公明“連立離脱”で「総理大臣指名選挙が大きな焦点」と青山和弘氏「立憲・国民・維新一致なら“玉木総理”さらに公明加われば過半数超えた“連立政権”可能性」 離脱背景「党勢衰退は“自民のせい”」公明内の不満 2025年10月13日
10日、公明党の斉藤代表は26年にわたって続いてきた、自民党との連立から離脱すると発表しました。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した政治ジャーナリスト青山和弘さんは“連立離脱”について、「これまでの政治の風景を変える大きな出来事で、世論がどう受け止めるか。公明党と野党が総理大臣の指名選挙にどう対応するかが大きな焦点になる」と指摘。
また番組では、この“決着”に至るまで、10日に開かれた自民党と公明党のトップ会談などに触れつつ、背景や情勢について、解説しました。
■公明党の「政治とカネ」の改革案 高市総裁周辺「丸飲みしても」の声も…
※以下10日午後2時50分ごろ時点の情報をもとにした解説より
10日の自民党と会談が始まり1時間以上がたっており、この状況について青山さんは「1時間と言うとそれなりに長い時間です。単に会談して決裂する、もしくは合意するというのであれば、こんな長い時間かかりませんので、何か実質的な話をしているということで間違いない」と話します。
【青山和弘さん】「公明党が条件を突きつけて、『これを飲まなければ離脱する』という、ある意味覚悟を決めているんだと思います。それを高市総裁がどうやったら引き留められるのかといったところで、色々なやりとりが続いてるんじゃないかと推察されます」
【青木源太キャスター】「やりとりがこれだけ続いているということは、政治とカネに関して、公明党側の要求を、高市新総裁が飲むというのも考えられますか?」
【青山和弘さん】「実は高市さんの周辺を取材しますと、『公明党の言ってることを丸飲みしてもいいんじゃないか』という声もある。ただ一方で、丸飲みするということは、地方議員が企業団体献金の受け口が失われるということになりますので、地方を切って公明党を取るのかという批判の声もある。
こうした中で、例えば細かい制度設計とか、公明党が離脱したにしてもその先で野党と協力するのか、それとも自民党との協力性を続けるのか、こうした条件面での話も続いている可能性はある」
■公明党が態度硬化させた背景に党内の声「党勢衰退“政治とカネ”抱えた自民とやってきたから」
【青木源太キャスター】「一方で、これまで1999年から26年の長期にわたって連立政権を組んできた公明党が、ここまで態度を硬化させているその背景というのは何なんでしょうか」
【青山和弘さん】「公明党がこのところの選挙で非常に党勢が衰退していっています。小選挙区でも落選する議員も出てくる、そして比例代表の票も減っている。これは『政治とカネの問題を抱えた自民党と一緒にやってきたからだ』という反省が、公明党の中にある。
さらに高市新総裁が、そういった公明党の意見を配慮しようとしないんじゃないかと。
例えば、政治とカネの問題が取りざたされる萩生田さんを幹事長代行につけたり、先に国民民主党と連立協議を始めるような態度に出たり、『なめられてたまるか』という声が、公明党の内部から聞かれてくる。感情的なもつれも大きいと見ています」
■公明党を「がん」と言ったことも麻生氏の影響も
高市新総裁の役員人事を見ると、麻生氏の影というのが色濃く出ています。
【青木源太キャスター】「これが今回の公明党の動きに影響を与えてる可能性というのはありますか?」
【青山和弘さん】「もちろんあります。萩生田さんを幹事長代行にしたのもそうですし、麻生さんは自分も公明党の支持を受けずに選挙で勝ってきていますし、かつて公明党のことを『がん』と表で言ったこともあるぐらい公明党嫌いで知られている。こうした、ありとあらゆることが公明党にとっては面白くない。そういった状況の中でここまでこじれているんだと言えます」
【青山和弘さん】「高市政権にとっては、確かに選挙のこととか、国会での今後の展開を考えると、公明党を失うのは大きいんですが、これによって『内閣支持率はかえって高くなるんじゃないか』という声もなくもない。 この辺もいろいろな思惑が自民党内にもあるということです」
■自民党内は連立“維持・解消”どちらが優勢だったのか
【青木源太キャスター】「公明党の案を丸飲みしてでも連立を維持したほうがいいと考える人たちと、丸飲みはできないと考えてる人達が自民党内にいると思うんですけれども、今どちらの勢力が自民党内強いんですか?」
【青山和弘さん】「これだけ選挙互助会的な性格も持っている連立ですから、公明党と離れたら大変なことになる。今後の国会運営がものすごく不安定になるのは間違いない。なので『連立を維持すべきだ』という声が多いです。
ただ憲法改正を筆頭に政策も相容れない点がありますし、ここは『分かれた方がすっきりする』という意見ももちろんあるんです。
それはだから高市さんの覚悟が、まさにここは問われていると言っても過言ではないと思います」
■“連立解消”「仮に立・維・国に公明党加わるとすると過半数を超える連立政権できる可能性も」
【青木源太キャスター】「議席数を見てみると、自公でも過半数には達していないという中で、自民と公明が分かれるということになれば、本当に野党の動きも含めて、政局混沌としてきますよね」
【青山和弘さん】「過半数が233なのに、自民党単独だと196しかないわけです。立憲と維新と国民が仮に投票行動を同じにすると、これだけで210になりますから、この3党で自民党の票数を上回ってしまう。
総理大臣の指名選挙は過半数ではなくて、多数を取った人が選ばれるので、この3党(立・維・国)で、例えば玉木さんでまとまれば、“玉木総理”になる可能性もある。
さらにこの3党に、公明党が加わることになると、何と過半数を超えた234になるということで、過半数を超えた連立政権もできる可能性がある。これはもちろん簡単じゃなく、机上の空論かもしれませんが、こういうことにもなりかねないという意味で、自民党にとっては厳しいということなんです」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年10月10日放送)