青山和弘氏が指摘 麻生氏“乗り換え”理由は「小泉氏の周辺が気に入らなかった」か 麻生氏の戦略に青山氏「前代未聞。私も読み切れず」 自民党役員人事は「”麻生支配”の下での高市カラー」 2025年10月08日
自民党総裁選で「小泉農水相が優勢」という予測もあった中、最終盤に逆転を果たした高市総裁。
新たな執行部が発足しましたが、課題が山積する中での船出となりそうです。 7日放送の「旬感LIVE とれたてっ!」では政治ジャーナリストの青山和弘さんが出演。
青山さんは、「麻生最高顧問が小泉農水相も容認している」と以前番組で解説しましたが、高市総裁を支持したことについて、「小泉農水相周辺にいる人のことが気に入らなかった」と解説しました。
また高市総裁が決めた自民党の役員人事については「”麻生支配”の下での高市カラー」と指摘し、麻生最高顧問の影響力が強い鈴木俊一現総務会長を幹事長に起用した一方で、萩生田元政調会長など自分に近い議員を起用したと説明しました。
■麻生氏“心変わり”の理由は「小泉氏の周辺が気に入らない」
【青山和弘さん】「小泉さんは最初から割と有力だと言われていて、陣営に”緩み”があったということもあったと思います。あと、党員票が高市さんに出た、それによって党員の意思を無下にしていいのかというプレッシャーは想像以上に自民党議員にとって強かったと思います」
【青木源太キャスター】「麻生最高顧問が『小泉農水相も容認している』という取材も青山さん、一時期されてましたけれども、結果的には麻生氏は高市支持に回りましたね」
【青山和弘さん】「麻生さんも最終的な決断をしてなかったんですよ。
『今回小泉さんでもいいんじゃないか』と言っていた。その方向で話も進んでいたんですが、高市さんは麻生さんの支持を取り戻そうと、ものすごく工作も仕掛けたわけですよね。
一番麻生さんが心変わりした理由は、『小泉さんの周辺にいる人たちがどうも気に入らない』と。例えば平デジタル大臣。名前出して申し訳ないんだけども、『麻生さんも影響力が下がった』ってはっきり言ってこれ犬猿の仲なんです」
【青山和弘さん】「あと例えば木原誠二さんとか、麻生派を出ていった人とかが小泉さんの周りをガッチリ固めている。 『自分が影響力を示せない』という状況の中で、『党員票も意外と高市さんに出そうだ』と。 高市さんの陣営から『人事は麻生さんにお任せしますから』というメッセージも出てきて、最後麻生さんがものすごい“戦略”を立てた。
この“戦略”は私も読み切れなかったんですが、ギリギリ決選投票でひっくり返すという大技をなしとげる結果になったと思います」
■「”麻生支配”の下での高市カラー」と青山氏
さらに、注目の役員人事も正式決定しました。
党のナンバー2「幹事長」は鈴木俊一現総務会長(麻生派)、政調会長は総裁選を戦った小林鷹之元経済安保相、総務会長には有村治子両院議員総会長(麻生派)。選挙対策委員長には高市総裁の推薦人代表だった古屋圭司氏、麻生最高顧問は副総裁となりました。
青山さんはこの人事をズバリ「”麻生支配”の下での高市カラー」と指摘します。
【青山和弘氏】「(高市総裁側が)『麻生さんに人事はお任せします』というメッセージを出した以上、麻生さんの希望を一番叶えるっていうのは仕方のない部分なんです。
鈴木俊一さんというのは麻生さんの”義理の弟”でもありますし、麻生さんがもし引退したら麻生派を継がせようと思っている人なんですね。 この人に幹事長をさせるということは、麻生さんがかなり早い段階から言っていました。
仮に小泉さんが総裁になっても、幹事長は『鈴木さんがいい』。政調会長は『小林さんにしてほしい』ということは言ってたんですね。 『小林さんは総裁には早いけど、1回経験を積ませたい』と言っていた。だからその通りになったんです。そういう意味では麻生支配が強い」
【青山和弘氏】「けれども高市さんは、石破さんが自分のカラーを出せなかった反省は『チームをつくれなかったから』と考えている。 (党役員人事の)残りのところはバーンと自分のカラーを出した。特に幹事長代行に(任命した)萩生田さんは、『裏金議員』という批判を浴びるのは、しょうがない。 それはあるけれども、自分が一番信用している人を幹事長代行にして、ある意味、事実上の幹事長をやらせよう、と。 そして女性は必ず入れるってことで有村治子さん(総務会長)を麻生派から入れて。選挙も大事なので、選挙対策委員長に古屋圭司さんっていう一番、自分を支えてくれた人を入れるっていうカラーをしっかり出した。 石破さんの反省を生かしたということだと思います」
■”麻生氏・鈴木氏”がいる中でどう「高市カラー」出せるか
一方、幹事長になった鈴木俊一現総務会長は、「積極財政」を掲げる高市総裁とは経済政策における考え方が違う人物です。
青山さんは、「積極財政はインフレを引き起こす恐れもあり、バランス感覚が問われる。高市総裁の手腕が問われるところ」と話します。
【青山和弘さん】「これから高市さんの手腕が問われるところだと思います。例えば国民民主党が求めているような政策は、一定程度やっていかないと協力はもらえない。
けれども、消費税減税までいけるかっていうと、鈴木さんや麻生さんがいるとなかなかできないだろうと。 一方であまり赤字国債をばんばん出すようなことをやると、株にはいいんだけれども、やっぱり物価が上がっちゃう可能性もあるんですね。
この物価のコントロール、インフレをどう抑制するかも考えながらやらなきゃいけない。 株が上がるのはいいんだけれども、インフレをどう抑制するかっていうのも考えなきゃいけないんで、非常にバランス感覚が問われる難しい局面です」
また麻生最高顧問は、「党員の声を聞くべきだ」として高市総裁側についたという報道も一部で出ています。これについて青山さんは次のように述べました。
【青山和弘さん】「(麻生さんは)高市さんがやりやすいようにということも間違いなく考えてくると思うので、単に『積極財政ダメだ』みたいなことにはならないと思います。 どこまでを許してどこでブレーキをかけるかっていう、そこのせめぎ合いになると思いますね」
■党役員人事で「決選投票で小泉農水相に入れた人はゼロ」
そして気になるのが高市総裁が首相に就任した場合の「閣僚人事」です。すでに着手しているといいます。
【青山和弘さん】「高市さんは党の役員人事で女性をもっと入れたかったんですよ。政調会長も女性にしたいという話もあったんですが、麻生さんの推薦を聞いて小林さんになった。 なので閣僚はもっと女性を入れてくると思うんですね。そういった”高市カラー”を出していく。 一方で『党内融和』という観点からは、党役員には小泉さんに決選投票で入れた人は1人も入ってないんです。 “麻生支配”が強くて、しかも”裏金議員”と言われている萩生田さんも幹事長代行という、事実上かなり仕切れるポストに置いている。 こうした人事が『党内融和』という面で、今後何かあったときに党内がになる可能性はあるとは思います」
■閣僚人事で「高市カラー」が出せるのか 林氏・小泉氏のポストは?
【青木源太キャスター】「あとは総裁選で高市氏が打ち出した政策を実行できるかというところもポイントだと思います」
【青山和弘さん】「閣僚人事では、財務大臣がすごく大事です。積極財政をやるんだったら。 外国人政策をやるなら法務大臣、太陽光パネルのことをしっかり改善していくなら環境大臣。 そういったところの人事に高市カラーが出せるのか、それともこれまでの政策を引き継ぐような人にするのか。 あと小泉さん林さんといったライバルをどう起用するのか。結構重要ポストに置くのか、割と適当なところに置くのか、このあたりをやっぱり見てみたいなと思いますね」
■公明との関係は…「一定程度妥協もしながらやっていかないといけない」
最後に青山さんは、今後高市総裁が現在は連立政権を組む公明党との関係や、野党の協力を求める上で妥協を強いられるなど、「いろいろなハードルがある」と話しました。
【青山和弘さん】「今後はやっぱり絶対に野党と協力しなきゃいけないし、さらに与党の公明党からも、かなり懸念が示されています。 外国人政策とか靖国神社の問題とかいろんなところで。 そういうところとも一定程度、妥協もしながらやっていかないといけないから、高市さんがやりたいことをバンバン進められるかっていうと、『いろいろなハードル』があるぞということなんですね」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年10月7日放送)