「基礎年金引き上げ」含む年金法改正案をめぐる与野党の駆け引き、そしてその先にある課題とは。
政治ジャーナリストの青山和弘氏が、自民党と立憲民主党の合意に向けた動きや国民民主党の批判の背景について解説しました。
■「不思議な現象」と青山氏が指摘する与野党の合意プロセス
自民党と立憲民主党は、基礎年金の底上げ策を含む年金法改正案について合意する方向で調整を進めています。自民党は立憲民主党が主張していた基礎年金の底上げ策を受け入れる方針で、28日の合意と30日の衆議院可決を目指し、詰めの作業を行っています。
一方で、国民民主党の玉木雄一郎代表は「基礎年金が増えると2分の1は国庫負担、つまり税金を入れていますから、その隠れ増税を野党第1党と与党第1党が協力して、しかも十分な審議なく通してしまうことは将来に禍根が残ると思います」と批判しています。
こうした状況について政治ジャーナリスト・青山和弘氏は、「就職氷河期世代」への政策を巡る、立憲と国民民主の「つばぜり合い」だと指摘します。
■政党間の思惑と競争が年金法案に与える影響
【青山和弘氏】「国民民主党は就職氷河期世代に対して『助けてあげないといけない』と一番主張していた。立憲民主党はその国民民主党をライバル視していますから、今回の年金の底上げで、『就職氷河期世代を救うのは我々だ』という、つばぜり合いの結果なんですね」
【青山和弘氏】「自民党はこの法案は厚生年金から基金を回すということで、これは『厚生年金を払っている人からの反発が強い』と、わざわざ削除したのに、立憲民主党が『戻していい』っていうので、(自民は)『じゃあいいよ』という感じで、今回スムーズに行くという、不思議な現象が起こってるんですね」
■年金制度の将来に残る根本的な課題
このような政党間の駆け引きの中で進む年金法案の審議について、青山氏は将来的な年金制度の安定性に懸念を示します。
【青山和弘氏】「確かに(基礎年金の)3割の底上げは、4年後の審議を経てなるのだろうが、年金制度がかつて言われたように『100年安心』かというとそうでもない。
すでに生活保護がいまの基礎年金(の実質的な支給額)を上回っている状況が出ている。抜本的な改革を巡る議論は今後も続いていくことになる」
(関西テレビ「newsランナー」2025年5月26日放送)