自民党総裁選の投開票まで5日。小泉農水相陣営の牧島元デジタル相の事務所が動画サイトに、小泉農水相の“称賛コメント”を投稿するよう、陣営関係者に要請していたということです。
要請は以下のような内容などでした。
・チーム進次郎は仲間が多いからなあ
・あの石破さんを説得できたのスゴい
・もう一度自民党に期待させてくれ
さらに「ビジネスエセ保守に負けるな」という高市氏をやゆした表現ではないかと思われるものまでありました。
実際に投稿もされていたということです。
これについて関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した橋下徹さんは、「“総裁選辞退”に匹敵するぐらいの話」と批判しました。
■「事業者なら一発アウト、自民党はもっと大騒ぎしなければならない大問題」
【橋下徹さん】「僕は国会議員ではダメだと思います。まず小泉さんが、『一部行き過ぎたことがあった』と、その表現の問題にしてるんですが、これも認識不足。
僕も出演していたテレビ番組で、どの候補者もこの問題について、そんなに厳しいコメントを出してないんですね。これは番組のルール上、発言回数とか色々ルールがあったので、本当は言いたいんだけれども言えなかったっていう場合があるかもわかりませんが、他の番組見ても、この小泉さんの『ステマ(※)問題』について、本当はもっと自民党は、大騒ぎをしなければいけないぐらいの大問題ですよ。
民間事業者が商品を売る時に、影響力の大きい芸能人たちに『何か書いてね』とか、『この商品の感想書いてね』とかいうことを事業者がやったら、もう1発でアウト」
(※「ステマ」…ステルスマーケティングの略。広告であることを隠して、芸能人など強い影響力を持つ人に商品の宣伝などをしてもらうこと。景品表示法で規制されている。今回は要請があったことを明かさずにコメントしたことが「ステマ」になぞらえられている。)
【青木源太キャスター】「『ステマ』は、日本の場合は法律違反ですよね?」
【橋下徹さん】「法律違反、運用違反になって、『ステマ』が問題になって、(感想などを)書いたタレントさんも多分番組に出られなくなる。
国会議員が名乗らずに政治的主張する、誰かを応援すると、国会議員が小泉さんを応援してるかどうかわからない有権者は、“一般の人がこういうふうに言ってるんだ”と錯覚する。“こういうことはやめようね”というのが、『ステマ規制』なんです」
■「分からないんだったらSNS辞めた方がいい」とモデルのゆめぽてさん
【モデル ゆめぽてさん】「私は事務所で『ステマ講習』を受けるぐらい。本当2023年に『ステマ』に対して、色々ルールが厳しくなったじゃないですか。『ステマ』って、SNSやる上でも一番気をつけないといけない。それぐらい問題視されること」
【青木源太キャスター】「もしも商品とかPRして、例えばお金をもらっているのであれば、これはPRですよっていうのを、明記しないといけない」
【モデル ゆめぽてさん】「タイアップ設定にしたりとか、色々厳しい中で、政治家さんがこれするっていうのは、普通に考えられないです。分からないだったら、SNSやらん方が良いと思っちゃいますよ。逆にリスク考えられないのに、SNSやるくらいなら、もうやらない方がいい」
【橋下徹さん】「一般の消費者が、自分の感想書くのは全然自由なんですけど、これ政治家でしょ。しかも自民党の議員であり、小泉さんを応援する陣営はある意味、当事者。そういう人が、SNSを使って小泉さんに良いことを言おうと思った場合、また敵側の悪いことを言おうと思った場合には、国会議員だからちゃんと名前出さないと。そうすれば、『なんだ小泉さんの陣営だから言ってることをちょっと“盛ってる”な』とか、そういう判断ができる。国会議員は名乗ってからSNSやれっちゅうんですよ。コメント出すんだったら」
■「“総裁選辞退”に匹敵する」と橋下氏の鋭い指摘
今回の件に関して小泉農水相は「私は知らなかった」と発言していますが、橋下さんは「民間企業で同じようなことをやった場合、トップは辞任」「“総裁選辞退”にも匹敵するぐらいの話」と指摘しました。
【橋下徹さん】「民間企業で同じようなことをやって、これだけ組織的にステマ行為をやった場合には、多分そのトップは辞任に追い込まれるでしょうね。民間企業だったら」
【青木源太キャスター】「一部では、“総裁選辞退”というワードも飛び交っていましたが、そこまでではない?」
【橋下徹さん】「いや、僕はそれにも匹敵するぐらいの話だと思いますよ。だってSNS時代で、一番やっちゃいけない、一番気をつけなきゃいけない。 それから政治家の皆さんもSNSを利用されて、『他国から介入されることはよくない』、『選挙がゆがむことはよくない』ということを、みんな言ってるんですよ」
【青木源太キャスター】「一部の政治家の中では、SNS規制も口にする政治家もいるわけじゃないですか。その人たちが、こういうことを裏でやってたら…」
【橋下徹さん】「なぜ激しい批判の意見が出ないかというと、僕の感覚ですよ。いっぱいやってる国会議員いると思います。与野党問わず」
【青木源太キャスター】「いわゆる動員という言葉がありますけれども、支持者とか支援者に、『自分のことをもっとアピールするコメントしてくれ』とか、逆に『相手方を攻撃してくれ』みたいな感じで、組織立ってやってるところもあるということですか?」
【橋下徹さん】「そこは裏取れてないから分からないけど、あるんじゃないのかな。これはルール決めなきゃ。『応援してくださいね』と言って、本当に有権者が自主的にやるっていう部分は、多分これは良いのかもわからない。有権者がやるので。
でも国会議員がやるんだったら、僕はちゃんと国会議員の名前を載せて、応援コメント出す、批判コメントを出す。これは国会議員は名乗るってことはもう大原則にしなきゃいけない」
(Q.国会議員も、一有権者では?)
【橋下徹さん】「完全に有権者の立場で匿名でやりたいんだったら、国会議員を辞めてから、匿名のその権利をなきゃいけない。国会議員である以上は、匿名でやる必要ないでしょう」
■今回は失敗をしない…「メディア戦略のプロをすり抜けた」と鈴木氏
小泉氏は、去年の総裁選でも討論が始まった後、その支持が“失速”していました。
ジャーナリストの鈴木哲夫さんは、「メディア戦略のプロを陣営に入れていたが、それを“すり抜けた”」と指摘します。
【鈴木哲夫さん】「去年は圧倒的に大本命だったんです。それが一夜にして、ガッと落ちたでしょ。失言とかいろんなことがあって。今回は失敗しないということで、実は今回、小泉陣営にはメディア戦略のプロが入っています。ここがかなりいろいろなことをやって、戦略を立ててきた。
実は当事者にさっき僕、電話で取材しました。やっぱりどうしてもそれをすり抜ける形になっちゃった。 結局、地方議員の応援している人たちが、『“ニコ動”で応援メッセージ書こう』みたいなことで連絡を取り合ったら、『じゃあ、なんて書けばいいのか』というリアクションが来たらしくて、それで事例を出したということです。そのことそのものが今、皆さんおっしゃるように、分かってないですよね。
それでいわゆる劣勢になると。党員投票なんていうのは、もう既に紙が配られていて、投票終わっているとか、あと議員も今回の投票は、“この人が良い”じゃなくて、自分の我が身とか、色んな距離感で投票しそうだから、影響が出るかどうか分かりません。
ただ、かなり危機感を持っていて、最後の1週間は“フェイストゥフェイス”で話をする、それから電話作戦とか、とにかくしっかりと真面目に、真っ当に正攻法で、1週間挽回するしかないと言っていました」
■「国会議員は名乗ってやれ」
【青木源太キャスター】「自民党内の今回戦いですから、これがどんな影響が出ていくのかというのも非常に気になります」
【橋下徹さん】「表現じゃなくて、国会議員名前出してれば問題ないんですよ。だって名前出してたら『小泉さんに近い人なんだな』とか、『他の候補者と敵対関係にあるんだな』と分かった上で、僕らコメント見れるじゃないすか」
【青木源太キャスター】「今回のシステム(ニコ動)では名前は出せないじゃないですか」
【橋下徹さん】「そしたら名前が出せない所に書いちゃダメですよ。国会議員はちゃんと名乗ってやるっていう、そこが大原則」
【鈴木哲夫さん】「そこが分かってなかったんですよね」
■橋下氏「ルールを徹底させる意識が弱い」と指摘
今回の件を経て、「牧島元デジタル相のもとに脅迫や誹謗中傷が寄せられてる」と、小泉氏側は主張しています。
【青木源太キャスター】「それは絶対ダメなことですが、それすら“やらせ”で、『自分たちでやってるんじゃないの?』と思われても仕方がない」
【橋下徹さん】「政治不信がループしていきますよね。もうちょっと陣営で管理できなかったのかと言われましたが、『なんで橋下さんは、いつも飲み食いのことばっかり言うのか』と言われますけど、本当これ根源にもあると思うんですよ」
【青木源太キャスター】「この問題も飲み食い政治に繋がる?」
【橋下徹さん】「僕ずっと言っているのは、ルールなく、際限なく飲み食いやった金額から、何から際限ある人は、お金のやりとりも際限なくやってるわけですよ。陣中見舞いとか何から。
僕らはこういう話が来た時に、普段から税務署の問題だとか色んなとこで、ルールを意識してるから、『あれ、これまずいんじゃないの』というセンサーが働くじゃないですか。
だからルールというところは徹底させることをしないと、この人たちは国民に色んなこと言うんだけど、飲み食いも非課税で制限がない、お金のやりとりも現金でやりとりする」
【青木源太キャスター】「そういう意味で今回の自民党総裁選も、政治と金に関する規制に関して言っている候補はなかなかいないですよね」
【橋下徹さん】「だからそれは僕らも、厳しく厳しく言い続けなきゃいけない。やっぱりルールは徹底させるっていう意識は本当弱いと思う」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年9月29日放送)