滋賀県の琵琶湖から京都市に水を運ぶ水路『琵琶湖疎水』の施設の一部が、国宝に指定されることになりました。
また1970年の大阪万博のシンボル「太陽の塔」が重要文化財に指定されます。 琵琶湖の水を京都に運ぶための人工の運河「琵琶湖疎水」。
明治時代の1890年に完成し、現在も”現役”で利用されています。
今回、国宝に指定されることになったのは、そのうちの「南禅寺水路閣(なんぜんじすいろかく)」、「第一隧道(だいいちずいどう)」、「第二隧道(だいにずいどう)」、「第三隧道(だいさんずいどう)」、「インクライン」の5つの施設です。
■「南禅寺水路閣」
京都市左京区の南禅寺(なんぜんじ)にある「南禅寺水路閣」は、西洋の建築様式を取り入れたアーチ状の橋で、レンガなどで作られた橋の上を現在も水が流れ続けています。
■「インクライン」
「インクライン」は船を台車に載せて運ぶために作られた、全長582メートルと、建設当時としては世界最長の傾斜鉄道です。
現在は線路だけが残っていますが、春には桜の名所として多くの人が訪れます。
■「第一隧道」「第二隧道」「第三隧道」
「第一隧道」、「第二隧道」、「第三隧道」。
これら3つの隧道=トンネルは、レンガ造りで、両側の出入り口には、重厚な装飾が施されています。
特に第一隧道では、日本で初めて近代的な「竪坑工法」(地表から垂直に掘り下げた竪穴を掘り、到達点から横に掘り進んでいく工法)を導入して、長大な規模を実現しました。
出入り口それぞれには、伊藤博文や山縣有朋らが揮ごうした、石の額が取り付けられています。
これらは明治時代のインフラ設備として文化的な意義が評価され、近代の土木構造物としては初めて国宝に指定されます。
また1970年に開かれた大阪万博でシンボルとなった、「太陽の塔」が重要文化財に指定されることになりました。
太陽の塔は、1970年に開催された大阪万博のパビリオンの1つで、「人類の進歩と調和」という当時のテーマを表現する展示施設でした。 芸術家の岡本太郎さんが担当したデザインを忠実に具体化するため、学数学的な解析を用いるなどして、つくり上げられました。
重要文化財への指定を決めた文化審議会は、「高度経済成長期の日本を象徴した、大阪万博の記念碑となる貴重なレガシー」と評価しています。