橋下徹氏「今の野党には“訓練”が必要」と指摘 政権を担うため「自民に“法案ぶつけて通す”訓練を」提言“次の政権はトランプ氏訪日前に”の動きには「安易な数合わせ」否定し「石破総理続投かも」 2025年10月16日
公明党が自民党との連立政権から離脱することを表明する中、来週 21 日にも臨時国会が召集され、指名選挙を経て新たな総理大臣が決まる見通しです。
最大野党の立憲民主党は、国民民主党や日本維新の会に連携を呼びかけていますが、政策の違いなどを理由に両党は立憲との連携には慎重な姿勢を崩していません。
さらにきょう=15日には、自民党の高市早苗総裁が立憲・野田代表、国民・玉木代表、維新・吉村代表と相次いで会談します。
“次の総理大臣”は誰になるのか。与野党の駆け引きが続く中、関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」で橋下徹さんは、「今の野党には“訓練”が必要」と指摘し、政権を担う前に自民党などと交渉し「過半数を取って法律を通す訓練をすべき」と述べました。
またトランプ大統領が日本を訪れる予定の10月下旬までに新たな政権を発足させようという動きについては、「安易に数合わせで作ってはいけない」として、「石破総理を続投させて政権の枠組みを作る」という持論を示しました。
※15日午後2時ごろの情報に基づく内容です。
■「ヨーロッパでは少数与党の政権発足に数カ月」日本も同様に?「石破総理続投かも」
橋下さんはまず、番組放送中に始まった高市総裁と立憲・野田代表の会談について、「同じ政権を担わなくても、政策での一致や補正予算への協力を探る話がある」と狙いを解説。
その上で、ヨーロッパなどで、どの党も過半数に達しない少数与党が政権を担う場合、「政権発足まで数カ月かかることもある」と指摘し、「安易に数合わせだけで数週間で政権をつくったら国家として危うくなる。つくるまでは石破総理が続投するかもしれない」と述べました。
【橋下徹さん】「今までは自民党・公明党が過半数持っていたので、野党はほとんどやることなかった。国会で文句言うだけ、スキャンダル追及するだけ。でも、やっと今、高い給料に見合うだけの仕事を野党がやり始めてる。
僕はこれいいことだと思う。ヨーロッパでは、少数与党でどの党も過半数ない中では、政権ができ上がるまで数カ月かかっている。
『“どこ”と“どこ”が組んで、政権を担います』『責任を全部負います』なんて、数週間で(の合意)は無理。ドイツでは長いときは6カ月かかっている。
その間は、前の首相がずっとやるので、(今回は日本でも)政権の枠組みができるまでは、石破さんが暫定的にやり続けるかも分からない」
■トランプ大統領訪日に合わせ「“安易に数合わせ”で政権作ったら危うい状況に」
自民党の『総』裁と『総』理大臣をそれぞれ別の人が担う「総総分離」という状態です。
【橋下徹さん】「僕は政権の枠組みをしっかり作るまでの間は、石破さんがやるというのは1つの手段だと思います。だから僕らの方も焦っちゃいけない」
【青木源太キャスター】「トランプ大統領の来日までに新総理大臣を、というスケジュールで動いているように見えます」
【橋下徹さん】「焦っちゃいけない。政権って国家を担う“経営陣”ですから。そこを安易に簡単に数合わせだけで、1週間、2週間で『トランプさんが来るからもう作りましょう』なんてことを、僕らも求めたら国家として、本当危うい状況になる」
【ウエンツ瑛士さん】「実際に、もし『総総分離』になった場合、各国のトップはどこまで日本を本気で相手してくれるんですか」
【橋下徹さん】「本気で相手しません。ヨーロッパの政権を作るプロセスでも、そうなんですよ」
【青木源太キャスター】「それで国益を損なうという面はないんですか」
【橋下徹さん】「それはあります。でもこういう政治の状況を作ったのは、国民です。選挙のときに、1つの政党に過半数を与えるということを、僕らが選ばなかったわけですから、僕らはある意味そこは我慢しなきゃいけない。政権ができるまでは。安易に簡単に作っちゃいけない」
■「今の野党が政権を担えるだけの能力があるか」
そして、野党による連立政権を望む声については、次のように指摘しました。
【橋下さん】「野党や、自民党が嫌いな評論家たちは、『野党が政権を担ったらいいじゃないか』と言うんですけど、これは国政とは違いますけど、僕が知事・市長になった経験からすると、行政権を担うっていうのは本当に大変だから。
僕ら選挙で国会議員を選ぶ時に、国会議員の能力なんかチェックしてないじゃないですか。本当に今の野党の国会議員で、政権を担えるだけの能力があるかどうかを、野党の方もしっかり客観視してみなきゃいけない。力がないのに勢い・感情だけで、『やるぞ』というのは、一番危険だから」
■立憲は“総理指名”候補一本化に前向きも 国民は慎重姿勢崩さず
実際に野党が総理指名で候補を一本化できる可能性はあるのでしょうか。立憲民主党は一本化に前向きな姿勢を示していますが、国民民主党は政策の違いから慎重な姿勢を崩していません。
立憲の野田代表と国民の玉木代表はそれぞれこのように話しています。
【立憲 野田代表(10月12日)】「政権奪取は十数年に1回のチャンス。お互いの違いばかりを強調して、一致点を見いだす努力をしないのは、責任ある態度ではない。玉木代表には“のりしろ”を持って協議に応じてほしい」
【国民 玉木代表(10月13日)】「首相ポスト狙いで基本政策を曲げることは断じてない。特に安全保障はしっかりと一致させることが不可。立憲には現実的な安保政策に転換するよう求めたい」
【関西テレビ 江口茂解説デスク】「立憲民主党としては、野田代表を総理にしなくてもいいので、そこまで譲歩しているんだから、この“のりしろ”というのは、多少、国民民主党の方も、妥協をする点が必要ですよというメッセージを出している」
そして15日午後4時から、この両代表に維新の藤田共同代表を加えた党首会談が予定されています。
■野党に必要なのは「もめた問題どうやって決めるか“意思決定”の仕組み決めること」
【青木源太キャスター】「国民民主の玉木代表の発言を聞いていると、例えば安全保障やエネルギーの分野で、(立憲側に対し)『現実的な転換を求めたい』としていて、あんまり譲歩しなさそうだなとも思うんですけれども、そうなると立憲側がこの点で譲歩するという可能性はないんですか」
【橋下徹さん】「それが本当に一番重要なところで、安全保障は国の根幹に関わるところですから、それで意見が一致してなかったら政権なんか担えないですよ。
もう1つは野党に“訓練”が必要だと言ったのは、今政策の一致の話ばっかりしてるでしょ。でもね、政権を担った時に、出くわす政策はもう何千とある。その1個1個を合意することは無理じゃないですか。
本当は一番決めなきゃいけないのは、“もめた問題に対してはどうやって決めますか”という、意思決定の方法。こっちを議論しなきゃいけない。
多数決で決めるのか。でも多数決でやったら維新とか国民は人数少ないでしょ。そしたら3党首の3人の多数決でやるのか、とか。
この“意思決定の仕組み”を先に決めなきゃいけないのに、今政策の議論してるというのが、そもそも野党の方としてはまだ慣れていない。
ヨーロッパの方はまず何を決めるかというと、どうやって意思決定しますかっていうことをまず決めるんですよ」
■「“弱い自民党”に政策をぶつけて法律を成立させる訓練を」と橋下氏
さらに橋下さんは、立憲・国民・維新が一致して政権を担ったとしても、過半数に達せず、ほかの党と協議して連携しなければ政権運営ができないため、「政権を取る前にまずは自民党に政権を担わせた上で、協議などを経て過半数を取って政策を実現させるという“訓練”を積むべき」と述べました。
【橋下徹さん】「立憲民主党と国民民主党と維新が仮に3党で一致しても、過半数ないんですよ。そしたら過半数を取るために、いろいろな党と協議しなきゃいけない。
そうであれば、僕は“自民党の政治が全部正しい”、“自民党の政治が全部残ってくれ”とは全然思わないですけど、仮に自民党が高市総理になったとしても、少数与党。しかも石破政権の時よりも、もっと弱い自民党になるので。
野党がしっかりと自民党にいろんな政策をぶつけて、そこで過半数を取っていく、多数をとって、法律を成立させるっていうことの訓練を積み上げて、そのあとに政権を取るんだったら取ったらいいと思う。
だから『政治とカネ』の改革=政治資金規正法の改革も今、立憲と維新と国民と公明党で合意ができてる部分があるから、1回通してみなさいよと。それ1つやって、2つ目、3つ目、4つ目と法律を通して、その次に政権じゃないですかね」
■「候補者の調整すらできなかった」 野党が政権を担えるのか
次の総理大臣を決定する指名選挙は、早ければ21日に実施される可能性があります。
立憲、国民、維新が一致することはできるでしょうか。
【橋下徹さん】「無理!無理!意思決定のルールができれば、安全保障についても、エネルギーについても意見の違いがあったとしても、決定はできるようになると思う。今の段階で一緒になったとしても、何か出るたびに、『もめて、もめて』になりますよ」
【ウエンツ瑛士さん】「今回、降って湧いたように総理大臣を誰にするかということで政策を合わせるとなってますけど、もともとは選挙があった時ですら、選挙区の調整も、合わせられなかったわけじゃないですか、野党では。
21日にトップを決める時に、そこまでまとまるのかなっていう心配はあれど、ただ橋下さんがおっしゃるように色々訓練は必要でも、与党に入ってできる訓練もあるのかなって思うところも多少はある」
【橋下徹さん】「ただ与党に入っても過半数取れないので、ポイントは“候補者の調整すらできなかった”んですよ、野党は。もうそれが政権担えるんですかってこと」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年10月15日放送)