が237票で1回目の投票で過半数を超え、立憲民主党の代表は149票、国民民主党の玉木代表は28票という結果になりました。
【関西テレビ 神崎博解説デスク】「維新と自民だけでは過半数に届かないと、1票から2票ぐらい足りないということで、自民党を中心に有志の会など、いわゆる無所属の人に声をかけて、水面下でやっていたので、その人たちが一定数、高市さんの名前を書いて、1回目の投票で過半数を超えたという状況です」
【青木源太キャスター】「そのあたり動いたのは麻生氏でしたよね」
【石原伸晃さん】「表で麻生さんが動いてましたし、高市さんの周りの人も個別に電話をして、リクルーティングして、『協力お願いします』ということで。
これ、よかったと思うんですよ。1回目で過半数、今参議院でも同じことやってますけれども、参議院は多分1回目では過半数いかないと思うんですね。
政治の安定ということをずっとおっしゃってたんですよね。この衆議院で1回で過半数を取ったということは、そういう安定した政治を進める上で、門出としてはすごくよかったと」
【青木源太キャスター】「自民と維新を足しても、過半数届かないわけで今後の法案成立を考えたらその都度協力を仰がないといけないけれども、この首班指名において1回目で取れたというのが大きいと」
【石原伸晃さん】「大きいと思います」
■無所属議員が高市氏に投票で自民と共同会派の可能性
(高市氏に投票した無所属の方のメリットは?)
【石原伸晃さん】「どなたが入れたかまでは、今の段階じゃわからないんですけども、この後『私入れたよ』と言っていただければ分かるんですが、維新をやめた方も会の中にはいて、その方々は多分、考え方は一緒ですから、党内抗争の中でついていけないと多分出られた方々ですから、もしかしたら会派として“自民党・何とか”という形で一緒にやることも、実は可能なんです。
そうすると自分たちが質問もできる。そして与党の側にいますから、政府の行政の側の出す資料も全部手に入れることができる。そういう動きはこれから。今決まったばっかりですから、断定的なことは申しませんけれども、そういうこともこれから起こってくるんじゃないかと思います」
■「大きく政治が右に旋回していくきっかけになるのでは」と青山氏
政治ジャーナリスト青山和宏さんが首班指名選挙が終わった国会議事堂の前から解説します。
【青山和弘さん】「104代の総理ということですが、憲政史上初の女性ということで、歴史の針が1つ回ったということですよね。『おおー!』という大歓声がこだましていたのが私も非常に印象的でした」
【青山和弘さん】「(高市総裁は)にこやかというより、緊張した表情を見せていましたね。うれしさの中にも、やはり『これからだ』ということだと思います。
今、外交が特に非常に厳しい状況ですから、その重み、厳しさを高市さんが一番分かっているのではないでしょうか」
長らく自公政権を取材してきた青山さんですが、自民と維新の連立については「政治が右に旋回する」と指摘します。
【青山和弘さん】「自民公明で26年間連立を続けてきました。ただ、この前の参議院選挙の結果でも分かるように、票がだいぶ減ってきています。そんな中で公明党が離れて維新、これは大きく政治が右に旋回していくきっかけになるのではないかと見ています。
特にきのう(20日)の連立合意の内容で見ても、非常に保守的な内容が多いんです。男系男子の皇位の継承もそうですし、例えば原子力潜水艦を念頭にした開発推進のようなことも盛り込まれていたり、色んな意味で大きな節目を迎えている。
ただこの政策が、これからどんどん進んでいくかどうか。
まだまだ野党も、(自民党内の)抵抗勢力大きいと思いますし、自民党の中にもリベラルな人たちは少なくないんです。そういう人たちをうまくコントロールしながら、自分のやりたいことを進めていけるかどうかが、これは高市政権の大きな鍵を握ると思います」
■高市首相が強くなるためには「解散総選挙のタイミングが焦点」
高市首相が誕生したばかりですが、いつ「解散総選挙」に打って出るかがポイントになるのでしょうか。
【青山和弘さん】「これは実際、維新の側からもオーダーが出てるようなんですが維新の会としては、『ある程度は連立で(政権運営を)続けてほしい』。
一方で高市さんが本当にやりたいことを続けるために、強い総理になるには、どこかで解散を打って、国民の支持を得ることは必要だと思う。
今のままだと閣外協力ですから、維新もいつ離れてしまうか分からない。そして参議院も(過半数割れの)厳しい状況にある。
そんな中で自民党の議席を少しでも増やす、国民の信を得るということが、高市首相が強くなって続けていくためには必要だと思います。
それを小泉純一郎さんも、そして安倍さんも。選挙で勝ってあれだけの長期政権、やりたいことが一定程度できたことを、高市さんも学んでいると思います」
そのためには結果をすぐに出さなければいけない?
【青山和弘さん】「ガソリンの暫定税率を下げるとか、補正予算とか物価高対策をやったところで、支持率が高ければ、そういう誘惑に駆られるかもしれない。
ただ高市さんは政策を進めたいという思いもあるでしょうから、そのあたりがどのように今後転んでいくか、これも政局の大きな焦点かなと見ています」
■大臣内定報道に弟は「ふにゃふにゃ」
首班指名選挙に先立ち、高市氏は閣僚人事に着手していました。
高市政権の閣僚の顔ぶれの中に石原伸晃さんの弟の石原宏高さんの名前が上がっていますが、伸晃さんは事前に宏高さん電話をしたということです。
【石原伸晃さん】「『なんか共同通信が(大臣内定と)打ってるぞ』と言ったら、そしたら『ふにゃふにゃ』と言っていて」
【青木源太キャスター】「その『ふにゃふにゃ』を教えてくださいよ」
【石原伸晃さん】「『ふにゃふにゃ』聞きたいですか?言っちゃいますけど。『今回は(総理から)電話がかかってきても何大臣を頼むって言わないみたいだよ』みたいな。そんなことないんですよ。私も大臣を何度もやってますけど、『何々大臣を頼みます』って電話かかってきますから。
だから何となくそうなのかなと思ったけど、それ言っちゃかわいそうじゃないすか。言って大臣にならなかった人、小泉内閣の時にあるんですよ本当に。これまで『私が大臣になります』なんて言ったら、名前がないみたいな。親族ですから静かにしてたんですけども」
■維新が譲れない「副首都」をさばく政界119番の林氏
党役員人事においては、「論功行賞の色が強い」と言われています。
政権を前に政策を進めていくのであれば、政策本位で進められる人材にして欲しいという願いがあります。
【石原伸晃さん】「論功行賞が分かりやすいのは、これまで反主流だった人が主流になって、主流だった人が反主流になったと。亡くなった安倍総理は、石破さんのこと大嫌いだったんです。だけども幹事長にしたわけですよ。そういうことをやった方が良いんじゃないかと私は言ってるんですけども、幹事長に安定感のある鈴木俊一さんを選んだわけですね。
党3役だとやっぱり応援してくれた、考え方の近い方を入れてますので。
閣僚はこれから、本当にこの人で物事が進むっていう、そういう人事(になる)。
私が注目しているのは外務大臣の茂木さん。この人はあのトランプ大統領をして、『お前はおっかない顔してんな。タフなネゴシエーターだ』って。これ晋三さんから聞いた話ですけどね。そういうふうに向こうからも一目置かれてる。
(財務大臣に内定した)片山さつきさんはエネルギッシュですよ。僕は(片山氏の)旦那さんが、中高大学の同級生なんだけど、もう旦那さんが主夫やっていますよ。そのぐらいパワフル」
【青木源太キャスター】「財務省財務大臣は今、物価高に苦しんでる国民が多い中で、とても重要なポジションですよね」
【石原伸晃さん】「重要ですね。要するに財布を持っていますからね。
それとやはり注目は総務大臣の林芳正さん。維新が政策として、『これだけは!』と言っている“副首都構想”ですが、これよくわかりません。これまで言ってきた、大阪の市と府を1つにする『都構想』とどう違うのか分かりませんけれども、これは総務大臣の管轄になりますよね。もしそうだとしたらここはすごく重要ですね」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年10月21日放送)